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インフォア、省エネ化を推進できる設備資産管理ソリューションの新版

エネルギー効率を加味した機器保全が可能に

エンタープライズソリューション・ビジネスコンサルティング本部 ビジネスコンサルティングマネジャーの三輪洋照氏

従来製品のEAM機能

新搭載されたグリーン機能
 日本インフォア・グローバル・ソリューションズ株式会社(以下、インフォア)は7月3日、設備資産管理(EAM)ソリューションの新製品「Infor EAM Asset Sustainability Edition(以下、Infor EAM ASE)」を発表した。新版では、グリーンIT推進のための機能を拡張したのが特長で、「設備・機器の保全戦略にエネルギー情報を組み込んだEAMが実現する」(エンタープライズソリューション・ビジネスコンサルティング本部 ビジネスコンサルティングマネジャーの三輪洋照氏)という。同日より提供を開始する。

 EAM ASEは、エネルギー情報管理機能を搭載したEAM製品。従来は、設備資産の稼働率などを管理し、保全業務を支援するためのものだったが、個々の設備・機器のエネルギー効率までも監視することが可能になった。これにより、CO2排出量といったCSR(企業の社会的責任)の観点も加味したEAMが実現する。

 具体的には、1)エネルギー消費追跡、2)エネルギー効率指標、3)アラートマネジメント、4)CO2マネジメント、5)設備投資計画、6)冷媒排出マネジメントの6つの機能が新搭載された。

 1)でまず、設備・機器ごとに現状のエネルギー消費量の測定・可視化を行う。別売りのサブメーターを取り付けて直接測定したり、それが難しい場合は、電力会社からの請求書を参考に間接測定したりする。得られた数値はGUI上で管理が可能。「電力だけでなく、ガス・石油・LNGなどあらゆるエネルギー源を個別に管理する仕組みも備えている」(三輪氏)という。

 次に、1)で算出した各設備・機器のエネルギー消費実績値や設計値などから、エネルギー効率指標を算出するのが2)の役目。この指標は、設備・機器ごとに時系列に蓄積され、エネルギー効率の低下などは、信号機やタコメーターを模したグラフィカルインターフェイスで確認できる。そして、機器部品の摩耗などにより、あらかじめ定義した許容範囲よりもエネルギー効率が低下した場合に、自動で点検・整備作業の指示を出してくれるのが、3)のアラートマネジメントだ。

 一般的に工業設備や機器では、エネルギー効率が落ちたとしても、供給電力を上げれば出力パワーは維持できる。そのため機器としては正常に稼働していても、その裏で、電力消費量がどうなっているかは、従来の稼働率などによる管理では把握が難しかったのだ。三輪氏は、エネルギー効率が低下したまま、設備・機器を稼働させることによるコスト増のインパクトは大きいと指摘。100馬力のポンプ駆動用モーターを50台稼働している例を取って、「必要な出力を得るために1万W余計に必要になったケースを考えると、その状態のままでは1年間で5000万円近い料金損失が発生することになる。また排出されるCO2についても、海外の排出権取引市場のCO2価格(3000円/t)を基に算定すると、1年間で700万円以上の無駄となる」(同氏)と説明した。


エネルギー消費追跡の概要。設備・機器単位でエネルギー情報を収集 エネルギー効率指標の概要。KPIとして現在の状況をグラフィカルに表示 アラートマネジメントの概要。エネルギーの観点から最適な保守のタイミングがつかめる

 こうした損失を回避するためにも、常にエネルギー効率の変化を監視し、最適なタイミングで稼働性能回復のための保全作業を実施することが不可欠なのだ。「アラートマネジメントはそのための最適な機能だ」と同氏はアピールする。一方で、保全を行っても設備性能が回復しないほど、設備・機器の摩耗が激しく、いっそ省エネ型の最新設備にリプレースした方が有効な場合もあるだろう。5)の設備投資計画は、そうした際に有効な機能で、設備投資依頼を作成できるほか、工場単位や設備系統単位で集計できるため、予算の制約がある中で最適な設備投資計画の判断材料とすることが可能という。将来的には、保全とリプレースで、どちらの方がコスト的メリットがあるかを判断できるようにする機能も追加予定とのこと。

 そのほか、4)のCO2マネジメントでは、エネルギー消費量からCO2排出量を算定することが可能。設備・機器ごとに、CO2年間排出量や経時変化を集計し、傾向分析レポートを作成することができる。6)の冷媒排出マネジメントでは、EPA(米国環境保護局)のガイドラインに基づく冷媒の追跡管理が可能。製造装置や冷凍・冷蔵設備のような特定のビジネスに必要な設備でも、同様にエネルギー情報を組み込んだEAMが実現する。


CO2マネジメントの概要。設備・機器ごとに、傾向分析レポートを作成 設備投資計画の概要。工場単位や設備系統単位で集計可能 新機能一覧

 価格は、同時接続5ユーザーで600万円から。別途サブメーターが必要で、その数によって価格は変動するが、ユーザー側であらかじめエネルギー消費量を測定する仕組みを導入している場合は、それを有効活用しての導入にも対応するとのこと。サブメーターは無線通信による情報送信機能を備えており、価格は5万円/個ほど。製造業やビルメンテナンス、自治体などを対象に直接販売してきたインフォアだが、今後は間接販売もスタートし、まずは2けたの導入実績をめざす方針とした。



URL
  日本インフォア・グローバル・ソリューションズ株式会社
  http://www.infor.jp/


( 川島 弘之 )
2008/07/03 17:46

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