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EMCジャパン、情報中心型のITインフラへ導く新コンサルサービス

情報の重要度からインフラを最適化

執行役員 テクノロジー・ソリューションズ本部長の有安健二氏
 EMCジャパン株式会社は7月9日、「情報インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス」を開始すると発表した。新サービスは、同社がこれまで提供していたコンサルティングサービスを体系化し、サービスフローに関するテンプレートを新たに整備して提供するもの。

 昨今、内部統制やコンプライアンス、グリーンITなど企業が対応しなくてはならない課題は多い。そうした中、「コスト全体の70%を占める」といわれるように、システムの運用コストはかさばる一方で、その管理も人に依存した形で行われている。現に「ハード・ソフトが原因となって起こるシステムダウンは意外と少なく、ダウンタイムの80%が人とプロセスに起因している」(執行役員 テクノロジー・ソリューションズ本部長の有安健二氏)といい、本来ビジネスを支えるはずのITインフラが、逆に失速させる結果となっている。

 問題なのは、「これまで異なった目的のために、異なったSIerが、異なった技術を用いてシステム構築を行ってきたことで、多くの企業でITインフラが複雑に絡まった“スパゲッティ状態”になってしまっていることだ」(同氏)。また、「従来の最適化は、サーバーを中心に進められることが多かった。結果としてできあがるITインフラは、横に連携の取れない縦割りの状況となってしまっていた」とも指摘する。

 そこで新サービスでは、情報を中心にITインフラを最適化することで、こうした問題を解決するという。情報と一口にいっても、重要なもの、そうでないものとその性質はさまざまだ。新サービスは、これまでのようにサーバー中心ではなく、情報をどう扱うべきかといった点に着目して、ITインフラ最適化を行っていくのが特長。これにより「最小のコストとリスクで、情報の価値を最大限に引き出すことが可能」(同氏)という。


情報を中心にITインフラのあるべき姿を提案する インフラ全体最適化のイメージ

 具体的な手順としては、まず現状把握およびデータの重要度に応じたクラス分類を行い、そこからサービスレベルを定義。それらに基づいて実装アーキテクチャを検討し、あるべきITインフラのイメージを描いていく。すべての領域でやみくもに最適化しようとすれば、当然、コストは多大なものとなってしまう。一方、このように情報を中心にITインフラのあるべき姿を描いていくことで、より整然としたITインフラができあがるというわけだ。有安氏は、こうして描かれたインフラを、従来の“ITインフラ”と区別して“情報インフラ”と表現し、新サービスのめざす方向性を端的に説明している。

 さらに青写真の提案にとどまらず、最適化することで何をどれくらいコスト削減できるか、金額ベースの具体的なROI分析まで行うとのことで、これが新サービスの大きな特長となっている。期間は、現状分析・要件定義に約6週間、アーキテクチャのイメージ化、ROI分析に約6週間、そのほか中間報告や最終報告を合わせておよそ3カ月間のスケジュールとなる。


現状把握およびデータの重要度に応じたクラス分類を行い、そこからサービスレベルを定義 実装アーキテクチャについて検討することで、あるべきITインフラのイメージを描いていく 金額ベースの具体的なROI分析まで対応

全体最適化プロジェクトの進め方
 短期間を実現したのが、企業の課題をその重大性と緊急性に応じて、複数の区画に分けることで提案を形にしていく「ビジネスゾーン・テンプレート」と、各レイヤ・サービスレベルごとに最適なアーキテクチャを提案していく「アーキテクチャ-・テンプレート」、2種類の独自テンプレートだ。「これまでのコンサルティングサービスで培ったノウハウの結晶」(同氏)で、これらにより、迅速にアウトプットを出しつつゴールをめざすことが可能になるという。

 メニューとしては、インフラ全体最適化のほか、情報管理、仮想化、データセンター移転/統合、災害対策、情報セキュリティを切り口とした個別メニューも用意。通常、全体最適化を行った上で、個別にこれらの残りのメニューを実践していく流れだが、もしも、全体最適化がある程度済んでいるということであれば、細分化されたメニューのみを受けることも可能という。

 なお、ここまでは実際の機器を選定しないベンダーフリーのコンサルティングサービスとなる。これにより、「青写真のイメージ化とROI分析が終わったのち、実装に関しても顧客が望めばもちろんそのまま当社が行うが、ニーズに応じては、もしくはサーバーなどのEMCジャパンが提供していない分野では、そのほかのパートナーと連携したり、ベンダーが主体となって実装し当社は黒子にまわるなど、柔軟に対応したい」(同氏)とした。

 その上で、「これまでEMCジャパンはハード・ソフトを中心に事業を行ってきたが、今後はサービスにも本気で力を入れていく。今回の新サービスはその証しで、今後3年間にコンサルティング要員も現在の5倍に相当する100名にまで増強する予定。同時に売り上げも5倍に伸ばせるよう努めたい」としている。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/
  ニュースリリース
  http://japan.emc.com/about/news/press/japan/2008/20080709-1.htm


( 川島 弘之 )
2008/07/09 17:20

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