SAPジャパン株式会社は7月23日、小規模中堅企業向けのERP導入プログラム「SAP Business All-in-One FAST-START PROGRAM」を8月から開始すると発表した。また、あわせてエンタープライズSOAの実装を加速させるためのトレーニングおよび方法論の提供を開始することも発表した。
SAP Business All-in-One FAST-START PROGRAMは、低コストかつ短期間でERPシステムの検討・導入を可能にするプログラム。実現機能の適合性や市場要求などから、組み立て製造業、プロフェッショナルサービス業、商社・卸業の3業種に特化したソリューションを提供する。地域営業本部バイスプレジデントの神戸利文氏は、新プログラムの位置づけについて、「当社では、年商500億未満の中堅企業を対象にしたERP導入ソリューションとして2007年6月からSAP Business All-in-Oneを提供しているが、今回の新プログラムは、さらに小規模の中堅企業まで対象を広げたソリューションで、これまでSAP ERP導入に踏み切れなかった年商50億~200億円規模のユーザーからのニーズにも対応していく」と説明している。
カスタマーイノベーションセンター バイスプレジデントの田村元氏は、「オンライン・コンフィギュレーターでは、SAP Best Practicesベースラインから、会計、販売、購買、在庫・調達、製造、サービスなど各種業務シナリオを用意しており、Web上で従業員、ライセンス数を入力し、必要なソフトウェア機能を選ぶだけで、導入にかかるコストをその場で試算できるのが大きな特徴。各機能の詳細情報もこのツールから確認することができ、これによりEPR導入における不確実性を排除し、簡単・安心なERP導入を支援する」としている。
オンライン・コンフィギュレーターで選択した業務シナリオなどの各種設定情報は、XMLによるアウトプットファイルとして出力され、パートナーとの協業によって、OS、データベース、SAP ERPなどとともにサーバーにプリインストールして出荷される。さらに、SAP Best Practicesが提供する日本向けの各種追加帳票や、短期間でのプロジェクト遂行を可能にする導入方法論、新システムでの業務の実施を支援する包括的なトレーニングプログラムも用意しており、これらのアプローチによって、ERPの仕様決定や導入にかかる期間を大幅に短縮。従来のSAP Business All-in-Oneに比べて半分以下の期間で導入可能とした。
Methodology of Accelerated Transformation to Enterprise SOAの概要
あわせて同社では、エンタープライズSOAの実装を加速させるためのトレーニングコース「SAP ERPビジネスプロセス統合」、および2つの方法論「Starter Kit for Enterprise SOA」と「Methodology of Accelerated Transformation to Enterprise SOA」を発表した。
SAP ERPビジネスプロセス統合は、エンタープライズSOA実装に必須である業務横断的な知識をもち、ビジネスプロセスの視点でシステム設計ができるコンサルタントを育成するトレーニングコース。SAP認定コンサルタントやパートナー、ユーザーなどSAPビジネスに携わる担当者向けに、企業全体のビジネスプロセスに対する包括的かつ横断的な知識を提供する。これにより、コアプロセスを始めとし、業務の相互関係およびビジネスアプリケーションの統合に関する幅広い知識を習得することができる。9月1日から提供開始する予定。
Starter Kit for Enterprise SOAは、エンタープライズSOAの構築に必要なノウハウを包括的に網羅した方法論。コンセプトから実装方法、事例まで、エンタープライズSOAの情報をキットとして提供する。これにより、エンタープライズSOAに取り組むためのノウハウを体系的に把握することができる。この方法論は、SAP Developer Networkサイトから英語版を無償でダウンロード可能で、その中からエンタープライズSOA全体のプロセスを技術的な観点からまとめた「Enterprise SOA Development Handbook」を日本語化し、10月に提供する予定。
Methodology of Accelerated Transformation to Enterprise SOAは、エンタープライズSOAへの移行を短期間で実現するための方法論。SAP認定コンサルティングは、この方法論をもとに、ユーザーの既存のIT環境を整理統合し、新しいアーキテクチャを構築するための計画から導入、運用に必要な包括的な知識をコンサルティングサービスとして提供することが可能となる。