ピツニーボウズ・マップインフォ・ジャパン株式会社は、地図分析ソフトの最新バージョン「MapInfo Professional v9.5」を発売、9月下旬から出荷する。
MapInfo Professionalは、地図上に住民情報、施設情報、取引情報などのデータを表示し、比較や分析を行うことで、数値データだけでは伝わりにくい情報を引き出すためのソフトウェア。通常、GISと呼ばれる地図情報システムは、測地、測量など地図を利用する専門家が利用することが多いのに対し、MapInfoはマーケティング担当者など地図の専門家でなくとも利用できる点を特色としている。
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地図情報システムは、地図上にデータを表示することで、データだけでは伝わらない情報を認識するシステム
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地図と数値データを並べて表示する場合に比べ、地図上にデータを表示することでよりリアルな状況把握が可能となる
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技術コンサルタントの水野義文氏
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「GISは自治体など地図を利用する専門組織での導入が多いが、当社の商品は民間企業をターゲットとしている。利用が多い業種としては、小売業が出店計画やダイレクトメール配布に活用したり、ガス、通信などインフラビジネスを行っている企業が自社施設の点検用に利用している例が多いようだ」(ピツニーボウズ・マップインフォ・ジャパン 技術コンサルタントの水野義文氏)
9月に出荷する新バージョンは、「当社のソフトは地図の専門家ではなく、データ分析で自社売り上げ増加を狙うマーケッターをターゲットとしている。操作性の向上、外部データベースへのアクセス強化、CADで行っているような作図といった、使いやすさを増す新機能を付加した」(水野氏)という。
強化された主な機能は次の6点。
1)右クリックした際のメニュー増加、スタイルダイアログの変更、マップウィンドウダイアログの増強など操作性を大幅に向上。
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操作性向上として、スタイルダイアログの表示形式が変更された
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2)マップ表示能力を強化。地図上に駅やランドマークとなる建物などの情報を文字で掲載する場合、情報が密集する地域では文字が重なり見にくくなってしまうが、アンチエイリアス機能により文字を見やすく、付近の情報がないスペースに自動的に表示する新機能を付加。また、地図と航空写真を重ねて表示するといった場合に、ベクトル図形と文字情報などを記載したラベルを透過して表示し、マップをアンチエイリアス処理する機能を付加。
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従来バージョンでは情報が多い場所では、自動的に文字が消えて表示されるようになっていた
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新バージョンではマップ表示機能を強化。従来バージョンと比べ、文字を表示する場所を自動調整するなど、より見やすく、情報量が多くなった
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3)都市計画図や地図に自社の施設、電気、ガス、上下水道などインフラを書き込むなど、地図データの作成、編集を行う際の作業を容易にするため、新たなCADツール、図形編集ツールを約40種類新たに追加。
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約40種類のCADツールと編集ツールを搭載
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作図も簡単に行えるようになった
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Google Earthを活用した例。無償で提供されている地図を有効活用することもできる
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4)アクセス可能な外部データベースの最新バージョンに対応。SQL Server 2008、Oracle 11g、OGC WFS-Tサポート。
5).NETプログラミングをサポート。MapInfoのマクロMap Basicから呼び出しを行うことが可能。
6)数百人規模で同時にMapInfoを利用するユーザー向けに、アプリケーション共有機能を強化し、ほかのユーザーとMapInfoのシステムファイルを共有可能とする新しいワークグループディレクトリ、アクティベーションの改善としてプロキシサーバーのサポート、サイレントアクティベーションのサポートなど。
価格は、1ライセンスで39万8000円。
地図データは、かつては高額な有償のものしかなかったが、GoogleやYahoo!が提供する無償のものも登場。これらと企業が持つ顧客情報データを連携させて利用するケースもあるが、「当社の製品は地図を使ったデータをさまざまに加工分析するための製品。無償で提供されている地図データとはまったく違うものだと考えている。ただし、地図自体は無償のものを利用するのも一つの方法で、地図を活用したデータ分析を試すためにはプラスになるのではないか」(水野氏)という。
日本では小売業のように地図情報システム利用が先行している業種がある一方、保険のように導入が進んでいない業種もある。新バージョン発売後は、未導入業種への販売にも力を入れていく計画だ。
■ URL
ピツニーボウズ・マップインフォ・ジャパン株式会社
http://www.mapinfo.jp/
( 三浦 優子 )
2008/09/10 08:54
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