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日本オラクル、営業活動を支援するSaaS型ソーシャルアプリケーション

iPhone専用のBIツールもデモ、今後の取り組み案も説明

Sales Prospectorの画面。ビジュアルな表示が特徴だ

製品戦略本部 アプリケーションビジネス推進本部 塚越秀吉本部長

Sales Libraryの画面
 日本オラクル株式会社は9月16日、SaaS型のCRM(顧客関係管理)アプリケーション「Sales Prospector」を発表した。既存のCRMアプリケーションの機能を補完し、「意志決定する方やマネージャーに対し、より直観的に判断できる環境を提供する」(製品戦略本部 アプリケーションビジネス推進本部 塚越秀吉本部長)という。

 日本オラクルでは、SaaS型の「Oracle CRM On Demand」や、オンプレミス(自社設置)型の「Siebel CRM」など、いくつかの形態でCRMアプリケーションを提供しているが、Sales Prospectorはこれらの製品と連携して、より使い勝手のいい環境を提供するもの。製品の特徴について、塚越本部長は「従業員間やチャネル、組織間での相互関係を踏まえて、実際の活動に生かしていこうという“ソーシャルCRM”的な機能を持つ」と説明する。

 具体的には、さまざまな社内外のデータソースから関連する情報を収集。それらをもとに、今期の受注金額や案件の制約可能性などを予見する機能を備えるほか、顧客の属性情報や利用製品の情報などを分析する機能も搭載する。さらに、過去のデータから類似する顧客、製品のデータを引っ張り出すことも可能になっている。

 製品戦略統括本部 シニアディレクターの西脇資哲氏は、「これまでの製品では、案件情報を表すのは一覧表であり、分かりづらかった。しかしこれをグラフィカルにすると、自分やグループの案件の中で、ゴールに向けて強く進まなくてはいけない案件がどれか、一目瞭然(りょうぜん)になる。また、今までは提案中の案件と似たものがあるかどうか、といったことは、グループの中で聞いて回ったり、組織の中で資料をあさったりしなくてはならなかったが、ソーシャルアプリケーションのSales Prospectorであれば、あらゆる情報を加えた上で自分の案件を進めていける」と具体的な活用法を紹介した。

 Sales ProspectorはSaaS形式での提供で、価格は、1ユーザーあたり3万4240円/月。Internet Explorer 6/7とFirefox 2.xに対応する。またCSV形式でデータを取り込めることから、自社製品のみならず、他社製のCRMアプリケーションとも連携できる。

 日本オラクルでは今後、Sales Prospectorと併用することでより効果的に使えるアプリケーションの提供を予定している。西脇氏はその中から、「Sales Library」という製品に言及した。これは、「Sales Prospectorが生産性を効率的にするための第一歩だとすると、この後どういう提案を持って行ったらいいのか、を調べるアプリケーション」(西脇氏)とのこと。プレゼンテーション資料など、社内のさまざまな情報をライブラリ化し、必要なものをそこから抜き出して利用でき、提案活動などを効果的に進められるという。このほかにも、いくつかのアプリケーションの提供が予定されており、順次提供が開始される予定だ。


iPhone専用アプリケーション「Business Indicators」をデモ

iPhoneを手にする、製品戦略統括本部 シニアディレクターの西脇資哲氏
 なおこの発表会開催にあわせて、西脇氏から日本オラクルのiPhoneへの取り組みも説明された。同社では、「iPhoneに限らずすべてのPDA、携帯端末でオラクルへのアクセスをサポートしたい」(西脇氏)意向を持っているとのことだが、その中でも機能や操作性が優れるiPhoneに着目。iPhone 3G発売と同時に、iPhone専用アプリケーションの第1弾「Oracle Business Indicators」を提供したという。

 そのOracle Business Indicatorsは、BI(ビジネスインテリジェンス)のフロントエンドツールで、Webブラウザを用いているのではなく、iPhone専用のソフトウェアである点が特徴。Oracle Business Intelligence Enterprise Editionと連携し、サーバー側で分析した帳票を閲覧したり、ドリルダウンしたり、といったことを行える。利用は無償で、AppStoreから簡単に入手可能。また、サーバー側には一切手を加える必要がなく、iPhone側で簡単な設定を行うだけで、すぐに利用できる。

 同社では、「例えば、ソフトバンクモバイルと一緒に展開することで、コンシューマ・企業双方に、メリットをある形で(iPhoneとそのソリューションを)浸透できる」との考え方から、今後もiPhone専用アプリケーションの提供を予定。CRMのフロントエンドや、SOA導入顧客向けのプロセスモニタリング、データベース、コンテンツ管理、セキュリティ機能強化、といったアプリケーションが考えられるとした。


Oracle Business Indicatorsの概要 Oracle Business Indicatorsの画面


URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1903


( 石井 一志 )
2008/09/16 14:09

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