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日本IBM、Webアプリケーション基盤ソフトの新版-処理性能を最大2倍に向上


理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長のデビッド・ベイト氏

WebSphereの10年の進化
 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は9月17日、Webアプリケーション基盤ソフトウェアの最新版「IBM WebSphere Application Server(WAS) V7.0」と、WASのアプリケーション開発基盤「IBM Rational Application Developer for WebSphere Software V7.5」を発表した。いずれも9月27日より出荷開始する。

 WAS V7.0は、近年のWebアプリケーションサーバー製品に求められている、大規模システムにおける高速処理とシステム管理のたやすさ、堅固なセキュリティといったニーズに対応している点が大きな特徴。主な機能強化ポイントは、1)パフォーマンスの向上、2)セキュリティ機能の改善、3)柔軟な管理機能、4)開発の簡素化、の4点。

 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長のデビッド・ベイト氏は、大規模システムへの対応について、「当社が1998年にWASを市場にリリースしてから、今年でちょうど10年目を迎える。この10年間で、ワールドワイドで多くの企業にWASが導入されており、大規模システムで利用されるケースも増加してきている。こうした顧客からのエンタープライズレベルの要求に対して、明確な価値を提供するためには、SOA基盤としてのパフォーマンスの向上が非常に重要になる」と述べた。

 具体的には、パフォーマンスの向上としては、アプリケーション実行時のプロビジョニングによりメモリとディスクの使用効率を向上させたことで、Webアプリケーションの処理能力を従来バージョン「WAS V6.1 Web Services FEP」と比べて最大2倍に向上。起動時間の改善も図っており、従来バージョンの21秒を9秒まで高速化している。これによって、従来よりも少ないハードウェアで、優れた処理性能や多くの機能を実現することが可能となり、消費電力やサーバー設置スペースの削減を促進できる。


セキュリティ機能の改善

柔軟な管理機能
 セキュリティ機能の改善では、「WebSphereセキュリティー・ドメイン」と「セキュリティー監査機能」を新たに搭載。WebSphereセキュリティー・ドメインでは、アプリケーションごとに、より細やかなセキュリティレベルを設定可能となり、ユーザーとインフラに対して、さらに高い粒度、柔軟性、制御を提供する。これにより、管理コストの削減と基盤の安全性維持を図ることができる。

 セキュリティー監査機能は、アプリケーションの監査および認証・許可を記録できる機能。セキュリティ構成やアクセス制御ポリシーの変更など、多数のセキュリティ関連イベントの追跡を行うことができる。また、セキュリティ監査記録へのアクセスを制限する機能を追加し、職掌分離による内部統制を支援する。例えば、強力な権限をもつシステム管理者による、監査記録の改変を防ぐため、監査記録そのものを閲覧できなくすることも可能となる。

 柔軟な管理機能としては、大規模で複雑な構成のシステムを容易かつ効率的に運用管理できるよう、Javaの最新バージョンから旧バージョンまですべてに対応するとともに、複数のJavaバージョン、WASバージョンを一つの画面から管理できるようになった。旧バージョンにも対応することで、顧客の既存アプリケーション資産を継続的にサポートする。また、システム管理の効率を向上し、WAS BaseとWAS Expressの運用リソースのリモート管理が可能となった。これにより、大規模、分散環境における管理ワークロードの削減を実現する。

 開発の簡素化では、Javaの最新バージョンであるJava EE 5やJava SE 6を始めとした新しいWebサービス基準に対応することで、プログラミングモデルを簡素化し、よりシンプルなアプリケーション開発を行うことが可能となった。

 使用料金は、WAS for Developers V7.0が11万900円(税別、1ユーザー単位)から、WAS Express V7.0が25万7500円(税別、100VU)から、WAS V7.0が58万9900円(税別、100VU)から、WAS Network Deployment V7.0が221万7000円(税別、100VU)から。

 同時発表したIBM Rational Application Developer for WebSphere Software V7.5は、Java、Java EE、Web、Webサービス、SOAを対象とした設計者および開発者向けの統合開発環境で、WAS V7.0の新機能に対応している。さらに、Java EE 5の機能であるEJB 3.0やJPAの変換とモデリング機能、共同デバッグ機能などによって、開発者の開発生産性を向上することができる。使用料金は、60万6400円(税別、1ユーザー単位)から。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/09/1701.html


( 唐沢 正和 )
2008/09/17 16:08

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