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小売業における最適な価格設定を支援する「SAS Revenue Optimization Suite」
執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏
SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS)は9月18日、流通・小売業における商品の最適な価格設定を支援するソリューション「SAS Revenue Optimization Suite(以下、SAS ROS)」を発表した。同日から提供を開始する。
SAS ROSは、流通・小売業における商品の値付けを最適化するもの。「Regular Price Optimization」「Promotion Optimization」「Markdown Optimization」の3つのモジュールで構成。過去の売り上げ実績や地域特性などを考慮した上で、市場投入時からプロモーション展開時、在庫一掃時まで、販売サイクルに応じた値付けの最適化を行ってくれる。
これにより「いま売り場で起きていることを正しくとらえ、適時マーケットニーズにあった価格設定を行うことが可能」(執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏)という。
判断の基となるのは、「最低2年分、できれば3年分のPOSデータ、過去のプロモーション履歴、基幹システム内の商品マスタデータ」(ビジネス開発本部 MIビジネス開発部 マネージャーの高階英治氏)。加えて、会社としての方針(例えば、利益率を優先するか、販売個数を優先するかなど)を登録する。これらを集計、分析、予測することで、店舗別や商品別に最適価格を提示するのが特長。
過去のデータを集計・分析・予測して、価格の最適化を行う
製品構成。共通の基盤上で3つのモジュールが動く。モジュールは単体購入も可能
市場投入時、プロモーション、在庫一掃時の段階別価格最適化イメージ
ビジネス開発本部 MIビジネス開発部 マネージャーの高階英治氏
モジュール別に見ると、市場投入時の標準価格を設定してくれるのがRegular Price Optimization。仕入れ原価や競合先価格、過去の売り上げといった情報や、最大でいくらまで値引きするか、マージンの幅をどうするかなどの価格戦略ルールをインプットすることで、標準価格を設定してくれる。こうしたデータは週次で更新されるようになっており、状況変化に応じて、微調整を行うことも可能だ。
また、複数の商品間の売り上げに関連性がある場合は、それぞれをひも付けた形で価格設定を提示することも可能。例えば、シャンプーとリンスなどが当てはまるが、それ以外にも容量・味・ブランド・形状などでグルーピングし、等号・不等号式で価格相関体系を定義してくれる。
季節や地域に応じて価格を最適化するため、場所・商品モデルグループの設定もできる。「例えば、靴なら春夏もの/秋冬もの/オールシーズンものなどに分類できる。さらにレディース/メンズに分けることもできるし、フォーマル/カジュアルに分けることもできる。商品ごとに正確にグルーピングしておくことで、最適な分析・価格設定が行えるようになっている」(高階氏)。
標準価格プラン画面
商品パフォーマンスレポート画面。商品や場所ごとに最新のKPI結果を確認できる
場所・製品モデルグループの設定
在庫がある程度さばけた段階で、さらなる売り上げを狙ってキャンペーンを実施するときに有効なのが、Promotion Optimization。実施する日程をカレンダー登録すると、過去のプロモーション履歴などから最適なキャンペーン手段(還元ポイントアップなど)を提案した上で、価格設定を行ってくれる。効果検証のためのレポーティング機能も備える。
最後に今後仕入れの予定がなく在庫を一掃したい場合に有効なのが、Markdown Optimization。効率的に在庫をさばき、かつ収益を出すために最適な値下げ価格を設定してくれる。
プロモーションカレンダー画面
提案されたプロモーションプランを表示
在庫一掃時における売り上げと在庫の推移グラフ
宮田氏は、「昨今、ネットをはじめとした販売チャネルの多様化などにより、流通・小売業では競争激化が進んでいる。特に価格設定に関しては、価格比較サイトなども出てきたことで、メーカーからの圧力、消費者からの圧力など周囲の環境は厳しい。以前までは、経験と勘で対応されてきた価格設定だが、現状では判断ミスの元となる可能性が増している。こうした状況で流通・小売業がビジネスをドライブしていくためには、販売施策の中でも最前線といえる価格設定を、よりインテリジェンスに行っていく必要がある」として、SAS ROSの価値を訴求した。
価格は、売り上げ規模に応じて変動。売り上げ1000億のユーザーで、3000万円/モジュールから。SASでは、アパレルや家電量販店、ドラッグストアなどをターゲットに、2008年度2社、2009年度5社への導入を目指す。
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URL
SAS Institute Japan株式会社
http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/
プレスリリース
http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/news/press/200809/18.html
( 川島 弘之 )
2008/09/18 17:10
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