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富士通、グローバル企業の各拠点を一括支援するサービス

サービス品質向上のため、海外グループ再編も

グローバル・インフラストラクチャー・サービスの概要

富士通、経営執行役上席常務兼海外ビジネスグループ長のリチャード・クリストウ氏
 富士通株式会社は9月24日、世界中のグローバル企業向けに、ITインフラ全体をサポートするアウトソーシングサービス「グローバル・インフラストラクチャ・サービス」を発表した。2008年度下期より、順次提供を開始する。

 同サービスは、これまでグループ会社ごとに展開していたアウトソーシングサービスを、新たに5つのメニューに体系化したもの。グローバルに事業展開し、国ごとに異なるITインフラの管理などに苦慮する企業をサポートする。具体的には、1)データセンターサービス、2)デスクトップマネージドサービス、3)サーバマネージドサービス、4)ネットワークサービス、5)サービスデスクサービスを提供する。

 1)は、富士通グループのデータセンターでユーザーのシステム運用をサポートするもの。2)は、PC資産の運用・管理業務を包括的にサポートするもの。資産管理やセキュリティ管理に加え、ユーザーのビジネス拠点ごとにマッチした各種サポートを提供するのが特徴という。3)は、サーバーの運用・管理業務を包括的にサポートするもの。富士通の運用要員が、ユーザーのビジネス拠点にて作業を行う。4)は、WANおよびLAN環境の運用・管理業務を包括的にサポートするもの。トラブル対応やネットワーク変更要件に対応した構成・性能管理などを行う。5)は、総合的なヘルプデスクを多言語で提供するもの。ユーザーからの問い合わせを富士通グループで一元的に受け付け、インシデントの分析・改善活動などを行う。

 同グローバルビジネスを統括する富士通、経営執行役上席常務兼海外ビジネスグループ長のリチャード・クリストウ氏は、「ここ数年グローバル企業が増加する中、どのような地域でも均一なサービスを受けたいというニーズが増えている。今回発表する新サービスは、ユーザーの事業展開における機敏性・効率性・継続性向上を支援するもので、主要国・地域にまたがって一貫性があり、最適化されているのが特長。オフショア・ニアショア・オンショアリソースを組み合わせることで価格的適正さも実現する。堅牢(けんろう)で環境に配慮されたファシリティでサービスの継続的改善を支援することで、ユーザーは、拠点間の調整など煩わしい作業から開放されて、コア事業に集中することが可能になる」と、サービスの概要や効果を説明。


3つの施策

2008年度中には、全世界に計85カ所のデータセンター、47カ所のサービスデスク拠点を配置へ
 その上で、「当社としても今回のサービスを提供するため、組織やサービスの体制を強化する3つの施策を展開していく」と述べた。具体的には、拠点設備の強化、サービス品質の標準化、人材育成に注力する。

 拠点設備の強化としては、2008年2月にタイ、4月に韓国、6月のロンドン近郊などにデータセンターを新設したほか、今後もシンガポールやオーストラリアで追加開設する予定。2008年度中には、全世界に計85カ所のデータセンター、47カ所のサービスデスク拠点を配置するという。「特に地域ごとの特性をつかんだ組織としながら、グローバルで一貫したサービス基盤となるよう強化を図る」(クリストウ氏)とする。

 サービス品質の標準化では、まずITILに基づいてサービスデリバリー・運用サービス手法の標準化を図る。さらにビジネスベンチマークの標準化によるコスト効率の向上、調達にかかわるワークフローの標準化、契約・顧客情報管理の標準化を図り、運用の効率を上げていく。設備に関しても、TIA(Telecommunicate Industry Association)やTUI(The Uptime Institute)の定めるTier基準をベースに、電源設備の冗長性やセキュリティ機能などに関する80項目以上の独自基準を定め、ワールドワイドに適用を進めていく。

 また、「グローバル・サービス・イノベーション・プログラム」の名の下、同社の品質標準化コンセプトである「TRIOLE」によって、ITサービスの工業化を図っていく。特にサービスデリバリーなどにフォーカスした改革で、「コストや環境にも配慮したグリーンデリバリーを実現していく」(同氏)とした。

 人材育成に関しては、グループ各社と共同で教育プログラム「グローバルサービスマネージャー養成プログラム」を開発。スキル向上のために、サービス要員相互のナレッジ共有推進の仕組み作りなどを行い、適用を進めていく。


 なお今回のサービスを機に中期実現に向けたテーマとして、「インフラサービスを中心にしてグローバルサポート能力を高める方針。海外各社のコスト構造にメスを入れ、グローバルサービス視点でのグループ再編を行っていく」(同氏)としている。こうしたグローバル成長戦略の下、「現在、36%ほどの連結売上高に占める海外売上高の比率をさらに高めていく」とのこと。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/09/24.html


( 川島 弘之 )
2008/09/24 15:12

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