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日立、業務ノウハウの継承・共有を実現するSOA基盤ソフト新版

パートナープログラムもスタート、SIツールなどを提供

情報・通信グループ ソフトウェア事業部長、中村孝男氏

uCosminexus Navigation Platformで作ったユーザー向け画面の例

Full GCの発生を抑止する機能を備えた
 株式会社日立製作所(以下、日立)は10月2日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)基盤ソフトウェア製品群の新版「Cosminexus Version 8」を発表した。10月3日より販売を開始する。

 Cosminexusは、SOAに基づくシステムの構築・運用を行うための基盤ソフトウェア製品群。今回の新版では、企業の業務ノウハウを可視化する製品「uCosminexus Navigation Platform」を新たにラインアップしたほか、アプリケーションサーバーの強化でフルガベージコレクション(Full GC)の解消を実現するなど、製品面での強化が行われた。また、ベストプラクティスの共有などを目的に、パートナーコミュニティをスタートさせるという。

 このうちuCosminexus Navigation Platformは、業務ノウハウを可視化し、企業内で共有しやすくするための製品。業務フローをチャートとして画面上に再現し、手順を見える化する機能を備えるほか、同時に表示されるガイド画面に、「例えば、これまでマニュアルに付せん紙を張っていたようなナレッジを埋め込める」(日立)ため、ベテランの知識・ノウハウを共有できるという。加えて、ここで表示される業務フローがユースケースを兼ねるので、業務とのギャップも避けられ、操作ログから改善点を見つけ出すことも可能になっている。「業務ノウハウを共有する、継続することは企業にとって非常に重要だが、個人ベースのノウハウはなかなか引き継がれない。これを導入することで、生産性・効率の向上に大きくつながっていくのではないか」(情報・通信グループ ソフトウェア事業部長、中村孝男氏)。

 次のアプリケーションサーバー強化では、独自のメモリ管理方式によって、Full GCの発生を抑止できる。ユーザー側では、既存Webアプリケーションには一切手を加える必要がなく、Cosminexus Version 8にバージョンアップするだけでこのメリットを得られるとのことで、情報・通信グループ アプリケーション基盤ソフトウェア本部長、林重年氏は「アプリケーションの反応がなくなるとユーザーは不安になるが、これが解消され、Webシステムを快適かつ安心に利用できる。また、サービス時間の制約もなくなり、24時間いつでも利用可能になる」とメリットを説明した。


パートナーへ提供されるSIナビの概要
 一方、製品の強化だけでなく、パートナーとの関係強化によってもシェアの拡大を図る。日立は、12月発足予定のパートナーコミュニティを中核にパートナープログラムを強化する考えで、パートナーコミュニティでは、テーマ別の分科会を設置。テーマ別の分科会を設置しベストプラクティスの共有を図ったり、システムパターンの充実や標準化を推進したり、といった活動を行っていくとした。さらに、同社がSI活動の中で培ったノウハウをベースにツール「SIナビ」を開発。これをパートナーへ提供する。

 SIナビでは、限定された設計を行うだけで、パラメータ仕様書を自動生成するほか、定義ファイルや運用バッチ・シェルなどの自動生成にも対応。また、自社製品だけでなく、F5のBIG-IP、Oracle Database、SQL Serverといった他社製品についてもサポートしているとのことで、パイロットプログラムでは、約4割の工期を短縮できた事例もあったという。こうした支援を提供する理由について、中村氏は「パートナーに扱ってもらわないとデファクトスタンダードがとれない。当社のJP1は、お客さまにRFPの段階で指定していただけるケースも多いが、これはさまざまなパートナーが扱ってくれているからだ」と説明。パートナーとともに、シェア拡大を目指すと述べた。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/10/1002.html


( 石井 一志 )
2008/10/02 16:11

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