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東芝、vProテクノロジーを利用した仮想化エンジン「vRAS」


vRASの概要

東芝 PC&ネットワーク社の技師長、下辻成佳氏
 株式会社東芝は10月8日、インテル vPro テクノロジー(以下、vPro)を利用したPC仮想化エンジン「vRAS」を発表した。今後は同エンジンの製品化を進め、その第1弾として、PC集中管理ソリューション「Virtual Group Computing System」と、PC統合セキュリティシステム「PC運用上手SS」を、2009年1月以降に発売する予定。

 vRASは、1つのPC上にクライアント利用環境と仮想サーバー機能という、2つの仮想環境を共存させるための仮想化エンジン。仮想サーバーからクライアント利用環境を監視・制御することで、PCのセキュリティ確保と高い管理性を実現できる。東芝 PC&ネットワーク社の技師長、下辻成佳氏は、vRASが持つ意味について、「Windowsの使い勝手はほぼ損なわれておらず、ユーザーは従来と同じ使い方が可能な一方、IT管理者から見ると、データはサーバーにあるように見え、セキュリティを保てる。サーバーでやっていたものをすべてクライアントPCへ持ってくるので、サーバーという物理的なハードウェアが不要になる」と話す。

 ベース技術としては、vProと東芝独自のデバイス制御技術を組み合わせ、PCの仮想化に伴って生じるオーバーヘッドや周辺機器の利用制限を最小限に抑えているとのこと。下辻氏はvProをベースにした理由を、「vProはPCのハードウェアを最大限生かして仮想化を提供できる能力を持っている」と説明。「vRASでは、vProが提供する機能を最大限用いている」と述べた。


PC運用上手SSの提供イメージ

Virtual Group Computing Systemでは、システム領域とデータ保存領域を仮想的に集約し、管理性を向上させる
 vRASをベースにしたソリューションのうちPC運用上手SSは、企業内のPCを集中管理するためのソリューションで、操作監視、操作制御、検疫ネットワークなどの機能を利用できる。導入にあたっては、vRAS対応PCのうち最低1台(推奨は2台以上)に仮想サーバー環境を構築し、そこからネットワーク内のほかのクライアントPCを管理する。管理サーバー環境を構築したPCも、通常のクライアントPCとして利用可能なほか、サーバー機器を導入していない小規模オフィスでも運用管理や情報漏えい対策が可能になることから、「コストメリットをvProによって提供するものだ」(下辻氏)とした。管理される側のPCには、特に制限はないという。

 一方のVirtual Group Computing Systemでは、PCの環境を、OSやアプリケーションが入ったシステム領域と、データ保存領域の2つの仮想環境へ分割。それぞれを仮想的に集約し、管理者による一元管理を実現する。ユーザーが常用する環境であるシステム領域は、部門や職種など、同じアプリケーションを使うグループごとに共通化した仮想マシンを配布すればよく、パッチ適用やアプリケーション変更などは、一括して管理者が行える点がメリットだ。

 またデータ保存領域に書き込まれたデータは暗号化され、社内LANから切り離されると見えなくなるため、盗難・紛失時などの情報漏えいを防げるという。ただし、業務上社外に持ち出す必要がある場合は、利用期間付きのキーを管理者に発行してもらうことにより、外出先などでの利用も柔軟に行えるとした。

 一般的な画面遷移型のシンクライアントと異なる点は、PCのハードウェアリソースはそのまま活用できること。これによって、負荷の高いソフトウェアもほかのユーザーへ影響を与えずに利用でき、また周辺機器利用の制限も受けにくいとした。さらに、vRASによる仮想サーバー機能を活用してシステムを構築するので、サーバー機器を用意する必要がない点も特徴という。当初は、東芝製の対応PCとソフトウェアの組み合わせで提供される。

 なお、今回発表された両ソリューションについては、現段階では基本的なコンセプトが明らかにされただけであり、正式発表までの間に仕様変更がなされる可能性もあるとのことである。



URL
  株式会社東芝
  http://www.toshiba.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.toshiba.co.jp/about/press/2008_10/pr_j0801.htm

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( 石井 一志 )
2008/10/08 18:17

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