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インフォテリア、企業向けのファイル転送キューイングサービス「OnTranq」


代表取締役社長の藤縄智春氏

メーラーとほぼ同じインターフェイスを実現。メールより安全に、メールの使い勝手を損なわずに利用できるという

送受信のステータスのみならず相手の確認状況まで把握可能
 インフォテリア・オンライン株式会社(以下、インフォテリア)は10月9日、企業向けのファイル転送キューイングサービス「OnTranq」を発表した。

 OnTranqは、機密情報や大容量データの転送サービス。メールより安全で、双方のマシンが起動している必要のあるFTPより柔軟なほか、複雑なネットワーク設計が必要なVPNよりも簡単にデータをやり取りできるのがメリットという。また、送受信側双方のクライアントPCに専用ソフトをインストールするのが特徴。これによりメールの使い勝手を損なわずにデータ転送が行えるという。

 専用ソフトをインストール後、簡単な設定を行うだけで利用が可能。ファイル自体をデジタル証明書により暗号化/署名し、SSLで通信経路の暗号化も行った上で転送する。転送されたファイルは、インフォテリアが運用する“トランク”に一時的に保管(キューイング)され、受信者はOnTranq専用ソフト上でメーラーのようにデータを開封することができる。

 代表取締役社長の藤縄智春氏は、「ASP・SaaSでは、外部にデータを保存する不安感が普及のボトルネックになっている。OnTranqは一時的に保管するだけで、送受信が終わった後は当社のシステム上にデータを一切残さない」と述べ、“キューイング”がポイントであると語った。

 あて先には複数の相手を指定できるほか、送信した後、相手が未読のうちであれば送信を取り消すことも可能。「一般的な誤送信対策では、サーバーなどに一定時間メールをとどめる方法が主流だが、この場合問題ないメールも相手に届くのにタイムラグが生じてしまう。一方のOnTranqでは、相手が未読の場合のみ削除可能とすることで、誤送信対策とスムーズなやり取りをバランス良く行えるようにした」(藤縄氏)と説明している。

 データの送信後は、専用ソフトのコンソール上に「送信済み」「受信済み」「未読」「完了」「リトライ中」などのアイコンが表示され、送受信のみならず相手の確認状況まで把握することが可能。

 もう1つシステム連携機能が充実しており、これが無料のWebサービスとの差別化要因となっている。例えば、送信時に特定のフォルダにデータを入れることで、フォルダ監視機能が検知して自動的に送信を行うことが可能。また受信時には、データを受け取ったと同時に「ファイル保存」「FTP送信」「外部プログラム実行」などが行える。

 インフォテリアでは、システム連携機能を使った活用例を紹介している。例えば、各地に店舗を構える企業が、各拠点と本部に同製品を導入し、各拠点からの営業報告書などを本部へ自動送信。本部では受け取ったデータをファイル保存して、外部プログラムで集計・分析したのち、レポートを各拠点へ自動的に返送するといったことが可能になる。

 また、A社とB社に導入して、相手から受け取ったデータを自動的にデータベースに反映し、その最新情報を自動的に返信するというサイクルを回すことで、簡単なEDI(企業間連携)を実現することも可能という。


 Webブラウザさえあれば利用できるWebサービスと違って、OnTranqでは専用ソフトが必要となる。そのため送受信側双方で同製品を導入する必要がある。この点に関しては「セキュリティと利便性のトレードオフにおいて、まずはセキュリティを優先させた結果。利便性に重みを置くことも可能なので、今後調整していくことは簡単」(藤縄氏)としているが、現状は、純粋なデータ転送サービスというよりは、上述のようなシステム連携機能を生かした利用が特に有効的であろう。

 価格は、ファイルを一時的に保管するトランクの容量によって変わる。トランク容量100MBの「OnTranq 100M」が、月額3000円/PC、あるいは年額3万円/PC。トランク容量1GBの「OnTranq 1G」が、月額3万円/PC、あるいは年額30万円/PC。1台のPCを複数のユーザーが使い回すことが可能。そのほか容量・PC無制限の「OnTranq Unlimited」が、初期費用500万円から、年間利用料が500万円から。


システム連携機能を生かし、各拠点と本部がデータをやり取り システム連携機能をうまく使えば、簡易EDIも実現できるとしている


URL
  インフォテリア・オンライン株式会社
  http://online.infoteria.com/
  ニュースリリース
  http://online.infoteria.com/news/pr081009.html


( 川島 弘之 )
2008/10/09 18:34

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