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弥生、使い勝手を追求した業務ソフト「弥生 09シリーズ」

サポートサービスの内容も拡充、福利厚生サービスなどを提供へ

弥生会計 09 プロフェッショナルのパッケージ

取引予定表機能

業種別のテンプレートも提供される
 弥生株式会社は10月15日、業務ソフトパッケージの新版「弥生 09シリーズ」を発表した。会計ソフト「弥生会計 09シリーズ」、給与ソフト「弥生給与 09シリーズ」、販売管理ソフト「弥生販売 09シリーズ」を、いずれも12月5日に発売する。

 ここ数年、順調に成長を遂げてきた弥生だが、93億7900万円を売り上げた2007年度(2007年9月期)と比べ、2008年度(2008年9月期)は93億2000万円と5900万円の減収になる見込み。この理由を代表取締役社長の岡本浩一郎氏は「事業が多少ぶれかかった部分があった」と分析し、「当社のお客さまは、中小企業や個人事業者、起業家といったところが中心。ここから、これまで以上の支持をいただいてこそ、新たな成長がある。使いやすい『インフラ』を目指していく」との考えを示した。

 この方針に従い、「弥生 08シリーズ」の後継として提供される弥生 09シリーズでは、シリーズ全般で法令改正への対応を強化したほか、機能面で、以前から弥生製品が強みとしてきた、「かんたん、やさしい」を徹底するための改善を行ったという。まず、弥生会計 09シリーズにおいて、検索や並べ替えといった画面の使い勝手を向上。さらに、家賃や光熱費、給料などの定期的に発生する仕訳を事前に登録しておき、仕訳作業を支援する「取引予定表」機能により、ユーザーの負荷軽減が図れたとのこと。

 加えて、「自社や業務にあった利用ができるのか」という不安を抱える顧客がいることに注目し、業種別のテンプレートをダウンロードできるようにした。このテンプレートでは、「勘定科目が特定の業種向けにあらかじめ設定されており、不慣れな方でもスムーズな導入が可能になる」(マーケティング部 立堀隆氏)とのことで、今後は、仕訳を簡単に入力できる業種別の追加機能も提供する。

 また、弥生販売 09シリーズでは、得意先、商品などの台帳(マスター)登録を、伝票画面からでも容易に行える「かんたん台帳登録」機能、台帳新規作成時に、ルールに従って台帳コードを自動で付番する「台帳コードの自動付番機能」を追加。それ以外では、利用される頻度がもっとも高い、請求書発行機能関連で使い勝手を優先的に改良している。


福利厚生サービス提供Webサイトのイメージ

弥生 09シリーズのパッケージ一覧をかかげる岡本浩一郎社長
 さらには、「ソフトとサービスを両輪にする」(岡本社長)方針のもと、保守サポート契約ユーザー向けのサービスを拡充した点も、弥生 09シリーズの特徴。この中ではまず12月より、大手の福利厚生サービス事業者と提携し、自社のユーザーへサービスを無償提供する。対象は全サポート契約ユーザー。これによって、自社で福利厚生を整備しづらい中小企業でも、宿泊施設やスポーツ施設を廉価に利用できるようになるという。

 また、弥生会計のサポート契約ユーザー向けには、「一般仕訳相談サービス」を用意した。こちらは現在、試験運用中の段階で、タイミングを見て本格的な運用へ入る予定である。岡本社長によれば、これらはいずれも顧客のニーズが高いものだとのことで、「ニーズに応えられるところから、まずやっていく。お客さまの業務上の課題を解決したいと考えており、目に見える製品だけでなく、サービスを提供する。これによって、ビジネス上のコンシェルジュを目指す」とした。

 なお、このように弥生がサポートの付加価値を強化する背景には、サポート契約ユーザーを増やして、売り上げ・収益を向上させたい狙いがある。中小規模向けの業務ソフトは成熟市場のため、どのソフトメーカーでも、既存顧客に対するサポートビジネスが営業上の重要な要素になりつつある状況。弥生でも、起業家支援団体との協業による起業家向けの取り組みや、税理士などと組んでの自計化促進など、業務ソフト市場の拡大に向けた施策は行っているものの、劇的な拡大は今すぐに期待できないため、サポートビジネスの拡大にかける期待は大きい。

 岡本社長も、「付加価値を上げていくことで多くのユーザーにサポートに加わってもらいたい。契約率は製品によっても異なるので、目標は一概には言えないが、あえて述べるならば100%を目指していきたい」と話し、サポート契約ユーザーの拡大に意欲を示した。

 一方で、今回はプロモーション活動にも力を入れている。タレントの菊川怜さんをイメージキャラクターに起用したほか、インプレスジャパンの発行する「できる弥生会計 09」「できるやよいの青色申告 09」を無償配布。また10月15日より弥生 09シリーズの特設サイトをオープンさせ、製品の紹介や、実際に操作が体験できるオンラインデモも公開する。「いかに親しみを持って、まず使っていただけるかが鍵。そのステップごとに、できるだけのことを対応したと思っている」(岡本社長)。

 価格は基本的には旧版と同一で、会計ソフトは「弥生会計 09 プロフェッショナル」が8万4000円、「弥生会計 09 スタンダード」が4万2000円、「やよいの青色申告 09」が1万2600円。販売ソフトは、「弥生販売 09 プロフェッショナル」が8万4000円、「弥生販売 09 スタンダード」が4万2000円。給与ソフトは、「弥生給与 09」が8万4000円、「やよいの給与計算 09」が2万6250円。このほか、弥生販売 09の2ユーザー、5ユーザーの各パッケージ、弥生会計 09と弥生販売 09のネットワーク版なども用意される。



URL
  弥生株式会社
  http://www.yayoi-kk.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.yayoi-kk.co.jp/news/20081015_1.html

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( 石井 一志 )
2008/10/15 18:23

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