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日本CA、エンドユーザー視点でWebアプリ性能問題を解決するAPM新製品

メソッドレベルで根本原因を究明

ワイリー・テクノロジー営業本部長の脇本亜紀氏
 日本CA株式会社は10月22日、アプリケーション性能管理(APM)製品群「CA Wily Application Performance Management(以下、CA Wily APM)」の新版を発表した。同日から出荷開始する。

 CA Wily APMは、Webアプリケーションのパフォーマンスと可用性の管理を行う製品。問題が起きたときの原因究明力に優れ、粒度を細かくドリルダウンしていけるのが特長。

 ワイリー・テクノロジー営業本部長の脇本亜紀氏は「米国でCA Wily APMは、最初はトラブルシューティングとして認知されていたが、最近本番運用環境の常時監視ツールとして認知され始めている。大規模案件も増大しており、標準インフラとして全社的に採用される段階に入った」と説明。その上で「日本でもトラブルシューティングだけでなく、本番運用中のアプリケーション監視による予兆検知の重要性を訴求していきたい」と戦略を語った。


ワイリー・テクノロジー営業本部 テクニカル・ソリューションズ ディレクターの駒林一彦氏

CA Wily APMの製品構成
 CA Wily APMには、2つの製品が含まれる。

 1つが、Javaおよび.NETのWebアプリケーションやアプリケーションサーバー、プロセスサーバー、そのほかSOAコンポーネントなどを常時監視する「CA Wily Introscope 8」。アプリケーションサーバーなどのリソースにAgentを導入し、パフォーマンスや可用性に異常が生じた際に、迅速な問題切り分け、根本原因分析、履歴データ収集、レポート作成などを支援してくれる。事前にボトルネックを特定することができるため、システムダウンの排除のほか、運用保守コストの削減、SLAの管理なども実現するという。

 もう1つが、Webアプリケーションが提供するサービスにおいて、エンドユーザーのエクスペリエンスを把握・分析する「CA Wily Customer Experience Manager(以下、CA Wily CEM) 4.2」。インターネットの出口に近いネットワーク機器のミラーリングポートを使って、エンドユーザー・トランザクションの動きをリアルタイムに分析。パフォーマンス上の問題を特定して優先付けし、エンドユーザーに影響を与える前に問題解決できるよう支援する。

 ワイリー・テクノロジー営業本部 テクニカル・ソリューションズ ディレクターの駒林一彦氏は、「APMというとこれまではCPUリソースなどを監視する“ITの管理”ばかりだったが、CA Wily CEMは、エンドユーザーの視点で“サービスの管理”が行える製品。例えばCPUやメモリのリソースを監視していても、本当のところ、ユーザーのトランザクションは良好に処理できているのか、使っていて異常な遅延が起きたりしていないか、もし起きているのならどのユーザーが影響を受けているのか、といった実情は把握できない。そういったエンドユーザーの体感を管理できるのがCA Wily CEMという製品だ」とした。


CA Wily Introscopeのアーキテクチャ。各Agentから情報収集する「Collector」、それを管理する「Manager of Manager」から構成され、情報を他社のシステム管理製品に連携させることもできる CA Wily Introscope 8ダッシュボード。目的や利用者に応じたビューを自由に構成可能 トランザクション追跡。ここのWebトランザクションの動作を、コンポーネント、メソッドレベルで追跡できる

 特徴的なのが、その原因究明力の高さだ。

 CA Wily CEMでは、エンドユーザー体験の視点から検知されたDefect(障害)に基づき、重要な問題をインシデントとしていち早く提示してくれる。それらは優先度順にインシデントリストとして表示され、障害の種類(例えば、Slow Timeなど)のほか、その障害が発生したトランザクションの対象となるアプリケーションサーバーのIPアドレスやMACアドレスなども示してくれる。

 このリストから1件1件のインシデントをドリルダウンすると、障害の原因として可能性の高いプロセスがグラフで示される。「一般的に問題が生じると最初に疑われるのがネットワーク。トラブルシューティングとしては、ネットワークの調査を行ってから、アプリケーションやそのプロセスの調査が行われるのだが、CA Wily CEMを使えば、そうした手間を除去して、真っ先に原因の可能性が高い対象を調査することが可能になる」(駒林氏)という。

 さらにドリルダウンを進めていけば、どのサービス(ビジネスプロセス)で問題が発生しているのか、エンドユーザーのうち何人にどんな影響が生じているのかが分かるようになっている。またトランザクション追跡を行うことで、具体的にどのコンポーネントやメソッド、Javaサーブレットが原因となっているのか、さらにはアプリケーションのパラメータ値をどう変更したせいで問題が生じたのか、といった非常にミクロなレベルまで調査を行うことができる。

 加えて例えば、Slow Timeが発生した際にエンドユーザーのリクエストはどんなものだったのか、トランザクションの内容を再現することも可能という。

 また「オーバーヘッドの低さも特長」と駒林氏は語る。「CA Wily CEMでは、そもそもネットワーク機器をミラーリングするアーキテクチャのため、実質的にオーバーヘッド“ゼロ”を実現している。一方、各WebアプリケーションやサーバーにAgentを導入する必要があるCA Wily Introscope 8でも、特許技術により、オーバーヘッドを最小限に抑えることが可能」とのこと。


インシデント管理画面 原因の可能性が高いプロセスを示してくれる 各インシデントをドリルダウンすると、非常に粒度の細かい情報が確認できる

ユーザー体験性能分布状況。各アプリケーションやトランザクションのユーザー体験性能が把握できる SLA管理画面。SLAレベルでアプリケーションの状況を報告してくれる

CA Wily Introscope 8新機能
 なお、CA Wily CEMは今回が日本初投入。以前より提供していたCA Wily Introscopeの新版では、より多くのシステムを監視できるようスケーラビリティを向上したほか、Webサービス管理機能を強化。大規模なSOA環境でも柔軟にAPMを行えるようにした。

 脇本氏は、「そもそもWebアプリケーションは切り分けが難しいのだが、さらに複雑にしているのが仮想化の技術。逆にAPM製品にとっては追い風」(同氏)とし、仮想化の波もチャンスだと述べた。現状、VMware、Sun Solarisの仮想環境をサポート。問題が発生しているのがどの仮想マシンで、それはどの物理サーバー上で稼働しているのかを把握した上で、上述の原因究明が行えるという。

 参考価格は、CA Wily Introscope 8が120万円(税別)/CPU、CA Wily CEM 4.2が75万円(同)/CPU、両者セットで162万5000円(同)/CPU。



URL
  日本CA株式会社
  http://www.ca.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.ca.com/jp/press/release.aspx?cid=189677

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( 川島 弘之 )
2008/10/22 15:59

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