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米Microsoft、Webアプリケーション化した「Office 14」を初披露


 米ロサンゼルスで開催されている米Microsoftの開発者向けセミナー「Professional Developer Conference 2008(PDC 2008)」の2日目の基調講演において、次期Office「Office 14」の特徴的な機能が紹介された。

 Office 14では、ソフトウェアとしてパッケージで販売されるものと、Webアプリケーション化したサービスとして提供されるものの2種類が用意される。

 パッケージ版に関しては、さまざまな機能が追加されているが、基調講演では、Live ServiceをOffice 14の基盤プラットフォームとして取り込むことで、共同作業の効率化を図っている。

 たとえば、OneNoteを使っているときに、別のユーザーとドキュメントをネットワークを経由して共有することができる。A氏がOneNoteに待ち合わせ場所の住所の地図を貼り付ければ、データを共有しているB氏のPC上に起動されているOneNoteの表示も自動的に変更される。


2台のPCでOffice 14版のOneNoteを動かし、データを共有している様子。一方で編集すれば、他方のOneNoteも自動的に更新される。左側がPC上で動作しているOffice 14のOneNote、右側がWebアプリケーションとして提供されているOneNote
Wordなどは、誰が編集して、コメントを追加したかなどが付箋(ふせん)で表示されている。複数のユーザーが同時に文書を編集するときには、必要な機能だ
編集した文書は、簡単な操作でOffice Live WorkSpaceにアップすることができる

 ターミナルサービスやリモートデスクトップのように、ホストの画面を共有しているというわけではなく、それぞれのクライアントPCで動作しているOneNote同士でデータを共有している。この機能のすごいところは、ベースのインフラとしてLive Serviceを利用しているため、PC同士でなくても、データ共有が可能だということだ。デモでは、携帯電話で撮影したレストランのメニューをOneNoteに貼り付けて、ほかのユーザーと共有していた。また、データは1対1で共有するのではなく、複数のユーザーで共有できるようにもなっている。

 このような機能は、チーフソフトウェアアーキテクトになったレイ・オジー氏が開発を進めていたGrooveを拡張したものだ。Grooveのコンセプトが、Live ServiceやLiveMeshになったといえる。

 Webアプリケーション化したOfficeは、Office Web Application for Microsoft Office Word、同Excel、同PowerPoint、同OneNoteの4種類。

 これらのアプリケーションは、Internet Explorer、Firefox、SafariなどのWebブラウザ上で動作する(Ajaxで構築されているか、Silverlightが利用されているのかは不明)。見た目には、既存のOfficeと同じようにリボンUIを採用し、ほとんど変わらないインターフェイスを実現している。Webブラウザのメニューさえなければ、Webアプリケーション化していることがわからないほどだ。もちろん、このWebアプリケーションは、単なるビューアといったものではなく、ドキュメントの作成、編集なども行えるようになっている。


PowerPointのWebアプリケーション版の画面。画面の上部にWebブラウザのコントロールバーがなければ、Webアプリケーションだとは感じられない
Webアプリケーション化されてもPowerPointの編集ができる

Webアプリケーション化されたWordの画面
Wordの文書をWebアプリケーション上で編集

Webアプリケーション化されたExcel Excelのデータを編集。Office 2007で搭載されている関数などがすべてサポートされているかは不明

Webアプリケーション化されたOneNote
ローカルのPCではあまり使われないOneNoteもWebアプリケーション化すれば、多くのユーザーに使われるかもしれない

 Webアプリケーション化したOfficeもバックエンドでは、Live Serviceと連携しているため、パッケージ版のOfficeに搭載されたデータ共有機能を持っている。これを利用することで、ローカルのPCで編集したデータを、インターネット上のWebアプリケーションと共有したり、携帯電話からドキュメントを編集したりすることができる。

 このWebアプリケーション化したOfficeは、個人ユーザーにはOffice Liveで提供される予定。企業ユーザーには、Microsoft Onlineなどで提供されるようだ。個人ユーザーは広告モデルで無料となるのか、企業ユーザーが利用するための価格はどのくらいに設定されるかなどはまだ未定だ。

 ただ、Webアプリケーション化したOfficeも、先日発表されたクラウドサービスのWindows Azureをベースとして、開発されたものと予測される。このため、将来的には、Officeもクラウドでサービスされる1つのアプリケーションとなるだろう。また、Microsoftが進めているSoftware+Serviceの重要なモデルとなるかもしれない。

 Office 14は、年内に限定ユーザーに対するベータテストを開始。リリース時期に関しては未定だが、2009年後半ではないかと予測されている。



URL
  米Microsoft
  http://www.microsoft.com/
  Microsoft Professional Developers Conference 2008
  http://www.microsoftpdc.com/


( 山本 雅史 )
2008/10/30 00:01

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