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コグノス、IBM製品と連携したパフォーマンス管理製品の新版など

高速なインメモリ型OLAP製品も提供へ

日本IBM、専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏

IBM Cognos製品はIODを完成させる最後のピース
 コグノス株式会社は10月31日、効率的なパフォーマンス管理(PM)を実現する新製品「IBM Cognos TM1」および「IBM Cognos 8 v4」を発表した。12月初旬より販売を開始する。

 コグノスの親会社であるカナダCognosは、2007年11月に米IBMが買収したBIおよびPMのリーディングカンパニー。その主力製品が、今回発表されたIBM Cognos 8シリーズで、BIのダッシュボード的な役割を果たす「IBM Cognos 8 BI」とエンタープライズ・プランニングを実現する「IBM Cognos 8 Planning」の2製品を内包している。

 現在はIBMのソフトウェア事業に統合され、中でもSOAなどと並んでソフトウェア事業戦略の重要な構成要素となる、「Information On Demand(IOD)」戦略を完成させる最後のピースとして組み込まれている。

 IODとは、「膨大な情報の中からビジネス上の価値ある情報を、必要なときに取り出せるようにするビジョン」(日本IBM、専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏)。管理されたデータやコンテンツを土台に、「IBM InfoSphere」などのデータウェアハウス(DWH)製品群で情報の統合を行い、企業パフォーマンスを最適化するために分析などを行う。その最後の分析を行うのが、IBM Cognos製品だ。


 IBM Cognos 8は、BIツールと分析・プランニングツールから構成されるPM製品。新版では、日本IBMの企業向けDWHミドルウェア「IBM InfoSphere Warehouse」や統合データ管理ソフト「IBM InfoSphere Data Architect」などとの機能連携を実現。さらに、IBM Cognos 8のレポートに使用されたデータの出典を系統化して確認できるデータリネージ機能が追加されたことで、ユーザーはInfoSphereで管理されたDWHから、IBM Cognos 8で作成されたBI情報までを一元的に活用することが可能になる。

 そのほか新機能として、ゼロからカスタマイズできるダッシュボード「IBM Cognos 8 Go! Dashboard」を搭載したことで、より戦略的に企業内の情報を生かすことが可能。同機能は企業内検索エンジンと連携も可能で、これによりあらかじめ定義された構造化データのみならず、PDFやWordなどの非構造化データもIBM Cognos 8 BIのインターフェイスに表示することが可能という。


IBM Cognos 8 Go! Dashboardの特徴 ダッシュボード画面

IBM Cognos TM1の特徴
 一方のIBM Cognos TM1は、インメモリ型のOLAP(オンライン分析処理)製品。「特許取得済みの64ビットインメモリ処理による圧倒的な分析速度が特徴」(日本IBM、ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 BI&パフォーマンス・マネジメント・マーケティング担当の高澤正道氏)で、500ユーザー想定による読み込み/書き込みにおいて、全体の99.6%の処理を2.5秒以下で行うことができるという。

 データの読み込みだけでなく、書き込みにも対応し、データ統合機能「Turbo Integrator」やビジネスルールのモデリング機能などを備える。

 コグノスおよび日本IBMでは、同製品を財務・経理部門を対象とした分析ツールとして戦略展開している。「その理由は、まず企業で分析を行うのが、財務・経理であることが多いから」(高澤氏)で、IBM Cognos 8 v4とIBM Cognos TM1は相互連携も実現しており、両製品を組み合わせることで、より効率的に「計画立案・予算作成・予測・財務報告といったプロセスと成果の最適化が図れる」としている。

 IBM Cognos TM1も財務・経理部門を意識した仕様となっており、「Excelとの親和性が高く、財務・経理部門が使用することの多いExcelを使って画面を作成し、データの分析を行えるようになっている」(同氏)ことがIBM Cognos TM1の特徴でもあるという。

 IBM Cognos 8 v4とIBM Cognos TM1の連携イメージとしては、「例えば財務・経理部門であれば“予算編成”をIBM Cognos 8 v4のプランニングツールを使って行うことができる。入力機能、集計機能、承認ワークフロー、進ちょく管理機能などで全社的な予算を作成することが可能。予算編成を行うためには、事前に膨大なデータから過去の分析や未来の予測などを行う必要がある。それを行うのが、インメモリで高速処理が可能なIBM Cognos TM1だ」(同氏)と説明している。



URL
  コグノス株式会社
  http://www.cognos.com/jp/
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/10/3101.html
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/10/3102.html

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( 川島 弘之 )
2008/10/31 17:38

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