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日立ソフト、1ラックで仮想データセンターを構築できるソリューション

導入・運用ノウハウも提供、発注後3カ月での短期導入を実現

SecureOnline 1ラックソリューションの概要

セキュリティサービス本部 本部長の中村輝雄氏

これまでに培ってきたノウハウにより、最適な設定を提供できるという
 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)は11月19日、顧客の社内に仮想化データセンターを構築する「SecureOnline 1ラックソリューション」を販売開始すると発表した。同社の提供しているITインフラサービス「SecureOnline」のノウハウを生かし、構築に必要なブレードサーバー、SANストレージ、ネットワーク機器、管理コンソールを1つのラックに集約。また、仮想化ソフトの設定も終えた状態で納品するため、一般的なSI案件と比べて大幅に短い、発注後3カ月での稼働が可能になるという。

 SecureOnlineでは、日立ソフトのデータセンター内にサーバーを設置し、その上で動作する仮想マシン(VM)環境をユーザー企業へ提供している。データセンターと顧客環境はVPNで接続され、ユーザーはあたかも自社内にあるかのようにVMを利用できる。しかし、セキュリティサービス本部 本部長の中村輝雄氏によれば、自社内にVM環境を設置したいというニーズがあるため、「今回、仕掛けそのものをお売りすることにした」という。

 1ラックソリューションの特徴は、ハードウェアからソフトウェア、サポートなどをオールインワンでそろえるとともに、日立ソフトが培ったノウハウをあわせて提供し、短期導入を可能にする点。ソフトウェア、ハードウェアともに日立ソフト側で用いている実績のある組み合わせに限定していることから、セッティングをそのまま流用できるほか、設置後の動作検証も確認作業だけで済む。

 また中村氏が「VMをいくつ作れるかで社内のコストが変わってくるため、ユーザーはできるだけたくさんのVMを作りたい。しかし、各製品の多数の項目でパラメータセッティングをしないと、提供できる数が減ってしまう」と指摘するように、仮想データセンター環境構築の上でもっともやっかいなのは、各種製品のパラメータ設定である。しかし日立ソフトでは、「SecureOnlineで培ったパラメータのベストセッティングを持っている。VMware、ブレードサーバー、ネットワーク設定をはじめ、これらをすべて当社で提供する」(中村氏)ため、ユーザーは最適化された環境を容易に導入できる。

 提供するノウハウは導入だけにとどまらず、運用についても同社が蓄積したノウハウをユーザーへ伝えるとのこと。さらに、保守についても、日立ソフト側が一括して請け負い、パッチや設定変更などについては、SecureOnlineで実証されたもののみをユーザーへ提供するほか、VMの監視ツールや、日立電子サービスによる監視サービスもセットにしているため、情報システム部門の保守に要する手間を削減できる。これらの点を踏まえて中村氏は、「1ラックを、1つのコンピュータシステムとして売り出すイメージ。1ラックソリューションは、いわばSecureOnlineの分室を作るようなものだ」(中村氏)と述べた。


 参考価格は、ブレードサーバー筐体×1、サーバーブレード×10、ストレージ容量6TBなどを含む基本構成で7000万円(税別)から、年間保守料金が費用の18%(税別)。この構成では、約150のVMを稼働させられるという。「SE費用も含めてこの価格であり、通常のSIではこの価格ではできないだろう。また保守も、(基本構成の場合)当社の工賃も含めて月額約100万円でシステムすべてを保守できる」(中村氏)。なお日立ソフトでは、初年度に10社の導入を見込んでいる。



URL
  日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
  http://www.hitachi-sk.co.jp/

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( 石井 一志 )
2008/11/19 13:07

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