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オフラインでも仮想マシンが使えるデスクトップ仮想化製品「VMware View 3」


VMware View 3の構成内容

システムズマネージメント ソリューションスペシャリストの橋本洋氏
 ヴイエムウェア株式会社は12月3日、デスクトップ仮想化ソリューションの最新版「VMware View 3」を発表した。

 VMware Viewは、これまでVMware Desktop Infrastructureと呼ばれていたデスクトップ仮想化ソリューションの最新版。同社のサーバー仮想化スイートである「VMware Infrastructure 3(以下、VI 3)」をベースに、仮想デスクトップへのコネクションを提供する「VMware View Manager」などで構成される。

 最新版では、新たに「VMware View Composer」「VMware ThinApp」「オフラインデスクトップ」が追加されている。

 VMware View Composerは、仮想マシンの容量を最適化する製品。従来の方式では、仮想マシンごとにHDD容量を確保する必要があったが、VMware View Composerでは、リンククローン方式により、差分情報だけの仮想マシンを作成することが可能なのが特長。同社システムズマネージメント ソリューションスペシャリストの橋本洋氏は、「ゴールドマスターと呼ばれる仮想マシンから、そのスナップショットとなるマスターVMを作成。このマスターVMを利用して、差分情報のみ保存したクローンVMを作成することで、容量の小さなクライアント用の仮想マシンを作ることができる。容量を小さくできるだけでなく、マスターVMにパッチを適用することで、クローンVMすべてでパッチ適用するといった使い方が可能なのもメリット。そのほか、OSとユーザーデータを別ドライブで管理する仕組みを採用しているので、クライアントPCのデータを分離して保存するなど、メンテナンスも容易になる」と、紹介した。


VMware View Composerの特長 差分情報を持つクローンVMが中心となるため、従来方式と比べて容量面でも管理面でも優位に OSのデータディスクとユーザーのデータディスクに分離されるため、管理しやすいのも特長

 VMware ThinAppは、アプリケーションを仮想化する製品。Windowsアプリケーションを実行環境ごとパッケージ化することで、どのWindows環境でもアプリケーションを動作させられるのが特長。ユーザーからはローカルで実行している感覚で使えるのもメリットとなっている。


ThinAppの特長 仮想アプリケーションを作成する「ThinAppパッケージャ」と、実行環境を含んだ「仮想アプリケーションパッケージ」で構成

オフラインデスクトップの特長
 オフラインデスクトップは、VI 3上で動作している仮想マシンをローカルのPC上で動作させる製品で、試験的サポートとして提供されるもの。ユーザーが仮想マシンをローカルPCで利用する(チェックアウト)と指定すると、サーバー上の仮想マシンをダウンロード。ダウンロードした仮想マシンはVMware ACEベースの専用クライアント上で動作させることができる。ローカルPCで仮想マシンを利用している間は、サーバー上の仮想マシンはロックされているので整合性を保つことができる。再度サーバーで利用する(チェックイン)ときは、差分情報のみ更新することで、つねに最新のデスクトップ環境が利用できるのが特長。現状、試験的サポートであるため、対応するクライアントOSはWindows XPのみ。また、VMware View Composerで作成したクローンVMは、オフラインデスクトップには対応していない。

 そのほか、VMware View Managerでは、個別のプリンタドライバをインストールすることなく仮想マシンから印刷を可能にする「仮想プリンタ」、仮想マシン以外に、デスクトップPCやブレードPCなど非仮想プラットフォームへの接続にも対応した「統合アクセス」などの機能が追加されている。


仮想マシン以外も管理可能な統合アクセス 個々にプリンタドライバをインストールすることなく利用できる「仮想プリンタ」

VMware View 3のパッケージ構成
 VI 3、VMware View Managerで構成される「VMware View Enterprise Starter Kit」と、VI 3、VMware View Manager、VMware View Composer、ThinApp、オフラインデスクトップで構成される「VMware View Premier Starter Kit」の2つのエディションを用意。価格は、VMware View Enterprise Starter Kitが約25万円より、VMware View Premier Starter Kitが約42万円より。どちらも10台までの同時接続ユーザーライセンスと1年間のGoldサポートが含まれている。


代表取締役社長の三木泰雄氏
 同社代表取締役社長の三木泰雄氏は、「今回発表したVMware View 3では、単なるシンクライアント化ではなく、エンドユーザーが使いたいデスクトップやアプリケーションをいつでもどこでも好きなデバイスから使えるのが特長。特に、オフラインでも同じクライアント環境が利用できるのは大きな利点。将来的には、携帯電話などのデバイスでも利用できる方向に進めていく」と、仮想マシンを利用することで、さまざまなユーザーのニーズに応じた使い方が可能になるとした。




URL
  ヴイエムウェア株式会社
  http://www.vmware.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.vmware.com/jp/company/news/releases/view_3_ga.html
  製品情報
  http://www.vmware.com/jp/products/view/

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( 福浦 一広 )
2008/12/03 18:34

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