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SAS、サプライチェーンにおけるコスト構造を可視化するソリューションの最新版


 SAS Institute Japan株式会社は12月11日、活動基準原価計算/管理(ABC/M)向けソリューションの最新版「SAS Activity-Based Management 6.4」を同日より販売開始すると発表した。

 SAS Activity-Based Managementは、同社の提供する経営管理・管理会計ソリューションの一角をなすもので、ABC/Mに求められる機能を総合的に提供し、サプライチェーンにおけるコスト構造の「見える化」により全体最適化を支援する。共通費・間接費に関して、活動をベースに配賦することで、顧客別や商品別などのコストや収益性を正確に把握し、その原因を特定できる。また、予想される業務量から設備や人員のキャパシティプランニングができる機能も提供する。


執行役員ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏

SAS Activity-Based Management 6.4の機能概要

システム構成イメージ
 執行役員ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏は、「ABCやABMは90年代初めごろに注目され、企業への導入が検討されたが、当時はERPもSCMもなく、商品・チャネル・消費者ニーズも多様化していなかったため、業務プロセスは比較的単純で、コストも単純化して考えることができた。しかし、現在は、物流コストや原材料費の高騰による間接コストの増大、商品やサービスの多様化などによって業務プロセスが複雑化し、コストを把握することが困難になってきている。こうした時期にこそ、ABCやABMを導入するメリットは大きいはず。そして、顧客、商品、サービスごとの収益管理を行い、積極的に収益構造を改善し、収益の最大化を目指す戦略が重要だ。今回の新製品はその戦略を支えられるソリューションであると確信している」と述べた。

 具体的な機能としては、コスト配賦エンジンを始め、事前のデータ収集、加工やコスト計算後のデータの分析、レポーティングに至るコスト管理に必要なすべての機能をカバー。活動ベースのシナリオを複数設定できるため、同一期間内に配賦基準や配賦経路を切り替えてのシミュレーションも可能となっている。

 最新版では、1)ユーザビリティの向上、2)SAS基盤製品との統合、3)レポーティング機能の強化、の3点で機能拡充を実施した。ユーザビリティの向上では、コストフローを可視化するユーザーインターフェイスを採用。コストの割当元と割当先を左右に表示し、コスト割り当ての流れを3画面でビジュアル化した。コスト集計対象の商品やサービスから、そのコスト発生要因をトレースすることができるほか、計算式を用いてコスト配賦基準を柔軟に定義することも可能となっている。

 SAS基盤製品との統合では、各種データ連携機能を強化。ERPやRDBなどのデータを効率的に抽出・収集するためのツールを用意することで、各種データソースに柔軟にアクセスすることが可能となった。また、300種類以上のデータ加工処理をGUIで簡単に利用できるため、エンドユーザーの目的に応じたデータ提供を簡単に行うことができる。さらに、人、活動、サービスチャネルによる深堀り分析や、コスト計算結果のタイムリーな分析を可能にするため、SAS OLAP(多次元)分析機能をバンドル。コスト配賦モデルの計算と同時に多次元データベースの作成を行うことで、他のツールを使うことなく容易に多次元分析を実現する。

 レポーティング機能の強化としては、アドホックなコスト分解レポートを提供し、自由に軸を切り替えながら、コスト構造を理解することができる。また、さまざまなSAS BI製品と連携することにより、統計解析やグラフィカルな分析レポート、OLAP、バランス・スコアカードなどへの展開が可能となった。


コストフローの可視化 データ連携の強化 多彩な表現力のレポート

ビジネス開発本部PMビジネス開発部 部長の森秀之氏
 ビジネス開発本部PMビジネス開発部 部長の森秀之氏は、「新製品では、戦略的な情報として、サプライヤーやプロジェクトごとの収益性を把握し、収益性を基にした解析を行うことで、ビジネスプロセスの最適化を実現する。さらに、業務に必要な情報として、プロセスコストやプライシングのためのモデルを提供し、プロジェクトやトライアルによる収益管理が可能となる。そして、分析力・予見力の強化や他ソリューションとの連携によって、将来の拡張性を担保する統合的な情報基盤を構築することができる」と、その優位性を説明した。

 価格は、最小構成で1000万円から。同社では、2009年で5社への販売を目標にしている。



URL
  SAS Institute Japan株式会社
  http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/
  プレスリリース
  http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/news/press/200812/11.html


( 唐沢 正和 )
2008/12/11 17:17

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