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マイクロソフト、“よりユーザーにやさしい”ERP製品「Dynamics AX 2009」

リボンUIを採用、ユーザーの役割にあわせたポータル画面も用意

新たにリボンインターフェイスを採用している

ロールセンターの例。各個人の役割に応じた最適な画面を構成できる

Dynamics事業統括本部 ソリューション推進部 シニアアカウントエグゼクティブの鹿山剛彦氏
 マイクロソフト株式会社は1月29日、中堅・中小企業向けERPソフトウェアの新版「Dynamics AX 2009」を発表した。2月2日より提供を開始する。

 Dynamics AXは、主に中堅・中小企業や大企業の部門などに適したERPソフトウェアで、Microsoft Officeをはじめとする自社製品との高い親和性や、多言語・多通貨の標準サポートといった特徴を持つ。

 今回の新版では、全部で400以上の追加機能を実装しているが、まず、ユーザーの利便性を向上させるための改善を行った。具体的には、Office 2007から導入されているリボンインターフェイスを全面的に採用したほか、レポーティング機能を刷新。各個人が、CEO、人事管理責任者、営業担当など数十種類の中から、自分の業務に適したポータル画面「ロールセンター」を選択することにより、立場に応じた情報を容易に入手できるようにしている。このレポートは、SQL Serverが持つReporting Services、Analysis Servicesと統合されているので、リアルタイムな情報を入手可能。もちろん、従来の長所である高いカスタマイズ性も引き継いでいるため、必要なKPIなども簡単に追加可能だ。

 「マネージャーや経営者は、1日のうち25%を、情報を探すために費やしているとのレポートもあるが、1画面で情報を集約できるのであれば、効率的な業務環境を実現できる。ERPと分析・BI系ツールの機能を兼ね備える製品は、Dynamics AXだけではないか。またこの製品では、直感的なわかりやすい操作が可能なため、ユーザーのトレーニングが不要な点も大きなメリットになるだろう」(Dynamics事業統括本部 ソリューション推進部 シニアアカウントエグゼクティブの鹿山剛彦氏)。

 加えて、ワークフローエンジンを新たに実装。どのデータに対してワークフローをかけていくのかを決めるテンプレートと、業務上の設定を行うコンフィグレーションの機能によって、顧客の要件に応じた業務フローを柔軟に構築できる。また、グローバル展開に必要な機能も強化されており、各国別に要件を追加する「マルチサイト」機能が追加された。これによって、各国別に要件を吸収して開発した機能を、国・地域ごとに実装できるようになったので、開発工数の削減につながるとのこと。さらに、企業における統制面を支援するための「コンプライアンスセンター」機能も盛り込まれている。


Dynamics AXをコア部品として用い、その上にパートナーのソリューションを構築できるアーキテクチャになっている

執行役専務 ゼネラルビジネス担当の窪田大介氏
 また、ERPソフトウェアの基本機能をマイクロソフトから提供するほか、各パートナーが自由に拡張していけるモジュラー構造を採用している点もDynamics AXの特徴。先行するDynamics CRMと同様、Dynamics AXをパートナーソリューションにおけるコア部品として訴求しており、海外ではさまざまな分野でソリューションが提供されている。国内でも、マイクロソフト初のERP製品として2007年6月に提供が開始されて以来、すでに33社のパートナーがいるとのことで、7つの業種別テンプレートがリリースされた。

 今回は新版の発表にあわせて、横河ソリューションズが、プロセス製造業向けのソリューションの提供と、日本的商習慣に対応した原価管理、販売・購買領域でのソリューションを6月にリリースすることを表明。ほかにも、日立がDynamicsとの連携を強めていること、テクトラからはアパレルリテール・繊維製品製造、リテールビジネス向けのアドオンがリリースされることが紹介されている。

 「日本も海外も厳しい環境の中、Dynamicsは企業向けとしてはもっとも成長している製品となっており、パートナーやお客さまからの期待も高い。日本ではまだ新参者だが、ここにきて多くのパートナーから、日本にあったSIやサービスを提供できる体制が整った。日本でビジネスをする上では、日本がわかったパートナーとビジネスをすることが重要だと考えている」(執行役専務 ゼネラルビジネス担当の窪田大介氏)。

 製品体系は従来と同様で、フル機能版の「Advanced Management Edition」と、会計周りに機能を限定した「Business Essentials Edition」が提供される。価格は、前者のファウンデーションパック(サーバー)が47万7545円、同時使用ユーザーライセンスが21万5025円から、後者のファウンデーションパックが27万10円、同時使用ユーザーライセンスが12万1450円から。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3617

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( 石井 一志 )
2009/01/29 13:25

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