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日本ネティーザ、地理空間データを高速処理する「Netezza Spatial」

DWHアプライアンスのアドオンとして提供、10~100倍の処理高速化を実現

米Netezzaのゼネラルマネジャー、ジョン・シェパード氏

NPSでの超並列処理の仕組み
 日本ネティーザ株式会社は2月4日、DHW(データウェアハウス)アプライアンス「Netezza Performance Server(NPS)」向けの拡張オプションソフト「Netezza Spatial」を発表した。これを利用することで、ユーザーはNPSの高い処理能力を用いて、地理空間情報の高速処理が可能になる。

 日本ネティーザの提供するNPSは、FPGAを活用したストリーミング処理と、専用ブレード(SPU)を並列に多数並べた超並列処理によって、従来のアプローチと比べ10~100倍という非常に高いDWH処理能力を提供している。また、標準技術ベースであるオープン性と、チューニングが不要で容易に導入できる簡易性も特徴。こうした特徴から、国内でも幅広い業種の40社ほどに導入されているという。

 今回提供されるNetezza Spatialは、このNPSにアドオンするオプションソフト。地理空間情報とは、店舗・支店の所在地から始まり、顧客の位置・居住エリア、ネットワークの位置など、ビジネスの中でどこにでも存在するものであり、それらを活用しようという動きは以前から存在する。しかしこれまでは、「クエリをかけてもその回答を得るまでに非常に時間がかかるなど、パフォーマンス面で大きな問題があった。またこれを切り離して別システムで運用するアプローチも取られたが、こちらでもコストが高くなる、作業が重複する、パフォーマンスも最適化できない、といった点が課題だった」(米Netezzaのゼネラルマネジャー、ジョン・シェパード氏)。

 そこで日本ネティーザでは、DWHアプライアンスに地図情報・位置情報を取り込み、高速に処理できる機能を提供することにしたという。Netezza SpatialはNPSに組み込まれるアドオンソフトで、地理空間情報のデータ型と関数を提供するが、その特徴は「NPSと同様、あくまで標準ベースである」(執行役員 技術本部長の法華津誠氏)点。OpenGIS標準のデータ型と関数を提供するため、従来の地理情報システムとの連携が容易に行えるほか、既存のNPSユーザーから見ると、あまり新しいことを覚えずに、単にデータ型と関数が増えただけのものとして扱えるという。

 「地理空間情報の取り扱いは新しいことではなく、今までも可能だったが、ハードとソフトを統合しパワーと簡易性を持つNPS上で提供することにより、従来の10倍、100倍の力が出せる」(法華津氏)。シェパード氏によれば、米国でOracleの位置情報システムから置き換えた実例では、クエリのパフォーマンスが平均22倍改善したとのことで、すでにその効果は立証済みとした。

 なお、同社ではOnstreamという名称で、ユーザーやパートナーが独自のロジックをNPS上で動かせるような仕組みを用意していたが、その第1弾がNetezza Spatialになるとのこと。今後もさまざまな取り組みによって、活用の幅をさらに広げるとしている。


Netezza Spatialのデータ型 Netezza Spatialで実現される処理の例

日本ネティーザの代表取締役、ダグラス・エッツェル氏
 Netezza Spatialの販売対象としては、「位置情報はどこにでもあるので、流通、金融、通信、製造など、基本的に全業界を対象とする」(日本ネティーザの代表取締役、ダグラス・エッツェル氏)考え。40社ほど存在する既存ユーザーへの訴求だけでなく、新規ユーザーの獲得も積極的に目指す意向で、パートナーとともに活用を呼びかけていくという。また地理空間データを扱うアプリケーションベンダーとのパートナーシップも視野に入れ、国内での展開を検討しているとした。

 一方でDWHアプライアンス自体については、エッツェル氏が「米国ではすでに大きなDWHシステムを構築する場合は、DWHアプライアンスを用いるのが主流になっているが、国内でもそうした傾向になっていくだろう」とコメント。さらに、「(Oracle、Microsoftといった)大手ベンダーの参入などもあって、DWH市場はかなり動きが速くなっているが、当社はストリーミングアーキテクチャと手間がかからない簡易性によって、これからもリーダーであり続ける」と述べ、製品・市場に対する自信を示していた。



URL
  日本ネティーザ株式会社
  http://www.netezza.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.netezza.jp/releases/2009/NZ_NewsRelease_Spatial_020409_fin.pdf

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( 石井 一志 )
2009/02/04 14:24

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