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SAP、R/3をはるかに超える規模感を持ったスイート製品「SAP Business Suite 7」


SAP Business Suite 7

SAP Business Suite 7のダッシュボード画面
 SAPジャパン株式会社は2月24日、ビジネスソフトウェア・スイートの新製品として、「SAP Business Suite 7」を、2009年5月から出荷すると発表した。すでに昨年11月から、一部ユーザーを対象にした限定出荷を開始していた。

 SAP Business Suite 7は、SAP ERP、Customer Relationship Management、SAP Supplier Relationship Management、SAP Supply Chain Management、SAP Product Lifecycle Managementおよび業種別アプリケーションで構成。150種類以上もの機能拡張が、enhancement packageを通じて提供されることになる。

 enhancement packageは、SAP Business Suiteを拡張するために用意されたパッケージで、稼働中のシステムの停止を最小限に抑えながら拡張できるのが特徴となっている。

 「今回の製品では、すべてが同じサイクルで拡張していけるように、すべてのソフトウェアのバージョンを面ぞろえした。今後の機能拡張は、アプリケーションのそれぞれの範囲を超えて、端から端までのプロセスをそろえた形で必要な機能が追加され、さらにユーザーは必要な機能だけを選択して追加することができる。すべての製品がSOA化されていることで、柔軟に適用できることはSAP Business Suiteの大きな特徴になる」(バイスプレジデント カスタマー・イノベーション・センターの田村元氏)という。

 また、SAPが提供するほかのソフトウェアや、他社のソフトウェアとの連携を念頭に設計されたモジュール型構造としており、SAP Business Objectsポートフォリオの持つ分析機能や、SAP NetWeaverを利用することで、洞察力を深めることや、分析作業を意識することなく、通常の業務のなかで課題を発見できる仕組みを提供するほか、業界別のベストプラクティスとサービス指向アーキテクチャ(SOA)によって、ビジネスプロセスの実現に寄与できるように設計しているという。

 さらに、組織やアプリケーションの境界をこえて、業界特有の包括的なビジネスプロセスを実現するための「バリューシナリオ」を用意。これを活用することで、ユーザーは、段階的にシステムを導入することが可能になり、ユーザー企業の導入スケジュールに即した形での実装と、パフォーマンスの最適化とITコストの削減といった観点から企業を支援することができるとしている。

 バリューシナリオとしては、小売業者向けの「刺激的なショッピング体験」、製造業界を対象にした「統合された製品開発」、ハイテク企業や消費財企業向けの「コラボレーティブな需給計画」、あらゆる業界を対象とした「統合されたソーシングと調達」などがあるという。

 「刺激的なショッピング体験」では、買い物客を深く理解し、ニーズを予測し、顧客体験を創造しながら、POS業務管理、ロイヤリティ管理、人材管理、製品分類、価格設定などを効果的に行うことができる。


バイスプレジデント カスタマー・イノベーション・センターの田村元氏
 田村バイスプレジテントは、「かつてのSAP R/3の規模感とはまったく異なり、大きく拡張した固まりとして、ソリューションを提供しているのが、SAP Business Suite 7になる」と説明するとともに、SAP Business Suite 7の特徴として、「効率性の追求」「柔軟性の確保」「洞察力の深化」の3点をあげながら、「無駄とムラを発見しないまま、削減目標の数字を先行させ、リダクションに取り組むと、無理が生じ、結果として、競争力を無くす結果になる。まずは企業の状況を可視化し、経営のかじ取りの精度とスピードを向上させるための洞察力が大切になる。さらに、変化する必要性に気がついていても、システムを変えることができないという問題も出ている。変化に常に追随する、場合によって先んじる柔軟性を実現する必要である。これらのために、SAP Business Suite 7は統一したプラットフォームと統一感のあるインターフェイスの上で、業務を混乱させることなく、システムの刷新を可能としている。また、長年にわたり蓄積したペストプラクティスな業務プロセスと、業種別、業務部門別のニーズに対応した提案を可能することで効率性の向上を実現できる」とした。


代表取締役社長兼CEOのギャレット・イルグ氏
 同社代表取締役社長兼CEOのギャレット・イルグ氏は、「今日の経済環境に打ち勝つには、卓越したプロセスによる無駄のない優れた仕事のやり方を取り入れること、コスト削減への取り組み、商機と勝機というチャンスをつかむことが必要。SAP Business Suite 7はこれらを実現することができるソフトウェア。業務プロセスに対応した競争力の実現や、生産性向上を図れるほか、簡素化するだけでなく、価値を提供するまでの時間を短縮でき、業務拡張とコスト削減を同時に実現できるものとなる。また、厳しい経済環境のなかでも、新たなビジネスモデルの構築を支援するとともに、生き残りのためのツールとなる。こうした厳しい経済環境下のなかでは卓越性が求められるが、それを実現したのがSAP Business Suite 7といえる」とした。




URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/japan/


( 大河原 克行 )
2009/02/24 13:33

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