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日本テラデータ、使用頻度に応じたデータ配置最適化が可能な「Teradata 13.0」

最大50PBのDWHアプライアンスも発表

 日本テラデータ株式会社が主催するデータウェアハウス(DWH)コンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2009」で3月6日、記者会見に登壇した代表取締役社長の吉川幸彦氏が今後の事業方針を説明。併せて、DWHの新版「Teradata 13.0」とアプライアンスサーバーの新機種「Teradata エクストリーム・データ・アプライアンス 1550(以下、Teradata 1550)」などが新製品として発表された。


Teradata 13.0-データの使用頻度に応じた再配置が可能に

 Teradata 13.0は、データベースエンジン「Teradata Database 13.0」や運用管理を支援する各種ユーティリティ、ならびに構築支援やサポートで構成される、同社DWHの中核製品。新版では、ストレージを仮想化する「Teradata Virtual Storage(TVS)」という機能が追加された。これは、DWHで扱うストレージを仮想化し、複数のHDDを1つのプールとして利用可能にするもの。複数のHDDを1つのプールと見なすことで、HDDの柔軟な増設や異なるサイズのHDDの混在など、システム全体の最適化が可能になるという。

 TVSでは併せて、データの使用頻度に応じた「自動マイグレーション」も実現している。データの使用頻度を常時観測し、よく使われるデータを「ホットデータ」、あまり使われないデータを「コールドデータ」と定義。ホットデータを「ディスクの外側」などパフォーマンスの高い個所へ定期的に自動再配置することで、パフォーマンスを向上する。将来的にはSSDや安価で大容量な一般向けHDDもサポートする予定で、ホットデータをSSDに、コールドデータを一般向けHDDに、といった運用も可能になるという。

 また、地理空間を表すデータタイプ「ST_GEOMETYRY」も新たにサポートした。「位置(顧客・店舗)」「線(道路)」「多角形(勢力図)」「順序(旅行・移動)」といった地理空間情報を、顧客データなどと組み合わせて扱えるようになる。これにより例えば、「店舗から5km以内に上位10%に属する優良顧客が存在するか」「災害発生地域内で不動産に対する保険金請求の履歴はどうなっているか」といった分析が可能という。

 このほか、クエリの実行プランを最適化するオプティマイザーを改善し、最大30%のパフォーマンス向上したり、ワークロードをより詳細に分類・定義できるようワークロードの管理機能を強化したり、75以上の機能強化が図られている。出荷開始は5月25日より。


ストレージを仮想化し、、複数のHDDを1つのプールとして利用 データの使用頻度に応じた自動マイグレーション 地理空間情報によるロケーションインテリジェンス

Teradata 1550-少人数での大容量データ分析に最適

Teradata 1550
 Teradata 1550は、DWHアプライアンスの新機種。1台のキャビネットに9ノードを格納でき、1ノードあたり50テラバイト(TB)のユーザーデータ領域を扱える。キャビネットを増やすことで最大1024ノードまで拡張可能なので、最大構成時で50ペタバイト(PB)まで拡張が可能だ。

 特に携帯電話の通話記録や食品のトレーサビリティ、eコマースの利用者ごとのクリック情報など、大量のデータを対象に、少人数で分析する用途に向くという。コンプライアンスや法規制に準拠するため、長期間保存が義務づけられているデータの保存・分析にも活用できる。

 各種ハードウェアコンポーネントやデータベースエンジンなどがあらかじめインストールされており、短期間で設置・稼働させることが可能。価格は、最小構成のユーザーデータ領域50TBにハードウェア・ソフトウェア込みで1億1000万円(税別)から。出荷開始は3月9日より。日本テラデータでは、今後3年間で30システムの販売をめざす。


少人数での大容量データ分析に最適 Teradata 1550の仕様

分社1年目は順調な滑り出し、2009年も数々の施策を

代表取締役社長の吉川幸彦氏

2009年の具体的施策

Retail Templateのトップ画面
 ビジネス概況を説明した吉川社長は、まず、2008年を振り返って「(日本NCRからの)分社1年目は順調な滑り出し」と評価した。「みずほ銀行、りそな銀行、三越伊勢丹などの更新や、KDDI、コカコーラ・ウエストなどからの新規受注も増え、さまざまな分野へ確実に浸透している。その背景には、セールスプロモーションなどによる積極的な戦略推進や、新製品の投入、開発支援体制の強化などがあり、これらが奏功した」。

 2009年に関しては、「先行き不透明な経済環境だが、不況だからこそ、企業としての余裕がないからこそ、より適切な意思決定を行うニーズが高まってくる。また法的規制やコンプライアンスなどによる圧力もあり、分析対象のデータはさらに増加するだろう」と、DWH市場の伸びを予測。

 その上で、2009年度の方針としていくつかの施策を紹介した。主だったものとしては、「製品の拡充」「利用技術・活用方法の積極提案」「製造・通信業界への深耕」「SIパートナーとの協業強化」を挙げる。具体的には、今回発表したTeradata 13.0、Teradata 1550のほかに流通業向けにデータ分析のノウハウをテンプレート化した「Retail Template(RT)」も訴求する。

 これは流通業で必要な「商品分析」「顧客分析」「商品軸と顧客軸でのクロス分析」「売り上げ推移」などのデータ・分析結果を、利用者の役職・担当に応じて自動表示するポータル製品。具体的には各売り場での売り上げ推移を表示したり、在庫切れをアラートしたりすることが可能で、個人の業務をパターン化するのに役立つ。百貨店、通販、量販店向けにそれぞれ独自のテンプレートを用意しており、「2009年はRTのファミリー戦略を展開することで、活用方法のイメージを広げていく」(同氏)としている。

 また他社との協業によるソリューションポートフォリオの拡充にも努める。一例として、国内におけるSASとの協業内容を紹介。「両社で共同提案するほか、今後、Teradata Database内でSASの分析プロセスを直接稼働させる“In-Database機能”を追加搭載し、データの移動時間短縮や分析処理スピードの向上を実現する」(同氏)とのこと。

 こうしたパートナー協業をさらに推進するため、4月には製品の機能検証や利用技術向上を目指した「Teradata製品検証センター」を開設する予定。リモートアクセスによる検証が可能で「顧客企業やパートナー企業を対象に、パフォーマンスを実感してもらう場として想定している」(同氏)とした。



URL
  日本テラデータ株式会社
  http://www.teradata-j.com/
  プレスリリース
  http://www.teradata-j.com/press/2009/20090306_03.html
  http://www.teradata-j.com/press/2009/20090306_02.html
  http://www.teradata-j.com/press/2009/20090306_01.html
  http://www.teradata-j.com/press/2009/20090306_04.html

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( 川島 弘之 )
2009/03/06 18:06

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