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日本IBM、エンタープライズクラウド構築を支援するコンサルサービスなど


執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏

Technology Adoption Programにクラウドを適用したところ、年間運用費用を84%も削減できた
 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は3月12日、「エンタープライズ・プライベート・クラウド」実現に向けた新サービスを提供すると発表した。社内のITリソースをプール化し、必要に応じて柔軟に提供できるシステムの構築を支援する。

 エンタープライズ・プライベート・クラウドとは、仮想化・標準化・自動化といったクラウドコンピューティング技術をプライベートな環境で活用し、ITリソースを柔軟に提供できるシステムのこと。インターネットやキャリア網を通じて提供される「パブリッククラウド」と対比され、エンタープライズクラウドとも呼ばれる。

 IBMでもワールドワイドでクラウドサービスを検討・検証しており、例えば、基礎研究所の3000名の研究員に対し、必要なITリソースをオンデマンドで提供する「IBM Research Compute Cloud」を導入した。このシステムでは、数日から1~2週間かかっていた研究環境の配備が「10分足らずでできるようになった」(執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏)ほか、イノベーションポータル「Technology Adoption Program」にクラウド適用したところ、年間運用費用を84%も削減できたという。

 岩野氏はこうした事例を踏まえた上で、「すべてにおいて(運用費用を)8割減らせるわけではないが、業務のどこに適用し、(サービスメニューの)イメージをどう作るか、ということを的確にやると、クラウドはコスト削減に大きく効く可能性を持っている。どの会社もコスト削減が課題であるが、クラウドは将来への布石も同時に提供できる。2つのメリットを持った“魔法のつえ”だ」と述べ、クラウドの価値を強調した。


執行役員 ITS事業担当 吉崎敏文氏

クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービスでは、顧客の希望に応じて選択可能な3つのプロセスを用意している
 具体的なサービスとしては、1)クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービス、2)クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービス、3)エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービスの3つを提供する。

 1)は、「エンタープライズ・プライベート・クラウドだけでなく、クラウド全体をとらえたハイレベルのコンサルティングサービス」(執行役員 ITS事業担当 吉崎敏文氏)。クラウドを活用できるビジネス領域を洗い出して、企業におけるエンタープライズ・プライベート・クラウドの全体像を把握し、それに向かってどう進んでいくか、といったロードマップを作成する。

 2)は、エンタープライズ・プライベート・クラウド環境の構築に向けたシステム要件定義や、現状からクラウド環境へ移行するためのロードマップ作成などを行うサービス。「アーキテクチャを大規模に見直し、ITサービスのカタログを具体的に作ろう、といったアプローチのほか、アプリケーション分析とそのユースケース作成をしたい、また、すぐにクラウド環境を導入したい、など、ユーザーの目的によって選択できる3つの実施プロセスを用意した」(吉崎氏)という。吉崎氏によれば、この領域における日本IBMの強みは、「リファレンスモデルや、標準コンポーネントのリファクタリングなどを、コンサルティングビジネスで蓄積してきた点だ」とのことで、顧客企業の希望に応じて柔軟な対応がとれるとした。

 最後の3)は、実際にエンタープライズ・プライベート・クラウド構築を支援するもの。ITサービスのメニュー化、カタログの設計と標準サービスの実装を行うほか、「すでに当社が実績を持っている、エンタープライズ向け基盤の構築を支援する」(吉崎氏)としている。

 期間と価格は顧客企業の規模・システムなどによってさまざまだが、目安として、1)は3カ月で2500万円、2)は1カ月半で700~800万円、3)は3000万円から。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2009/03/1201.html

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( 石井 一志 )
2009/03/12 16:53

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