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ノベル、ミッションクリティカル性を強化した「SUSE Linux Enterprise 11」

.NETアプリを再コンパイルなしで動作可能に

カントリーマネージャーのマイク・コレーリー氏
 ノベル株式会社は3月27日、最新Linux OS「SUSE Linux Enterprise 11」を発表した。サーバーOS「SUSE Linux Enterprise Server 11(以下、Server 11)」、デスクトップOS「SUSE Linux Enterprise Desktop 11(以下、Desktop 11)」の主要製品のほか、「SUSE Linux Enterprise Mono Extension(以下、Mono Extension)」や「SUSE Linux High Availability Extension(以下、HA Extension)」などの新たな拡張製品が含まれる。同日より順次提供開始する。

 最新版では、Server 11とDesktop 11で大幅に機能拡張されたほか、新たに、Linux上でMicrosoft .NETアプリケーションを動作させるMono Extensionや、柔軟なクラスタリングを実現するHA Extensionが追加された。

 カントリーマネージャーのマイク・コレーリー氏は、「物理・仮想環境のどちらでもミッションクリティカルシステムを実現できるようにした。また、マルチプラットフォームで高い相互運用性を確保するとともに、各Linuxで最高のRAS性能を備えた」と最新版の特徴を紹介。特にデータセンター導入を念頭に設計されており、“Mission Critical Ready OS”である点を強調している。

 Server 11では、新たなソフトウェアパッケージ管理システムを搭載。ソフトウェアパッケージのインストール、削除、アップグレード、構成などのプロセスを「100倍の処理速度で自動化できるようになった」と、パートナー&アライアンス営業統括本部 データセンターソリューション テクノロジースペシャリストの飯田敏樹氏は語る。

 RASの向上としては、新たにNFS(Network File System)をサポート。SUSEで外部ストレージを利用する場合、これまではSAN環境を構築する必要があったが、手軽なNFS経由のスワップに対応することで、より低コストにディスクレス構成が可能になった。優先度の高いスレッドにハードウェアリソースを多く割り当てるようなCPUマネジメント機能も搭載している。また、HA Extensionを用意したことで柔軟なクラスタリングも実現。同拡張製品では「Pacemaker」という管理マネージャーにより、n対1や仮想化環境でのクラスタリングが可能なほか、DRBDを備えることでデータレプリケーション機能も実現している。


Server 11の主な特徴 カーネルと主要OSSのバージョン 新たなソフトウェアパッケージ管理システム

Xen 3.3の新機能

Mono Extension概要
 仮想化に向けた柔軟性も大きな特徴で、主要なハイパーバイザー「VMware ESX」「Hyper-V」「Xen」に対応した。Xenでは最新の「Xen 3.3」を採用。電源管理機能やグラフィック機能を強化されたほか、Intel→Intelだけでなく、Intel→AMDといったマルチプラットフォームでのライブマイグレーションが可能になっている。ライセンスも、仮想マシン数を問わない物理サーバー台数に応じたサブスクリプションモデルを採用。

 ハードウェアプラットフォームとしては、32/64ビットのx86サーバー、Itanium、IBM Power、IBM System zに対応し、Amazon EC2上での認定・サポートも予定。飯田氏は「物理・仮想両環境で最適化することで、あらゆるハードウェア、ハイパーバイザー、クラウドコンピューティングでミッションクリティカルシステムが構築できる“パーフェクトゲストOS”を実現した」とアピールした。

 このほか、マイクロソフトとの相互運用性も推進。Hyper-Vによるクロスプラットフォーム仮想化をはじめ、システム管理、IDやディレクトリの連携、ドキュメントの互換性などが強化された。具体的にDesktop 11では、「Microsoft Silverlight」のサポートを組み込んだほか、wma/wmvファイルに対応。

 一方のServer 11では、Mono Extensionにより、.NETアプリケーションを再コンパイルなしに動作させられるようになった。ASP.NET 2.0およびASP.NET AJAX対応アプリケーションをApache+Monoで実行する。IBM System zを含む複数のプラットフォームを対象とし、Visual Studioで開発してServer 11へデプロイするといったことも可能という。


Desktop 11画面ショット
 またグリーンIT対応として、Server 11に「Tickless Idle」機能が追加された。これは、CPUへの定期的な割り込みを抑えるもの。CPUのアイドル状態がより長く維持されるので、消費電力の削減が可能になる。また省電力設定を容易にするため、YaST電源管理機能に「省電力プロファイル」が追加されている。Desktop 11でも、CPUの動作周波数調整、不要時のHDD停止、システムアイドル時の画面輝度調整といった新たな電源管理機能が追加されたほか、それらの機能が、バッテリ寿命にどのように貢献するかを可視化する「Power History」も搭載されている。

 パートナー&アライアンス営業統括部長の斉藤雅美氏は、「SUSEは日本をはじめ全世界でシェア2位のLinux OSだが、出荷金額の伸び率は圧倒的にトップ。SUSEはISVのサポート状況が少ないというイメージがあるようだが、それは過去の話で、ISVに対応してもらうためのリクルート専任部隊の活躍により、いまではワールドワイドでトップのISV対応状況となっている。またMicrosoftに推奨Linuxに挙げられるほど、と本格的な協業をしているのもSUSEだけ。今後はさらに認知度を上げるべく、マーケティングやプロモーションを積極的に展開し、シェア1位を目指したい」と述べた。

 市場推定価格は、Server 11が4万1880円(税別)/年、Desktop 11が6000円(同)/年、Mono Extensionが2万4000円(同)/年、HA Extensionが8万3880円(同)/年。



URL
  ノベル株式会社
  http://www.novell.com/ja-jp/

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( 川島 弘之 )
2009/03/27 16:02

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