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米Microsoftセールス、マーケティングおよびサービスグループ グループバイスプレジデントのケビン・ジョンソン氏(右)とマイクロソフト株式会社代表取締役社長のマイケル・ローディング氏
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米Microsoft Corporationのケビン・ジョンソン氏が来日、10月3日、会見を行った。
同氏は、ワールドワイドのセールス、マーケティングおよびサービス(SMSG)グループのグループバイスプレジデントで、全世界のセールス、マーケティングの戦略立案を担当。年間の半分を海外出張で過ごすという。ビル・ゲイツ会長、スティーブ・バルマーCEO、ジェフ・レイクス氏、クレイグ・マンディ氏などとともに、リーダーシップチームを構成。日本法人社長であるマイケル・ローディング氏の上司にあたる。会見では、ケビン・ジョンソン氏とともに、マイケル・ローディング社長も同席した。
ジョンソン氏は、「Microsoftは、インテグレーテッド・イノベーション(統合化された改革)を優先課題に取り組んでいる」とし、「これによって、さまざまなシナリオが提案できる。ユーザー企業にとっては、より低コストなシステム構築や新たなアプリケーションを活用した導入展開が可能になる」と切り出した。
インテグレーテッド・イノベーションは、Microsoftが提示する新たな考え方で、研究開発の集中化やオフィスワーカーの生産性向上のための情報の統合化などによってもたらされる、新たな情報システム環境を示すもの。これを実現する具体的なプロダクトとして、Windows Server 2003や、Office System 2003などがある。
続けて、ジョンソン氏は、「インテグレーテッド・イノベーションを実現するために、当社がトッププライオリティで取り組んでいるのがセキュリティ」とし、「これは業界にとってもトッププライオリティの問題である。当社がリーダーシップを取り、顧客、パートナーと密接な連携を図ることで、業界全体における改善のステップを歩んでいきたい」とした。
また、ソフトウェアのライセンス制度であるソフトウェアアシュアランスにも言及し、「顧客からの要求をもとに、いかに顧客満足度を高めることができるかという観点から、新たなエンハンスを加えた。9月1日から実行に移しており、パートナー、顧客にとっても有用なものになった」と強調した。
質疑応答では、住基ネットに関しても質問が飛び、一部報道された脆弱性に関する問題や、インターネットで接続されていないためにWindows Updateなどのセキュリテイ対策がタイムリーに行われないのではないか、といった問題が指摘されたが、ジョンソン氏は、「ユーザーのそれぞれのシナリオを想定したセキュリティ方法が用意されており、セキュリティチーム、コンサルティングチームが密接な関係をもって保護された環境を実現している」とコメント。ローディング社長は、「総務省の住基ネットの担当者との緊密なコネクションがあり、インターネットに直接接続しなくてもセキュリティ対策がとれる仕組みを提供している」とした。
Windows Server 2003については、「ここ2、3年の経済の低迷によって、管理・運用コストに対する要求が高まっている。Windows Server 2003のアーリーアダプタープログラム(早期導入制度)では、Windows NT 4.0ユーザーが移行した結果、TCOを30%も削減できたという結果が出ている。また、ITプロフェッショナルや開発者に対する情報提供を積極化し、ISV、パートナーと一緒になって、Windows NT 4.0からのアップデートの促進を図っていきたい」と話した。また、ローディング社長は、「日本はワールドワイドで見ても、Windows NT 4.0の比率が高い市場。ここ数年のIT投資が控えめであったこと、サーバーのリースが5年であるという点も影響している。しかし、新しいインフラへ移行したいという要望が高まっていること、管理コストをさらに削減したいという要望があり、移行に対する機運が高まっている」とした。
.NETに関しては、「米国では、.NETの開発者の数は、J2EEの開発者の数よりも多いという結果が出ている。その背景には、.NETで開発した方が開発コストが25-28%も低くて済むという結果が出ているからだ」(ジョンソン氏)、「日本においても、ここ数カ月の間に、.NETを採用しようという動きが、SIer、ISV、顧客の間に急速に出てきた。検討段階から導入を進める段階へと移行していきていることを感じる」と自信を見せた。
一方、Linuxに関しては、「調査会社の調べでは、購入コストはITコスト全体の5%であり、システムを5年間運用すると、Linuxに比べて、Windowsの方が11-22%ものコスト削減が可能になるというデータもある。また、セキュリティに関しても、Windowsだけが脆弱性が多いというわけではない。どんな開発者もすべてに免疫をもったソフトは作れない。ある自治体では、Linuxを採用していたにも関わらず、維持が困難だとして、Windowsプラットフォームに移行したという例も出ている。これからもWindowsの方が、コスト的にも優位であるという結果が、調査機関や顧客の間からあがってくるだろう」とした。
最後にジョンソン氏は、「Microsoftは日本市場に熱心に取り組んでいる。日本の経済が回復基調に転じ、ブロードバンドも爆発的な成長で利用者数が増えている。また、e-Japanへの取り組みもある。ここ数年、ユーザー企業においては、テクノロジーへの投資や、価値への提案がなかったが、マイクロソフト日本法人は、コミュニティと連携して、今後の市場活性化に取り組んでいきたい」と抱負を語った。
■ URL
米Microsoft Corporation
http://www.microsoft.com/
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
( 大河原 克行 )
2003/10/03 13:13
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