株式会社矢野経済研究所は、2003年7月から9月にかけて関連ソリューションベンダー、上場企業を中心とした大手105社を対象に、文書管理システム、検索エンジン、企業情報ポータル(EIP)、ナレッジマネジメント統合ツールを合計したナレッジマネジメントソリューション市場に関する調査を行った。ベンダーには面接による取材を行い、ユーザーには電話で調査を行っている。
ナレッジマネジメントの導入状況を見ると、17.1%の企業で導入されており、これは昨年度調査の9.9%から大幅に増加している。一方、70.5%の企業で、現在のところ導入計画がない。また導入企業のうち75%が今後は現状維持のままで、拡大の予定がないとしている。さらに未導入企業のうち80.9%が今後も導入予定なし、または導入優先度が低いと回答している。同社によれば、企業のナレッジマネジメントへの姿勢はいまのところ二極分化を示しているとのことだ。当調査では、グループウェアに関して、ベンダー側はナレッジマネジメントの範囲に含めないとするところが多く、一方ユーザー側では導入しているナレッジのシステムとして挙げる例もみられるなど、企業によって対象と考えるシステムはまちまちとなった。
市場規模をみると、2002年度で154億円となった。これは前年比で25.8%増と大幅な伸びを示している。2003年度に関しては、213億円、前年比38.4%増とさらなる市場拡大が見込まれる。また同社では2004、2005年度には50%前後の伸びを予測しており、2006年度の段階で635億円の市場規模に達するとしている。
この内訳を見ると、2002年度では文書管理システムが全体の43.7%と半数近くを占めているものの、EIPが36.4%と次いでおり、さらに増加率も大きい。2003年度には文書管理システムを上回り、2006年度には2003年度の4倍となる415億円のの市場規模に達するとしている。増加率の点では、ナレッジマネジメント統合ツールも同様に4倍近くになるとみられている。
同社ではこの結果を受け、ナレッジマネジメントの今後の課題として、概念があいまいなために定義や目的がユーザーごとに違い、企業内で導入へのコンセンサスが取れないことが障害となるとした。また知識の共有を行うシステムを導入しても、効果がわかりにくいため、企業の投資に直結しない点も問題として挙げている。
■ URL
株式会社矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/
プレスリリース
http://www.yano.co.jp/press/2003/031007.html
( 岩崎 宰守 )
2003/10/08 14:33
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