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大塚商会大塚氏、「IT戦略は経営戦略そのもの」

~CEATEC Japan 2003 講演

株式会社大塚商会 代表取締役社長 大塚裕司氏
 幕張メッセで開催されているCEATEC Japan 2003で10月10日、株式会社大塚商会代表取締役社長の大塚裕司氏が「ITを活用した経営革新」と題し、同社のITによる経営改革について講演を行った。

 大塚氏が大塚商会の取締役に就任したのは1992年。当時はバブル崩壊により、売上高が2000億円を突破していたものの、経常利益が5億3000万円という1990年の20分の1にまで落ち込んでおり有利子負債は約900億円に達していた。そのころの同社は、営業に関する権限のほとんどを各拠点がもっており「ミニ大塚商会という中小企業の連合体」(大塚氏)状態であったという。その結果、現場がどのような状態になっているかもつかめず、商品在庫と売掛金が増え続けていた。

 そこで大塚氏は、1993年3月に経営の理想の姿を実現する「大戦略プロジェクト」をかかげて社内改革に乗り出した。まずダウンサイジングを他社に先駆けてすすめ、自社開発のPC-LANシステムを構築した。また、社員にはパソコン試験を実施するなど徹底した情報リテラシーの向上を促進し、社内のITインフラを整えた。そして販売システムを一新して契約後のすべての処理をセンター化し、配送機能、顧客情報管理など社内のデータを本社が一元管理する「一気通貫システム」を構築した。また、上場に耐えうる会計システムを構築するためにSAP R/3を導入した。

 5年後の1998年4月、大戦略プロジェクトでかかげたすべてのシステムがついに稼働した。大塚氏は「結果、事務職の削減と営業・技術部門の強化による生産性の向上、在庫の削減が急速に進んだ。2000年7月には東証一部に上場を果たし、2002年には有利子負債を260億円まで削減でき、過去最高益を達成することができた」とプロジェクトの成果を語った。

 大戦略プロジェクトが完了した現在、大塚商会はCS(Customer Satisfaction)と生産性の向上に向けた次のプロジェクトをすすめているという。その1つが顧客情報管理のSPR(Support Process Re-engineering)システムの配備。大塚氏はSPRについて「CRM、SFAを担う当社独自のシステム。販売履歴と現在の状況から顧客の将来ビジョンを提案し、ニーズに応えCS向上につなげる」と説明した。

 大塚氏は「IT戦略は経営戦略そのものであることを大戦略プロジェクトで確信した。当社はこれからもITを常に経営に活かし、その経験をふまえてお客様に最適なITの活用方法を具体的に提案していく」とIT活用の重要性を訴え講演を締めくくった。



URL
  株式会社大塚商会
  http://www.otsuka-shokai.co.jp/
  CEATEC Japan 2003
  http://www.ceatec.com/


( 朝夷 剛士 )
2003/10/10 18:43

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