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アップル、エンタープライズ販売体制を強化

~UNIX系のSIerとのパートナーシップも視野に

代表取締役社長 原田永幸氏
 アップルコンピュータ株式会社代表取締役社長の原田永幸氏は10月10日、エンタープライズ市場向け事業強化を、10月以降の重点課題のひとつとして掲げ、UNIX分野にノウハウを持つSIerなどとのパートナー制度を開始する方針を明らかにした。現在、いくつかのSIerとの話し合いをすすめており、10月からの新年度においてエンタープライズ分野での販売体制強化につなげる。

 同社では、10月25日にMacOS Xバージョン10.3(開発コードネーム・Panther)および同Serverの出荷を開始するが、「MacOS Xは、MacOSプラスUNIXであることが特徴。これにより、安定性の高いシステム構築が可能になる」としており、UNIXとしての堅牢性をベースとしてエンタープライズ市場向け戦略を強化する姿勢。

 これまで同社は、医療分野や印刷業界向けなどの特定分野に大きな実績を持つが、MacOS Xの投入以降、エンタープライズ分野を意識した取り組みを開始している。

 先頃、オラクルが発表したOracle 10gでも、MacOS X対応版が用意されるなど、エンタープライズ分野向けの重要なアプリケーションが品揃えされはじめているほか、東京大学情報基盤センターでは、1149台のiMacと79台のMac OS X Serverを一括導入するといった実績も出ている。

 今回の国内における新たなパートナー戦略では、UNIXで実績をもつSIerとの連携によって、エンタープライズ分野にフォーカスした事業展開を強化する考えで、原田氏は、「現段階では、具体的なパートナーの名前は明らかにできない」とするものの、エンタープライズ分野で高い実績をもつSIerと提携に関する話し合いをすすめていることを匂わせた。

 そのほか、既存の販売ルートであるキヤノン販売、大塚商会、富士ゼロックスなどのSI機能を持つ販社とも、商談によっては、エンタープライズ案件での協業を図る考えを示した。

 原田氏は、10月からスタートした新年度(FY04)において、「直販部門の売り上げ拡大が、FY04の筆頭の課題になる」と発言。「東大情報基盤センターのような大型案件に関しては、直販部門が直接商談に乗り出すことになる。直販部門の人員増加は、売り上げの拡大にあわせて考えたいが、裏を返せば、人員投資ができるだけの直販事業の拡大が日本法人に求められている」とした。

 来年早々にも東京・銀座にオープン予定のアップルストアにおいても、「個人ユーザーに対する店舗機能だけでなく、プロフェッショナルユーザーにフォーカスした提案を行いたい」とした。

 さらに、「低コストのボックスセールスを中心に事業を拡大しているWindows系の直販ベンダーもあるが、当社はハード、OS、アプリケーションソフトをすべて自社で開発しており、むしろハード以外の部分の収益を拡大することが重要である」として、新たなOSや対応アプリケーションソフトなどの拡販を強化する姿勢を打ち出した。



URL
  アップルコンピュータ株式会社
  http://www.apple.co.jp/


( 大河原 克行 )
2003/10/10 19:19

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