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NTTソフトウェア 代表取締役社長 鈴木滋彦氏
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NTTソフトウェア株式会社(以下、NTTソフト)は10月16日、代表取締役社長の鈴木滋彦氏が会見、同社の事業戦略などについて語った。鈴木社長は今年6月に社長に就任しており、今回の会見では、7月に実施した組織改革の詳細や、2010年までの長期的な経営目標などについて、報道関係者を前に明らかにした。
「NTT SOFT e-Value Creation 新たな価値創造に向けて」をビジョンに掲げ、2010年までに売上高で約3倍となる1000億円、経常利益は経常利益率10%となる100億円を目指すとした。「利益重視の営業体制、人事評価体制とすることで、経常利益率10%は、2005年以降の早い段階で達成したい」(鈴木社長)とした。売上高は2002年度の399億円から今年度は350億円と減少させるが、経常利益では2002年度の赤字から5億円と黒字転換を目指す。
鈴木社長は冒頭、「NTTソフトは、3つの大きな変化のなかにある。その環境に対応した組織体制にしなくてはならない」として、7月から抜本的な体制改革に乗り出したことを明らかにした。
鈴木社長がいう3つの変化とは、1)大型プロジェクトが減少し、小型・短期プロジェクトが急増している、2)受託型から提案型のビジネスへ移行している、3)NTTグループ外の受注が増加している、点をあげた。
「平成11年度には50%を占めていた大型プロジェクトが平成14年度には13%に減少。今年度は5%程度になっている。これによって、3-4カ月で完了するプロジェクトが増加したり、プロジェクト総数は1.6倍に増えているのに、売上高が減っているという現象が起こっている。結果として増加したプロジェクト数に対応できるだけのプロジェクトマネージャーの育成が急務になり、年間に複数のプロジェクトを回転させたり、固定費となる人材に対して、常に仕事があるというマネジメント体制が必要になった。また、中堅、中小企業に受注が増加するのに伴い、ITの専門家を持たないユーザー企業が増加、上級コンサルティングが重視されるようになってきた。SEサービスの拡大に伴う人員体制の強化、製品中心の考え方からソリューション中心の組織へと移行を図る必要がある」とした。
従来、15に分かれていた製品別営業体制を、モバイル&セキュリティ、ネットワークサービス、エンタープライズの3つのソリューション別事業グループに再編。アカウントマネージャーとマーケテイング部門をコーポレートレベルに集結するとともに、各事業グループに営業SEを配置。顧客に対するソリューション営業を行いやすい体制とした。また、生産性革新本部を3つの事業グループを横串する形で組織化。プロセス、リソース、スキルといった観点から、全技術者の効果的な活用やリスクマネジメント体制の確立などを図る。
「ここ数年、環境変化への対応が十分ではなかったと考えている。今年度は、売上げは前年を下回るが、まずは黒字化することを優先し、来年度以降のジャンプのために一度しゃがみこむ。1000億円の売上目標は高く見えるだろうが、2000年度には550億円を達成しており、そこから10年で2倍という計算。やってできない数字ではない」と意欲を見せた。
同社では、7月以降からの付加価値戦略を重点とする新体制の経営方針として、1)コンサルティングから課題掘り起こし、提案までのトータル営業力の強化、2)激しく動く市場に即応するソリューション別事業グループ化、3)リスクマネジメント強化、上級SE、プロジェクトリーダーの増員強化による競争力向上、4)コアコンピタンスを生かしたNTTグループ市場における事業貢献強化、5)NTTグループ外市場におけるITプラットフォーム分野を中心とした選択と集中の徹底強化、を掲げている。
なお、同社は、10月17日にNTT SOFT Solution Fair 2003を東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で開催する。テーマは、「Realization ~今、始まる。新たなソリューションによる価値創造~」。同社製品やソリューションを一堂に展示するほか、東京大学大学院教授の坂村健氏による「ユビキタス・コンピューティング環境の実現にむけて」と題した講演や、テクノロジーセミナー、ケーススタディセミナーなどが行われる。入場無料。
■ URL
NTTソフトウェア株式会社
http://www.ntts.co.jp/
ニュースリリース
http://www.ntts.co.jp/wn/WhatsNew/031016_NR.html
( 大河原 克行 )
2003/10/16 20:41
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