SAPジャパン株式会社とアクセンチュア株式会社は10月21日、国内金融業界向けソリューションの開発・提供で提携することを発表した。今回の提携は、両社の海外本社が9月に発表したグローバルアライアンスを受けてのものとなる。両社では今回の提携により、今後3年間で20社以上、SIベースで500億円の受注を予定しており、5年間で1000億円のプロジェクト獲得を目指すとしている。
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米Accenture 金融サービス業本部 アジア・パシフィック統括パートナー ロバート・P・ギャッチ氏
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両社の海外本社が9月に発表したグローバルアライアンスは、金融業界、なかでも銀行・保険分野での顧客ニーズに対応するため、米、ドイツ、スペインに拠点を新設、800人を投入してソリューション開発と提供を行うもの。またSAP NetWeaverを中核に、アクセンチュアの金融業界向けソリューションとSAP製品を統合していく予定となっている。
今回の提携はこれを受けたもので、アクセンチュアのもつ金融業界での知識とパッケージ導入経験、SAPの統合プラットフォーム、ソリューションの開発・導入実績という双方の強みを組みあわせ、国内では金融業のなかでも当面は保険・リース業界を最初のターゲットとしてソリューションを提供していく考え。銀行業界向けには日本固有のニーズに絞った製品の開発を行い、今後提供していく。
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SAPジャパン株式会社 代表取締役社長 藤井清孝氏
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アクセンチュア株式会社 代表取締役社長 村山徹氏
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SAPジャパン株式会社 代表取締役社長の藤井清孝氏は、「金融業界は公共分野とともにコスト構造改革が遅れており、ITコストがグローバルスタンダードから見ると高く、標準化は避けて通れないはず」としている。
アクセンチュア株式会社 代表取締役社長の村山徹氏は、「今回の提携を機に、日本の金融でのコスト再配分を一気に行っていきたい」と語った。
アクセンチュアでは、金融業界は過去数年間、不良再建や合併統合などの状況が続いており、これからはコストダウン圧力を背景に、伝統的な銀行業務を前提としたものから新たな収益構造を生み出すものへとシステム自体を変革しなければならないとしている。同社では、今までの基幹業務システムの定義を今後の戦略的に重要な機能と通常業務での処理機能に分け、後者にパッケージ・ソリューションを適用してコスト構造を変えていくとしている。これによりERP適用範囲を、従来の会計・人事領域などシステム全体の3%、380億円から、勘定系や顧客・代理店・営業店管理システムへと全体の35%、6000億円までに拡大したい考え。
ドイツSAP本社では、金融業界での実績として、バックエンドだけでなく保険金請求支払いや契約管理といった中枢の業務にわたるソリューションを、証券・リースを含む銀行業で世界上位50社のうち25社、ドイツでは上位30社中29社に、また保険業界でも上位10社中8社へ提供している。SAPジャパンでも国内8社、さらに金融サービス分野でも5社へ会計・人事・収益管理業務のソリューションを提供している。
■ URL
SAPジャパン株式会社
http://www.sap.co.jp/
アクセンチュア株式会社
http://www.accenture.com/jp/
( 岩崎 宰守 )
2003/10/21 14:31
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