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沖電気・江原氏「虹彩認証は高精度・高速なのがメリット」

~OKI情報通信融合ソリューションフェア2003

沖電気工業株式会社 金融ソリューションカンパニー システム機器本部 担当課長 江原和明氏
 沖電気工業株式会社の主催によりOKIショールーム(東京・虎ノ門)で開催されたOKI情報通信融合ソリューションフェア2003で、10月24日に「バイオメトリクス技術とその応用 ~個人認証とセキュリティ~」と題して、同社金融ソリューションカンパニー システム機器本部 担当課長の江原 和明氏が講演を行った。

 同社で虹彩による認証技術を担当している同氏はまず、個人認証システムのなかでのバイオメトリクス認証の利点を「鍵やICカードは紛失や盗難の危険性をともなう。またパスワードは記憶や知識を頼りにしていて不安定。バイオメトリクスは個人に固有の生体情報を利用するので、こういった心配はまったくない」とした。


虹彩(アイリス)認証技術のメリット
 同氏は虹彩認証技術の特徴を、「高精度で高速、利用も簡単で安全性も高い」と語った。虹彩とは、カメラでいう絞りの部分に当たり、瞳孔の縮小・拡大を調整する組織。これは遺伝的な影響を受けず、2歳頃に安定してその後一生変化しない。指紋より複雑なパターンを持っており、同氏によれば「スパゲッティを皿に取り分けるときにすべてが同じ形状に盛られるようなもの」だそうだ。同社の技術では、カメラで虹彩の画像を取得する。これに要する時間は「手動で1秒以下、自動でも3秒」。画像は片目分で512バイトのデータにコード化され、XOR論理を用いたマッチングを行う。例えば「Pentium 4 2GHzのCPUでは、100万人の虹彩コードを収録するデータベースから、1人のデータを照合するのに1.7秒しかかからない」。ほかのバイオメトリクス認証と比べても、「非接触で取得できるので指紋のような心理的な抵抗もなく、顔や声紋のような経年変化も少なく、偽造も難しい。本人拒否率や他人受入率の点でも優れている。コード化のおかげでデータ量も少ない」とした。

 虹彩認証技術は、旅行者の出入国審査に採用されることがカナダ、ヨーロッパですでに決定している。また日本でも、企業や政府でのセキュリティ意識の浸透により、「最近ようやくニーズが増えてきている」とのことだ。また同社では公開データベースサーバーを設置したバイオメトリクス認証局の実現を目指す団体、日本バイオメトリクス認証協議会にも参加している。


展示されていたゲート審査システム「アイリスパス-WG」
 同社は1995年に虹彩認証の技術に取り組み始め、この分野でトップのシェアを有している。現在はゲート審査を行う「アイリスパス-WG」を企業のPCルームやデータセンター、危険薬物を取り扱う製薬会社関連など100カ所以上に導入しているほか、USB接続のカメラを介してPCでのログイン認証を行う情報セキュリティシステム「アイリスパス-h」を2001年12月に発表、すでに1000台以上を出荷しているとのことだ。



URL
  OKI情報通信融合ソリューションフェア2003
  http://www.netpark.or.jp/sf2003/
  沖電気工業株式会社
  http://www.oki.co.jp/
  アイリスパス
  http://www.oki.com/jp/FSC/iris/jp/index.html
  日本バイオメトリクス認証協議会
  http://www.biometrics.gr.jp/
  社団法人日本自動認識システム協会バイオメトリクス部会
  http://www.aimjapan.or.jp/bkindex/bio/index.html


( 岩崎 宰守 )
2003/10/24 16:33

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