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NRI鳴沢氏「今後はITによる事業創造の時代に」

~OKI情報通信融合ソリューションフェア2003 講演

株式会社野村総合研究所 代表取締役 専務執行役員 鳴沢隆氏
 沖電気工業株式会社の主催によりOKIショールーム(東京・虎ノ門)で開催されたOKI情報通信融合ソリューションフェア2003で、10月24日に「新しい企業経営とIT戦略の革新」と題し、株式会社野村総合研究所 代表取締役 専務執行役員の鳴沢 隆氏が特別講演を行った。

 同氏はまず2003年度の国内経済見通しを語った。「わたしどもエコノミストの間では事件と言われるほど前例のない」大幅な上方修正となり、景気は確実に回復しつつあるとした。特に民間の設備投資は従来予想の2.2%増から12.3%増となる見通しとなっている。株価も10,000円台に戻しているほか、自己資本利益率は8.3%と歴史的にも世界的にも高い水準が見込まれている。だが業界では長い不況下で再編が進み、今後は景気が回復基調でも「トップ2社以外では特徴あるニッチな企業しか成長できず、企業間格差が拡大していく」との見通しを示し、「企業経営は新ステージに移行し、戦略が大事になってくる」とした。

 続いて情報技術の進化を語った。18カ月で2倍のPC性能が向上するとしたムーアの法則、元サン・マイクロシステムズのビル・ジョイが、ネットワークは1年で2倍の性能向上をすると語った法則を示しながら、コスト低下とITインフラの浸透を語り、「これらを背景にした“ユビキタス・ネットワーク社会”というコンセプトは、世界でもユニークなもの。日本の強さを引き立てる重要なものとなるだろう」とした。

 こうした社会のなかで、企業の経営戦略を語るとき、「従来のITによる効率追求の時代は終わりを迎え、ITによる事業創造の時代に入っていく」とし、同氏は株式会社NOVAが1996年より開始しているテレビ会議システムによる外国語教育「お茶の間留学」、総務業務のアウトソースを実現したアスクルなどを例にしながら、IT技術があって初めて実現する業態の創出を語った。またセブンイレブンで行われている“仮説検証プロセス”を例にとり、ITにより実行可能となる企業内の業務プロセス改善についても触れた。ITによる新業態については、「顧客との直接的なつながりを活用して、ニーズを正確につかむことが重要」とし、顧客個人はもとより、個人顧客グループとの対話による商品開発の重要性を語った。

 同氏は最後に、「最近の企業トップではCIO(情報技術)担当出身者が増えている」点に触れながら、「今後はIT関連部門が、事業戦略の立案など経営企画にも関与していくことが価値創造につながる」と語った。



URL
  OKI情報通信融合ソリューションフェア2003
  http://www.netpark.or.jp/sf2003/
  株式会社野村総合研究所
  http://www.nri.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2003/10/24 17:47

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