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IBM PCが目指す「自律型コンピューティング」

~Think Vantage Conference基調講演

PC製品事業部事業部長理事 須崎吾一氏

IBMが実践したワークスタイル
 10月28日に開催された「IBM IT Forum 2003 Think Vantage Conference」において、日本アイ・ビー・エム株式会社PC製品事業部事業部長理事の須崎吾一氏が「オンデマンド・ビジネスを支えるこれからのPCクライアント」と題した基調講演を行った。

 昨今のブロードバンドの普及に伴い、ネットワークに接続していれば仕事ができたりミーティングを開けることが現実化されてきているため、勤務時間や場所にとらわれないワークスタイルが注目されている。企業にとっては業務の効率化や、場所や時間に制約のある優秀な人材の確保や活用につながり、個人でも仕事と家庭の両立ができるなど双方にとってメリットが生まれる。須崎氏によると、IBMでは早期から在宅勤務制度や遠隔地で仕事をするMobile Officeを実践しており、現在、自宅で仕事をしているe-Workerが2,000人、ノートパソコンを持って社外から仕事ができるMobilerが13,500人いるという。

 このように社外からも仕事ができ便利になった一方で、重要データが企業の外部に出るため取り扱いには十分に注意を払わなければならない。須崎氏は「在宅勤務のPCがハッキングされ個人データが流出したり、機密情報が保存されたPCが盗難に遭うなどの事件発生している。便利になる一方でリスクも発生することを忘れてはならない」と注意を促した。


 企業はセキュリティ対策などに力をいれつつあるが、そのほとんどがサーバーやネットワークに対して行われている。しかし、このようにワークスタイルが変化している現在、クライアントPCのセキュリティやデータ保護などのシステム管理、およびその負荷の削減が重要な課題となっている。須崎氏によると「PC導入時の初期コストもさることながら、運用、管理、保守にかかる活用段階のコストを重要視する顧客が増えている」という。


Think Vantageテクノロジーとデザイン
 同社はこの活用段階におけるコストを「Think Vantage」によって削減することができるという。Think Vantageとは「PCが自ら運用、管理、保守を行う自律型コンピューティングにフォーカスした技術とデザイン」(須崎氏)を指す。代表的なものとして、PCの落下を自動的に感知し、HDDのヘッドを待避させデータの喪失を防ぐ「ハードディスクアクティブプロテクションシステム」が自己防御技術として最新のThinkPadの一部機種に搭載された。このほか、HDDのリカバリーイメージをカスタマイズできる「Image Ultra」などの自己構成技術、データを別パーティションに自動的にバックアップする「Rapid Restore Ultra」などの自己修復技術、無線LAN接続の設定を自動で行う「Access Connection」などの自己最適化技術といったThink Vantageの構成要素が次々とIBM PCに搭載されている。


Think Vantageの4つの技術 ThinkPadに搭載されてきたテクノロジー

 このようにIBMのPCが目指しているのはデータの保護やバックアップなど、活用していく過程で必要とされるPCのシステム管理を、PCが自ら行うことのできる「オートノミック(自律型)コンピューティング」の強化だという。同社は今後もThink Vantageを4つの技術を中心に発展させ、活用段階を含めたTCO削減を提案していくという。須崎氏は「IBMはこれまでも業界に先駆けたテクノロジーを提案してきた。我々は家庭向けPCのベンダーではないので、今後も企業にとって必要なデータの保護、仕事の生産性向上を追求し、安心して使っていただけるPCを供給していく。ユーザーにはIBMのPCを使っていただくことにより本来の仕事に集中して、今回のキーワードであるThinkをしていただきたい」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  ThinkVantage Plaza
  http://www-6.ibm.com/jp/pc/tvplaza/


( 朝夷 剛士 )
2003/10/28 19:10

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