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NTTドコモ西川氏「経営情報をリアルタイムに把握」

EMC FORUM 2003 AUTUMN 特別講演

 イーエムシージャパン株式会社の主催により、10月28日にウェスティンホテル東京で開催された「EMC FORUM 2003 AUTUMN」で、「企業情報システム“DREAMS”によるリアルタイム・マネジメントへの挑戦」と題して、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 情報システム部 部長の西川 清二氏が特別講演を行った。

 NTTドコモでは、2002年4月より基幹系業務システム“DREAMS”の稼働を開始している。同氏は「経営状況をリアルタイムに把握できることを目指し」、同システムを導入したと語った。


 同社ではシステム導入前の段階で、「従来の経理システムの再構築、さらに連結決算対応も必要だった」。一方、携帯電話の顧客管理システムとして「ALADIN」を1997年5月より全国導入しており、「営業で成功したこの思想を全業務向けにシステム化したのがDREAM」とのことだ。

 ALADINは、在庫・顧客・売上の管理や、代理店精算から、端末ROM、ネットワーク状況までの各情報をデータベースに同期し、顧客対応業務を管轄するシステムで、「リアルタイム同期されたデータベースの信頼性の高さ」は、これによりすでに実証されていた。

 DREAMは、契約管理、設備会計、ALADIN、物品情報のそれぞれをデータウェアハウスに取り込むもので、業務発生時点でデータを入力することにより、資金の動きと物流がリアルタイムにデータベースと一致するシステム。現状の取引とデータ入力が連動していて、いわゆる「締め日」を意識せずに、リアルタイムに経営状態の把握が可能となる。

 実際に社内でデータ入力を行うにあたっては、入力用の新OAを導入。スケジューラにより各社員の交通費精算や時間外労働・休暇などの勤務管理も行っている。また「電子計算の流れだけでなく、業務そのものを管理するワークフローツールを導入」し、業務の抜本的改革も行った。

 経営情報のマネジメントでは、例えば「通話料分析では割引前後、一人あたり、加入期間別、発進先別などさまざまな角度で」の情報把握ができ、会計情報とオペレーション指標のそれぞれを定型、非定型での検索が可能となっている。また事業別、県別、組織別など関連情報別ツリーによる分析表示や、数値を警告するアラームにより原因追求と対応手段検討を迅速に行える予実管理の機能を備えているという。

 同氏は導入後のメリットとして、業務の効率化のほか、業務品質の向上を上げた。今後は「データの活用により、業務内容がより生産性のあるものへとシフトしていくのではないか」と語った。

 開発には2年をかけ、2002年の4月1日より、グループ35社約3万人の環境下で一斉に稼働を開始した。同氏は徐々に稼働させたかったそうだが、「連結決済システムを重視した経理から要求があった」そうだ。それから3カ月かけて細かいバグフィックスを行った後の定着度アンケートでは「約3割しか導入効果があるとの回答がなかった。ショックだった」と語った。これにより「細かい使い勝手を修正、さらに研修を重ねて」、今ではこの数字が約7割にまで上がったという。

 同氏は今後の課題として「経営効果測定には時間がかかるもの」としながら、このシステムをいかに経営判断に役立てていくかを挙げた。

 システムではデータウェアハウスにEMCのストレージを185TB使用しており、「2つのミラーボリュームを日ごと切り替えて運用している」とのこと。一日あたり450万トランザクション、5000万件の更新処理が発生しているという。



URL
  EMC FORUM 2003 AUTUMN
  http://www.emcforum.jp/
  イーエムシージャパン株式会社
  http://www.emc2.co.jp/
  株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2003/10/28 20:30

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