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株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ代表取締役社長 立川敬二氏
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10月29日に都内で開かれた日経BP社主催の「Network Summit 2003」において、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、ドコモ)代表取締役社長の立川敬二氏が「モバイルで実現するユビキタス・ネットワーク」と題した講演を行った。
現在、ドコモをはじめとした携帯電話の加入者数は、3年前に固定電話の加入者数を超えた後もさらに伸び続け、9月で日本の全人口のおよそ8割に相当する8,300万台を突破した。そのうち、iモードをはじめとしたワイヤレスでインターネットに接続するサービスを全加入者の8割が利用している。立川氏はこの状況について「モバイルコミュニケーションの分野では全世界のトップクラス。アメリカの3,4年先を行っているのではないか」と分析する。
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通信事業別加入者の推移
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FOMA契約者数の推移
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このように携帯電話が普及してきた一方で、元来主要サービスである音声通話の利用時間が利用者1人1日あたり10分(送信のみだと5分)を切っており、頭打ち状態となっているという。「移動通信サービスの主体が変化しつつある」(立川氏)この状況からさらなる成長を果たす鍵となるのが、FOMAをはじめとした第三世代携帯電話である。立川氏によるとFOMAの加入者は9月に100万台を突破したという。立川氏は「100万台という数字は加入者の増加に拍車がかかり、よりコンテンツプロバイダーの参入も促せるクリティカルマス」と今後のFOMA利用者拡大に自信をのぞかせた。
これまでFOMAにはサービスエリアが狭い、端末の機能や種類が少ないといった課題があった。しかし2003年末には人口カバー率99%に到達し、端末の小型化・高機能化も進んでいる。そして2005年には通信速度14Mbpsに対応した端末も登場する予定だ。立川氏は「エリアと端末の課題は時間がたつにつれ解決される。今、我々が取り組まなければならないのはFOMAの機能を生かしたサービスだ」という。
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人と機械をつなぐ移動通信サービスの例
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FOMAでは従来の音声や静止画以外に動画の通信ができるなど、よりリッチなコンテンツの送受信が可能となり、それを利用した新しいビジネスが生まれる。立川氏によると、現在、ドコモが基本料などと一緒に回収している有料情報の代金は年間1,000億を超えるが、FOMAによりさらに伸びるという。立川氏は「FOMAは人と人をつなぐだけでなく、iモードのような人と機械をつなぐサービス、さらに機械と機械をつなぐサービスを提供できる。動くものすべてをネットワークに接続してサービスにつなげることをユビキタス化だと考えている」と述べた。
従来、こうしたサービスはドコモが直接提供するのではなく、主にASPやコンテンツプロバイダーが提供していたが、現在はドコモがこうした事業者とコラボレーションして積極的な展開を見せている。例としてテレビ電話などのビジュアルコミュニケーションをはじめ、音楽や映像の情報配信、バスの現在地がわかる位置情報通知、遠隔管理システムなどがあるが、ドコモが最も期待しているのは、携帯電話を利用した電子決済システムだという。先日発表された非接触型ICや、すでに搭載が始まっているQRコード読み取り機能など、さまざまな外部インターフェイスとの連携を進めていくとし、「これらをうまく組み合わせることにより利便性はさらに高まる」(立川氏)という。立川氏はこれらを利用した例として六本木ヒルズや東京ドームシティ ラクーアを挙げた。
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携帯電話に搭載される外部インターフェイス
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六本木ヒルズや東京ドームシティ ラクーアの例
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立川氏は「我々はインフラと共に、さまざまな事業者と協力して付加価値の高いサービスを提供して利益を上げていくつもりだ。移動通信はまだまだ発展の可能性を持っている」と述べ、講演を締めくくった。
■ URL
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
Network Summit 2003
http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/ns2003/
( 朝夷 剛士 )
2003/10/29 16:56
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