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シスコ黒澤社長、「重要なのはワークスタイルの変革」

~Network Summit 2003講演

シスコシステムズ 代表取締役社長 黒澤保樹氏
 10月29日に都内で開かれた日経BP社主催の「Network Summit 2003」において、シスコシステムズ株式会社(以下、シスコ)代表取締役社長の黒澤保樹氏が「IPコミュニケーションで変革するワークスタイル」と題して講演を行った。

 黒澤氏によれば、「19世紀のイギリスが蒸気機関の発明によって繁栄したように、革新的で重要な技術を発明したところが栄えてきた。今の世の中では、ネットワークとITがそれにあたると思う。日本はスタートこそ遅かったものの、e-Japan戦略によって日本はブロードバンド化に成功し、その結果、ブロードバンドネットワークの速さと安さでは、世界一といっていい状態を作り上げた。最先端の設備を持っていることは、それ自体がチャンスになる。また日本には、教育レベルの高い人がたくさんいるのも大きい。それらが、経営にとってどういうインパクトがあるのかを、企業のトップ自らが理解して推進するのが大事」という。


国際競争力強化のための、3つのポイント

 また、日本企業が国際競争力を得る上でのポイントは3つあるとした。生産性の向上、商品・サービスの品質向上、社員の能力向上の3つがそれである。そしてそれらを実現するためには、「企業のトップが何を考えているのか、方向性がどうなのかといった情報の共有、自社の強み、弱みや核となる機能を理解すること、顧客が何を望んでいるのかというニーズの把握などが必要」(黒澤氏)とする。これらを実現するためには、何から何まで自分でやるという従来の縦の構造では対応ができないため、これからは、縦割りのプロセスではなく、顧客にとって必要なことを横断的にプロセスを作っていくことになる。

 「コアコンピデンシー以外はパートナーシップで補うことになる。その場合、パートナーとはすべての面で統一性を持ち、あたかも1つの組織であるかの様に運営していけるということが必要だ。一部の機能はアウトソーシングという形で外に任せる形になるが、完全に外部に任せてしまってはだめ。管理は自分のところで行う必要がある(アウトタスク)」(同氏)とし、ほかの企業などとネットワーク化された仮想組織体(NVO)を作り、その中で情報共有を有効に行って、企業を運営していくことが望ましいと述べた。


プロセスの変更こそが、最重要課題

 そして企業が取り組むべきこととしては、まずネットワーク化、次にアプリケーション(ツール)、そしてプロセス(仕事)の変更をあげた。「イノベーションを起こすには投資はもちろん必要。しかし、道具だけあっても、仕事のやり方はそのまま、というのではでは意味がない。最終的には企業文化まで変えていくくらいの取り組み方でなければ、効果は出てこない」(黒澤氏)。

 黒澤氏によれば、「実際に、ITバブルの時期に投資をした(=物は買った)という企業は多い。しかし、そこが終わりではない。プロセスを変更し、最終的に生産性をあげて競争力を高めるところまで到達しなければならない」のだという。

 黒澤氏は具体例としてIPテレフォニーをあげた。「IPテレフォニーを導入することにより、電話とネットワークが1つに統合でき、増設時にも電話工事が不要になるなど、コストを削減することが可能になる。しかし、本当に重要なのは、IPテレフォニー(=ツール)を使うことで、仕事のやり方が変わるということ」とする。

 「例えば、出張でアメリカに行っても、会社にいて内線をとるのと同じ感覚で、取引先からかかってきた電話を受けることができるということ。また、メールを音声に変換する、もしくは逆を可能にするユニファイドコミュニケーションも、仕事を変えることのできる、IPテレフォニーのツールの1つ。IPテレフォニーの導入を検討する際には、それがプロセスを変更できるものなのかどうかをまず考えてほしい。そうでなければ、電話がIP電話に置き換わったというだけで終わってしまう」と述べ、重要なのは「導入すること」なのではなく、「プロセス(=ワークスタイル)の変更」なのだということを強調していた。



URL
  シスコシステムズ株式会社
  http://www.cisco.com/jp/
  Network Summit 2003
  http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/ns2003/


( 石井 一志 )
2003/10/30 08:22

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