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富士通ビジネスシステム、下期ソリューションサービスを柱に事業拡大へ

~上期最終赤字も、通期は大幅な黒字見込む

代表取締役社長 鈴木勲氏

1999年度からの5年間の売上推移
 株式会社富士通ビジネスシステムは、今年度下期の事業計画を明らかにした。

 冒頭、同社・鈴木勲社長は、自らを「再建社長」とし、就任時の2000年度の経常損益マイナス33億円の赤字、純損益でマイナス19億円だったものを、2002年度実績では、3期ぶりに経常利益で19億円、純利益で3億円と、いずれも黒字化を達成。今年度も経常利益、当期純利益ともに大幅な成長を目指し、それに向けて着実に進捗していることを強調した。

 「ハード販売中心のディーラーという位置づけから、ソフト・サービスを中心とした事業への戦略転換を図り、いまや売上高の63%がソフト・サービスとなった。これによって、今年10月には、東証所属業種を商業から情報通信業へと変更した。まだ、再建途上だが、成果は確実に出ている」とした。

 さらに、続けて、「構造改革はこの上期で終了。今後は拡大・成長を求める攻めの年にし、収益体質の確立を進める」と成長戦略への転換を標榜した。


 具体的な拡大戦略として、ソリューションサービス事業を成長の柱とし、同社独自製品であるWebASを核に事業拡大を図る。WebASは、マイクロソフトの.NETを基盤とした中小・中堅企業向けの基幹業務アプリケーションで、現在、販売管理系を中心に業種・業務アプリケーションとして200コンポーネントを用意している。これまでに176本を受注しており、「短納期で、高付加価値を提供でき、リーズナブルに導入できることから、ミッドレンジユーザーの経営革新に大きな威力を発揮する。また、当社にとっても、コンポーネントを横展開できることから、高収益性のビジネスモデルを実現できる」という。


ソリューションサービス事業の戦略
 下期に向けて受注が拡大していることから、今年度末には累計400本の出荷を目指すほか、FJBコンポーネント開発センターを100人体制とし、これまでの導入事例や地域特性などを加味した細業種、業務別に拡大することで、コンポーネントを300種類にまで拡大する考え。

 また、富士通系のディーラー、SIerにも横展開し、.NETフレームワーク部分を切り出して事業を拡大するほか、大手企業の部門などにも積極的に拡販していく考え。

 さらに、電子自治体向けのソリューション展開や医療ビジネスへの集中展開を強化。電子自治体向けには、LGWAN接続後の展開としての文書管理システムの提案や住民サービス、図書館システムなど地域公共ネットワークなどをに取り組み、医療分野では、中小病院への電子カルテ、オーダリングシステムの拡販、調剤薬局向けの新たな展開として「WebAS調剤名人」を投入するなどの施策により、e-Japan関連ビジネスを加速させる。

 そのほか、アウトソーシングサービスの量的拡大、IP電話を主軸としたネットワークビジネスの発展、サポートサービスによるストックビジネスの拡大を図る。

 セキュリティサービスでは、トレンドマイクロとの提携により、月額制度のFJBセキュリティサービスPlusを提供。「月額にしたことで、自治体がセキュリティサービスを導入しやすいとして好評だ」という。

 ソリューションサービスでは、通期売上高は前年比12%増の397億円、アウトソーシングネットワークサービスでは16%増の61億円、サポートサービスでは24%増の72億円とした。


2003年度中間期連結決算

2003年度通期連結見通し
 なお、同社では、10月29日に2003年度中間期連結決算を発表しているが、今回の会見では、その点にも触れた。

 売上高は前年同期比0.5%減の773億7300万円、営業利益は16.3%増の8億9000万円、経常利益は71.4%増の4億1600万円、当期純損益は構造改革費用の特別損失が8億6800万円となり、前年同期から1億0700万円減少のマイナス2億8800万円の赤字なった。

 だが、「今年10月で構造改革は一段落しており、早期退職制度に伴う特別割増退職金も終了した。通期では、当期純利益は前年比169.8%増の10億円を見込む」(鈴木社長)として、前年から大幅な改善を見込む。

 通期の見通しは、前年比0.7%増の1720億円、営業利益は33.5%増の40億円、経常利益では45.7%増の29億円と、増収増益を見込むが、期初の目標値を下方修正した。「下期は売上高、経常利益は計画通りだが、上期は売上高で前年同期比0.5%減となった。景気の動向などを考えると、売上高が飛躍的に拡大するとは考えていない。営業努力で少しずつ伸ばすということになる。テンプレートの活用で利益率を高めることに力を注ぎたい」(鈴木社長)として、売上高の伸びよりも利益改善を重点とする方針を示した。



URL
  株式会社富士通ビジネスシステム
  http://www.fjb.co.jp/


( 大河原 克行 )
2003/11/10 18:06

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