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iシリーズ生みの親、ソルティス氏が札幌で会見

来年投入のPOWER5は、ブレードサーバーにも搭載

米IBMのフランク・ソルティス博士
 AS/400(現iシリーズ)の生みの親といわれる米IBMのフランク・ソルティス博士が、11月12日、札幌市の札幌コンベンションセンターで報道関係者向けのラウンドテーブルセミナーを行い、来年にも投入されるPOWER 5の概要やハイパーバイザーと呼ばれる機能の進化などに触れた。

 冒頭、ソルティス博士は、「2000年10月にeServerを発表したのは、単なる名称変更だけに留まらず、テクノロジーの共有化、ソリューションの共有化を目指すことが大きなポイントといえた」と切り出し、ここ数年、iシリーズおよびpシリーズにおける共有化に重点的に取り組んできたことを示した。

 すでに、iシリーズとpシリーズは、同じPOWERプロセッサを利用し、ハードウェアの共通化が進んでいるのに加え、メインフレームのzシリーズも、パッケージング、メモリ、キャッシュメモリ、I・Oアセスメントなどの部分での共通化が図られているほか、xシリーズでも多くのパッケージング技術の共通化が図られている。

 また、OSの下にあるシステムソフトに関しても共通に利用できるものが増加しており、プラットフォームにおける共通化を今後も推進する意思をさらに強調した。

 さらに、zシリーズで培ったハイパーバイザー(eServer WARE)の機能をiシリーズやpシリーズに展開することによって、同一のハード上で複数のOSの展開が可能になり、次のリリースとなるiシリーズのVer5リリース3およびAIX5.3では、パーティショニングの技術を使い、iシリーズ上でAIXを利用できるようになる。

 しかし、ソルティス博士は、「誤解しないでほしいのは、プラットフォームの共通化は、OSをひとつに融合するのではないという点だ」と話す。

 続けて、「iシリーズ向けのOS/400は統合環境での利用に威力を発揮し、AIXやLinuxにもそれぞれ異なるオーディエンスがいる。さらに、iシリーズとpシリーズを重複して導入しているのは7%以下のユーザーにすぎない。しかも、重複しているユーザーは、大手企業であり、zシリーズや、xシリーズも導入している例が多い。iシリーズのユーザーは、めったにプロセッサに関する質問はせず、ビジネス上の問題をどう解決するかといった質問が多く、最新のOSが出た段階で、一つ前のOSの検討を開始するという形になる。これに対して、pシリーズになると技術志向が強く、チップデザインの話やテクノロジーの話の質問が多く、最新の技術を率先して取り入れようとする。こうした顧客の違いにあわせて、OS/400も、AIX、Linux、Windowsもそれぞれの特徴を生かすことになる。だが、その一方で、ミドルウェアを4つのサーバープラットフォームや複数のOSのもとで共通的に利用することは重要である。この部分は積極的にやっていく」とした。


 一方、プロセッサであるPOWERに関しては、来年投入する予定であるPOWER5にも言及した。

 ソルティス博士は、「現在のPOWER4およびPOWER4プラスは、最も高性能のCPUを目指し、IBMはこれを実現した。インテルやサンと比べても、現時点でこれを超えるプロセッサはないと自負している。だが、高性能を目指した一方で発熱処理の問題が出てきた。これはメインフレームなどでは問題にならないが、ローエンドへの展開や、より小型のパッケージングが求められるブレードサーバーのような製品では問題となる。POWER5はこの点を大きく改善した。しかも、速度は2倍になり、これまでの2倍となる64Wayの構成が可能になる。単純に計算して4倍の性能が発揮できるようになる。iシリーズよりも小さなモデルで展開できるようになるのが特徴だ」とした。

 また、POWER5の技術は、ソニーおよび東芝と共同開発している次世代プレイステーション用CPUに位置づけられているCELLの技術にも応用されるほか、先頃発表した次期Xbox向けのCPUの技術にも応用される。

 「私は冗談で、将来はプレイステーション上でOS/400が動作するようになる、としたがこれを真に受けた人もいたようだ。これからは、Xboxの上でOS/400が動作するというつもりだが、あくまでも冗談なので本気にしないでほしい」とジョークを飛ばしていた。

 一方、POWER6に関しては、「POWER5の投入から2年後になるだろう」としたほか、「2010年には128ビットの世界になるだろうが、もともとAS/400は、128ビットのコンピューティング環境を想定して設計されたものであり、2010年以降まで長期的に利用できるデザインだ」とした。

 会見の最後に、ソルティス氏は、「iシリーズは、128ビットにデザインポイントがあること、そしてIBMが継続的に投資を続けてきたことが強み。さらに、今年8月にすべてのベンダーのあらゆるコンピュータを対象に実施された顧客満足度でも、アップルやデルを抜いてiシリーズがトップになった。こうした顧客からの高い評価も、他社にはないiシリーズの強みだといえる」とコメントした。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  第14回iSUC in SAPPORO
  http://www.uken.or.jp/isuc/isuc14/index.html


( 大河原 克行 )
2003/11/13 10:10

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