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IDC Japan、ストレージ市場の2極化が進むと予測

~STORAGE NETWORKING WORLD/Tokyo 2003講演

IDC Japan株式会社ストレージシステムズリサーチマネージャー 森山正秋氏
 11月11日より13日まで開催された「STORAGE NETWORKING WORLD/Tokyo 2003」において11月13日、IDC Japan株式会社ストレージシステムズリサーチマネージャーの森山正秋氏が「国内ストレージシステム市場-その課題と成長機会-」と題した基調講演を行った。

 森山氏によると、国内のサーバーやストレージをはじめとしたエンタープライズハードウェア市場は、今後も価格低下などの影響を受け厳しい状況が予想されるという。また、ストレージシステム市場について「DAS(Direct Attached Storage:サーバー直結型ストレージ)からSAN(Storage Area Network)などのネットワーク型ストレージへの移行が進む」(森山氏)と述べた。


成長する分野と縮小する分野の違いが明確に

 国内のIT投資の成長率は2003年も3年連続でマイナス成長となることが確実と見られている。2004年以降、回復傾向に入る予想されるがITバブル時のような大きな伸びは期待できない。この中で2003年のストレージシステムの市場規模は前年比8.8%減の4,704億円になり、来年以降2007年までに平均で0.7%という緩やかな成長が続くと予想しているという。また、ディスクシステムについては、容量あたりの単価の下落が今後も続き、出荷容量が伸びる一方で、出荷金額が伸び悩むという。


IT投資とストレージシステム投資の比較 国内ストレージシステム市場の実績と予測

 ディスクシステムの出荷金額は2001年上期をピークに現在まで減少傾向が続いている。その要因となっているのが、これまで中心となっていたDASの需要の縮小である。これに代わって今後拡大が見込まれるのが、ストレージを効率的に集中管理できるSANやNASといったネットワーク型ストレージだ。管理者一人あたりの管理容量が増加し複雑になってきている現在、SANとNASは厳しい市場環境の中でも成長を続けている。森山氏によると、SANとNASの成長率は約14%とディスクシステム全体の成長率を大幅に上回り、2007年には全体の約45%になると予想しているという。

 森山氏はこうしたストレージ市場の動向について「急速に成長する分野と縮小する分野の違いが今後さらに明確になる。ストレージベンダーは成長性の高いマーケットへリソースをシフトしていくのが重要である」と述べた。

 ストレージ市場のもう一つの傾向が、WindowsやLinuxなどのIAサーバー環境と外付ディスクシステムを組み合わせたシステムが増えていることだ。これまでストレージシステムの主役であったメインフレームやUNIXへの新規投資が下落しており、代わってWindowsやLinuxと可用性・拡張性の高い外付型のディスクシステムへシフトするのが現在のトレンドとなっているという。森山氏によると、Windowsが動作するIAサーバー環境で外付型ディスクを利用する比率は年々増えており、現在の20%から2007年には45%になると予想しているという。


ディスクシステムの接続環境別出荷金額の実績と予測 IAサーバー・Windows環境ストレージシステムの外付型ディスクシステムの割合

利益を追求できるソリューションビジネスが重要

データ保護に対する需要
 ストレージ市場への需要はディスクシステム以外にも広がっている。企業で扱うデータは年々膨大になっており、扱うデータの価値や、それを損失したときの企業に与えるインパクトは非常に大きい。そのため、企業のデータ保護への意識が高まっており、これを効率的に行うことのできるソフトウェアやサービスへの需要が年々大きくなっている。森山氏は「製品を単体で売るのではなく、需要のあるソフトやサービスを組み合わせたソリューションとしてユーザーに提供し、利益を追求できるビジネスにすることが重要だ」と語った。



URL
  IDC Japan株式会社
  http://www.idcjapan.co.jp/
  STORAGE NETWORKING WORLD/Tokyo 2003
  http://www.idg.co.jp/expo/snw/


( 朝夷 剛士 )
2003/11/13 17:11

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