ソフトウェア資産管理コンソーシアムは、企業で保有、運用するソフトウェア管理の指針となる「ソフトウェア資産管理評価規準」を策定し、11月19日に発表を行った。評価基準は同コンソーシアムのWebサイトより、無償でのダウンロード提供が行われる予定。
同コンソーシアムは、マイクロソフト株式会社やアドビシステムズ株式会社、監査法人トーマツなどが中心となり2002年5月に設立され、ソフトウェアや管理ツールのベンダー、SIer、システム監査団体など34の企業・団体が参加している。2002年10月には、管理基準を11に区分した「ソフトウェア資産管理基準 Ver.1.0」を発表している。
今回発表された評価規準はこれに基づいており、成熟度モデルごとに6つの段階で管理レベルを設定し、ソフトウェア資産管理の体制や項目などの枠組みを定めた統一基準となる。実際の管理状態における改善点を把握し、目標設定を出来るようにしたものといえる。
6つの段階については、管理の存在しない段階から、その手続きの規定化、その運用方法、そして見直しによる最適化などにより区分されている。現在同コンソーシアムでは、項目ごとに成熟度を判定できるチェックリストを作成しており、早期に発表したい考え。
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富士通サポートアンドサービス株式会社 ISVビジネス推進部長 柳原 弘氏
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監査法人トーマツ ディレクター 田村 仁一氏
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富士通サポートアンドサービス株式会社 ISVビジネス推進部長の柳原 弘氏は、「大規模リストラなどによりソフト資産がどれだけ浮くのか、経営陣にソフトウェアに対する資産価値の意識がない」とし、また「監査のコンサルティングなどでも、例えばソフトウェアベンダーごとに言葉が違い、企業での資産管理がうまくいかない面もある」ため、同コンソーシアムでは、言葉の統一などを含めたソフトウェア資産管理の普及を図っている。すでに53社にソフトウェア資産管理基準を提供しており、コンサルティングなども行っているとのこと。
同氏は「企業のコンプライアンスとして、外に対する説明責任があると、個人的には考えている」と語り、資産管理は不正コピーによる法的リスクの回避にもつながるとした。企業のIT部門については「予算圧縮などの現状があり、PC管理だけで個々のライセンスまで手が回らない」とし、また「知的財産権はいくつかのセクションで管理されている」などの点も、管理を行う難しさになるという。このため今回の試みにより、「段階的なアプローチができることで、大手企業以外へも浸透させたい」と語った。またチェックリストについて、「特に官公庁などでは固有の要求もあり、業態別の提供も考えている」としている。
監査法人トーマツ ディレクターの田村 仁一氏は今回の試みについて、「ハードウェアなどに比べ、目に見えないソフトウェア資産の性質は特殊で、現在のところ管理への認識も低いといわざるを得ない」と語った。また海外ではソフトウェア資産にフォーカスして全般的に基準化されたものはないそうで、「管理基準の英語版に続き、評価基準の翻訳も行って海外へ向けた情報発信も行いたい」と述べた。
■ URL
ソフトウェア資産管理コンソーシアム
http://www.samconsortium.org/
( 岩崎 宰守 )
2003/11/19 16:16
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