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NTTと日立、サーバーに負荷をかけないネットワークPCを共同開発


ストレージセントリックネットワークの基本概念

ストレージセントリックネットワークの特徴
 日本電信電話株式会社(以下、NTT)と株式会社日立製作所(以下、日立)は11月20日、両社が共同で開発を進めている「ストレージセントリックネットワーク」のプロトタイプを発表した。

 ストレージセントリックネットワークは、クライアントPC内のHDDにあるOSを含むすべてのデータをデータセンターで一括して管理するソリューション。

 特徴として挙げられるのが、OS、アプリケーション、データのすべてをデータセンターのストレージに集約すること。これにより、PCの管理をセンター側で一元化でき、運用コストの削減につながるとしている。また、データセンターのストレージ側で、セキュリティパッチを適用することで、すべてのクライアントPCへの適用が可能としている。そのほか、クライアントPCの全データがデータセンター側にあるため、PC本体が盗難にあってもデータの流出が起こらないとしている。また、iSCSIを用いてデータセンター側での遠隔地バックアップなども可能。「クライアントPCのデータを含めて、ディザスタリカバリーに対応している」(NTT 情報流通プラットフォーム研究所 部長の後藤厚宏氏)と話している。

 ストレージセントリックネットワークの基本的な仕組みはこうだ。まず、クライアントPCを起動すると、認証画面が表示される。ここで登録されたIDでログインすることでデータセンターにあるデータにアクセスし、ブート用のデータが送られてくる。ブート用のデータは数十MBになり、起動にはだいたい3分くらいかかるという。その後は通常のPCと同じように使用できるという。デモではLinuxベースのクライアントOSを使用していたが、「もちろんWindowsも利用可能。ただし、まだ開発段階なので検証の途中」(NTT 取締役 第三部門長の井上友二氏)と説明した。

 「これまでのシンクライアントやネットワークコンピュータと大きく違うのは、クライアントPCにあるCPUなどのリソースがそのまま使えるため、サーバーに負荷を与えないところ。なおかつ、データセンターでクライアントPCのデータを一括管理できるため、管理者の負担を軽減できる」(井上氏)と説明した。日立の執行役専務の中村道治氏は、「今回の共同開発によって、1社ではうまくいかないことでも、互いの得意分野を活かすことで成果がでることを証明できた」と共同開発の成果を強調した。

 具体的な商用化のめどは立っていないが、「遅くとも2005年度中には商用化につなげたい」(井上氏)としている。また、利用環境については、「1000台同時にアクセスするような運用は難しいが、100台程度なら使える。当初はデータの取り扱いが厳密なセクションなどで利用するイメージ」(同氏)と話している。


発表会で使われたデモ環境。デスクトップPCからはHDDが抜き取られていた 災害が発生!今回のデモではケーブルを切断して障害を発生させていた 障害が発生した場合、バックアップPCで同じデータにアクセスが可能(写真はログイン後の起動画面)


URL
  日本電信電話株式会社
  http://www.ntt.co.jp/
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/


( 福浦 一広 )
2003/11/20 20:10

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