eコマースの運営企業のみならず、Webサイトを開設している企業にとっては、自社サイトのアクセス動向は気になるもの。このWebサイトのアクセス解析を行うツールが、米NetIQ社のWebTrendsである。WebTrendsは1993年の発売以来、今年で10年目を迎えた製品。日本では、株式会社アイ・ティ・フロンティアが総代理店となって販売している。今回、アイ・ティ・フロンティアが開催したWebTrendsのセミナーに出席したNetIQ社のWebTrends部門の責任者であるSenior Director of Sales WebTrends ProductsのBrian Carman氏に、エンタープライズ市場に向けた同社の戦略について伺った。
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NetIQ社 Senior Director of Sales WebTrends ProductsのBrian Carman氏
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―まず、WebTrendsについて簡単に説明をお願いします。
Carman氏
WebTrendsは、全世界で60,000社が利用しているWebアクセス解析ツールのトップ製品です。米国の主要企業の格付けランキングであるFortune 500に選ばれた企業の約半数がユーザー企業に含まれています。製品としての特徴は、豊富なテンプレートとわかりやすいレポーティング機能などを持っている点が挙げられます。プログラム的には、従来4種類に分かれていた製品を1つのプラットフォームで動作するようにし、ASP用とインハウス用の2つの用途に使えるようにした点が特徴といえます。
―ASP用とインハウス用というのは、具体的にはどういうものを指していますか。
Carman氏
インハウス用とは、主に企業内のIT管理者が自社のサーバーに直接組み込んで利用する製品を意味しています。ASP用は、主にビジネスユーザーが社内のサーバーに組み込まずに利用するWebアクセス解析ツールを意味しています。インハウス用では、IT管理者が社内の複数部門のリクエストに応えるレポートをすばやく一元的に生成するのに適しています。一方のASP用は、単一部署、あるいは小中規模のWebサイトを持つ組織が、手軽にログデータの内容を確認するのに適しています。
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WebTrendsのプラットフォームアーキテクチャ
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―WebTrendsが1つのプラットフォームに統合されることによるメリットはなんですか。
Carman氏
Webアクセス解析ツールは、元々インハウス用として企業のIT管理者が利用したのが始まりです。これに対し、ASP用では、マーケティング担当者などが営業戦略を構築する上で、自社のサイトへのアクセス状況を特定の目的で分析することが求められました。今までは、この両極端の使われ方が一般的でした。また、多くのWebアクセス解析ツールも、どちらかに特化した製品が主流となっています。
しかし、企業は現在、IT投資に対してROI(return on investment:投資収益率)を重視しています。そうしたなか、異なる方法で1つのログを解析するのは非効率とされ、統合が求められています。しかし、いざ別々のツールで分析していたことを1つにまとめるのは、非常に困難を伴うものです。
さきほど説明しました、1つのプラットフォームに統合したメリットがここで生きてきます。つまり、同じプラットフォーム上で、ASP用とインハウス用の2つの製品が動作するわけですから、データの共有は非常に容易です。これは他社の製品では、まだ実現していないことです。これにより、ASP用を利用していた人がインハウス用の製品に移行するのも簡単になります。今後、Webアクセス解析ツールの主流は、全方位に対応した製品になるでしょう。
―つまり、企業のさまざまな立場の人が利用できる製品ということですか。
Carman氏
そうです。リアルタイムにWebサイトを監視することも、一般的なログ分析を行うことも、ビジネスインテリジェンス(BI)として使うことも可能です。実際、WebTrendsは単独でBIツールとして利用できる機能を持っています。もちろん、他社のBIツールとも連動できるように、スクリプトを用意しています。これにより、企業戦略にWebアクセス解析ツールが直結します。エンタープライズでの利用はこれからさらに進むとみています。
―しかし、Webアクセス解析ツールはすべての企業が使っているわけではありませんよね。また、既存のユーザーも、BIツールとまでは使いこなしていないのではないですか。
Carman氏
確かにそうです。具体的な数値はわかりませんが、実感としてWebサイトを持つ企業の6割程度でしかWebアクセス解析ツールは使われていないのではないでしょうか。また、利用されている企業でも、有効に活用しきれているとは残念ながらいえません。
そのため、Webアクセスを解析することで、ユーザー動向をつかみ、その結果をWebサイトに反映し成果を挙げるという成功事例をユーザー企業に示すように努力しています。R.A.D.A.R.とわれわれは呼んでいますが、Reporting(報告)、Analysis(分析)、Decision(決定)、Action(行動)、Reaction(反応)という改善サイクルを経ることで、訪問者に対する満足度を高められます。ユーザー企業が間違いやすいのが、一度このサイクルを実施したから、もう改善しなくても大丈夫という考えです。この改善サイクルは一度で終わるものではなく、継続的に行うことで効果がでることを理解していただけるように説明を繰り返しています。
60,000社のユーザー企業とはライセンス契約なので、常に製品を使い続けていただいていますが、上位の製品への移行はなかなか理解されないのが現状です。今回日本で行ったようなセミナーや勉強会などを通じで、どのような分析ノウハウが存在するのかを常に伝えていくことが重要と考えています。米国ではノウハウをまとめた書籍を作り、ユーザー企業に提供したりしています。
―日本市場に対しては、どのようにみていますか。
Carman氏
Webアクセス解析ツールの市場は、世界的にみて年間12%程度の成長率を見込んでいます。パートナーとしてアイ・ティ・フロンティアの過去の実績、教育体制など非常に頼もしくおもっています。日本はビジネス環境など不確定な部分も多いのですが、個人的には世界市場の2倍の24%くらい成長することを期待しています。
■ URL
米NetIQ
http://www.netiq.com/
株式会社アイ・ティ・フロンティア
http://www.itfrontier.co.jp/
WebTrends製品ページ
http://sirius.itfrontier.co.jp/webtrends/home/index.cfm
( 福浦 一広 )
2003/11/21 00:00
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