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常務執行役員 BP&システム製品事業部長の橋本孝之氏
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日本IBMのBP&システム製品事業部長・橋本孝之常務執行役員は、同社のサーバー戦略について言及し、「今年は、ローエンドとハイエンドにわけた2極化戦略をとってきたが、第2四半期はサーバー分野でトップシェアを獲得するなど、戦略は正しい方向に進んでいると判断している」などとし、同社のサーバービジネスの成功に自信を見せた。
同社では、今年のサーバー戦略の柱として、価格を訴求するローエンド製品戦略と、同社独自のテクノロジーの優位性を発揮できるハイエンド製品戦略に明確に切り分け、今年前半はローエンド製品の強化、中盤以降はハイエンド製品の品揃え強化をすすめるなど2極化戦略を軸にした展開を推進してきた。
橋本常務執行役員は、「多くの分野で、シェアゲインしており、日本IBMにおける7-9月の出荷実績をMIPS値で測ると、前年同期比2倍になっている」と、2極化戦略による実績が出始めていることを示した。
続けて、「とくに、MIPS値換算では46%が、LinuxやWeb、ERPなどのニューワークロードと呼ばれるレガシーシステム以外での導入となっており、旧来のレガシー中心のシステム導入からうまく転換しはじめている」とした。だが、米国では、すでにニューワークロードとレガシーによる導入比率が3対1となっていることに触れ、「まだまだニューワークロードによる導入拡大の余地がある」ともコメントした。
ニューワークロード戦略の旗艦となるのが、メインフレームのzシリーズに用意したLinux専用モデル。これまで価格がはっきり提示されなかったメインフレームの価格を明確にし、低価格性を訴えている。「メインフレームの位置づけで、Linuxを利用できる環境が整ったことで、提案の幅が広がっている」と今後の展開にも力を注ぐ考えだ。
zシリーズに関しては、米IBMが「メインフレーム憲章」を発表。ここではメインフレーム分野における継続的な技術革新を進めることなどを示した「イノベーション」、顧客への価値提供を狙い、ITサーバーの中核と位置づけた「バリュー」、閉鎖的なメーカー独自の手法からLinux対応をはじめとするオープンワールドにも展開していくことを標榜した「コミュニティ」の3つを示している。「メインフレーム憲章によって、メインフレームの将来に対する不安を持っていたお客様に対して、IBMとしての方向性を出せたことは大きな前進だといえる」とした。
UNIXサーバーであるpシリーズについては、ハイエンドからミッドレンジにかけた製品が好調だという。IDCの今年上期の調査では、5000万円以上のUNIXサーバーのシェアでは約4割を獲得してトップシェアを獲得。さらに、Linuxとの組み合わせで、HPやサンからの移行促進が図れると目論んでいる。
「顧客は、HP-UXに対しては将来のロードマップに不安があり、サン・マイクロシステムズが経営的に厳しい状況にあることを知っている。その一方で、具体的なロードマップを提示し、将来に渡ってコミットしているIBMに対する安心感があり、HPやサンのユーザーが、Linuxにアプリケーションをポーティングして、IBMに移行するという動きも出ている。サーバーコンソリデーションの動きのなかで、IBMには大きなチャンスがある」と語った。
iシリーズについては、レガシーユーザーが多いものの、「20-25%がウィンバックビジネスによるもの」として、他社からの置き換えが推進されていることを示す。
また、IAサーバーのxシリーズは、ブレードサーバー製品群が高いシェアを獲得。IDCによると、国内の4-6月の実績で31%とトップシェアを獲得したという。具体的に、コーエーがオンラインゲームサービスのために44台のブレードセンターを導入した事例をあげ、「省スペース化で2割、コストで4割、人員で半減という削減効果を達成した」ことを訴えた。
一部のサーバーベンダーでは、複数台のサーバーを接続するスケールアウト戦略を推進している例もあるが、橋本常務執行役員は、「スケールアウトだけでは、あらゆる顧客の要求には応えられない」として、「スケールアップ型、スケールアウト型の双方に強い製品を取り揃えることが必要であり、その点ではIBMは強みを発揮できる」と、この点でも2つの戦略を推進していく姿勢を強調した。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
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( 大河原 克行 )
2003/11/21 13:26
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