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富士通、日本IBM、日本オラクル、企業へのITインフラ導入における戦略とビジョンを語る

~Gartner Symposium/ITxpo 2003

 11月19日から21日まで、台場のホテルグランパシフィックメリディアンにおいてガートナージャパン株式会社により開催されている「Gartner Symposium/ITxpo」で、20日に日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM) 常務執行役員 ソフトウェア事業部長の堀田 一芙氏、日本オラクル株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者の新宅 正明氏、富士通株式会社 経営執行役常務 システムプロダクトビジネスグループ長 プロダクトビジネス企画本部長の伊東 千秋氏の出席によるキーノートパネル「ビジネス・アプリケーションのためのソフトウェア・インフラストラクチャ」が行われた。


企業におけるITインフラの現在

 まず富士通の伊東氏は、「さまざまなモバイルツールを活用した“すきまのない現場主義”が実現している」と語った。富士通では「TRIOLE」により、こうした業務システムをリアルタイムに支える基盤づくりを進めている。そしてインテグレーションにおいては、「拡張性の確保、業務を止めないシステムの構築、そしてテンプレートを活用した導入の短期化を主要な柱としている」という。そして課題として、「営業現場での状況を、経営トップの間で絶えずフィードバックを行った上でのシステムのブラッシュアップ」を挙げた。

 日本IBMの堀田氏は、同社の“オンデマンドビジネス”について触れ、「企業内の膨大なデータは、現在のシステムでは当然処理しきれない、そのために企業ではコアコンピテンスをはっきりさせ、優先順位を明確にする必要がある」と述べ、「こうしたビジネス戦略を作り上げる経営者の意志を前提に、ビジネスとITをつなげる方法論を、ビジネスプロセス自体の効率を考えたインテグレーションを進めやすいミドルウェアで提供していきたい」と語った。

 日本オラクルの新宅氏は、同社の提唱する「“ユーティリティ・コンピューティング”により、水や空気のようにITインフラを提供することを目指す」と語り、現状について「これを実現するにはソフトウェアの数が多すぎるが、今後は標準化が進み絞りこまれていく」との見通しを示し、その上で、「ITインフラは変化に対応できるシステムをベースに、ユーザーが定義していくものになる」とした。


富士通株式会社 経営執行役常務 システムプロダクトビジネスグループ長 プロダクトビジネス企画本部長 伊東 千秋氏 日本アイ・ビー・エム株式会社 常務執行役員 ソフトウェア事業部長 堀田 一芙氏 日本オラクル株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者 新宅 正明氏

製品を提供するアプローチ

 富士通の伊東氏は、「すでに単体製品や単一ベンダーでのシステム導入は難しく、協業モデルが前提になる」と語り、「そのときにだれがリーダーシップをとるのかが、いままでは顧客にわかりにくかった。導入パターンのモデル化を手がけていきたい」と述べた。また「部門ごとにスクラッチでつくる部分最適では運用コストがかかり、いまでは企業のIT投資の7~8割を占めるとも言われている。全体を最適化したシステム構築を提供し、こうした状況を打開したい」と語った。

 日本IBMでは、Websphereはじめ多くのソフトウェアブランドを抱えているが、堀田氏は「顧客のニーズは導入そのものにある。ブランドにはこだわらずに、全体をトータルで考えたシステムを提供したい」とし、「ミドルウェアの技術はこの3年で、すごいスピードで革新を遂げている。DB2とオラクルがどうこうではなく、システムの作り方が根本的に変わり、以前から考えると一段上のことが可能になっている、これを理解してもらいたい」と語った。

 日本オラクルの新宅氏は、「更新されないシステムでは、投資の回収スピードも落ちる。Linuxやブレードサーバーによる技術革新を適用し、システムのライフサイクル全体でスピードと価値を提供する」と語った。また同社ではパートナーを通じた販売がほとんどを占めるが、新宅氏は「導入や運用の方法論や成果を公開して、利用できる人材を増やすことも重要だ」と、ユーザーサイドでの取り組みにも期待を示した。

 また堀田氏は「システムの成功は、顧客の成功、成長があるかどうかにかかっている」と語り、「レガシーにはいい印象を持っている」と発言、「役に立つシステムだから今でも残っている。我々の仕事はこれをつなぐ環境を提供することだ」とした。レガシーについては、新宅氏は「企業変革の足を引っ張る」、伊東氏は「できれば捨てさせたいもの」との見解を示し、意見が分かれた。



URL
  Gartner Symposium/ITxpo
  http://www.gartner.co.jp/symposium/
  ガートナージャパン株式会社
  http://www.gartner.co.jp/
  富士通株式会社
  http://www.fujitsu.co.jp/
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2003/11/21 14:46

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