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業界を越えた商品データ同期化の実証実験を開始


製配販商品マスタ同期化プロジェクトの幹部
 製配販商品マスタ同期化プロジェクトは、2003年12月中旬から2004年3月までの約4カ月間、EAN・UCC標準を活用した商品マスタデータ同期化に関する業界共同実証実験を行う。同プロジェクトは、消費財、流通、IT業界の22社が参加しており、今回の実験は、業界を横断した初の実証実験となる。

 世界的な小売業、製造業61社が加盟する国際的機関であるGCI(グローバル・コマース・イニシアティブ)研究会が、昨年度の活動においてグローバル・データの同期化に関する研究活動を行っており、ここに参加していた日本の会員企業有志が集まり、今回のプロジェクトを実施。GCI研究会もこのプロジェクトを支援することになる。

 日本では、新製品導入時における商品情報の提供と登録作業には多くの人的資源を投入しているが、欧米では登録制度が低く、ビジネスロスが発生しているのが実状。そのため、欧米での解決策として世界規模でのデータの同期化が模索されている段階にある。今後、商品マスタの同期化が世界規模で進展すると見られるなかで、今回の実証実験はそれに先駆けて実施するものとなる。


実証実験でのデータ伝送の範囲
 今回の実証実験は、酒類、加工食品の業界VANであるファイネット、日用雑貨、化粧品の業界VANであるプラネットの2つのデータプールと、流通向けグローバルB2Bエクスチェンジのワールドワイド・リテール・エクスチェンジ(WWRE)、野村総合研究所が運営する流通B2BエクスチェンジであるBizMartとの間で同期化を行う。

 商品データには、EAN・UCCで定められたグローバル標準のXMLを、商品データ交換に利用。業界ごとに異なる項目属性の違いの吸収については、基本項目となる約50項目を対象に行う。

 商品マスタデータの同期化は、データプール間で行い、同期化のために活用するミドルウェアには富士通の「InterStage」および関連製品、マイクロソフトのBizTalk Serverおよび関連製品を採用。これらのミドルウェアはそれぞれのメーカーから提供されることになる。またデータプール間のネットワーク運用サービスについてはインテックコミュニケーションズが提供する。

 メーカー側は、商品マスタデータをそれぞれの業界VANに登録、それをWWREおよびBizMartにデータを伝送し、小売業や卸売業などの企業がデータを閲覧するという仕組みになる。

 「3月までの実験では課題が山積することになるだろう。実験終了後には、その課題の解決とともに、4月にはGCI研究会に報告書を提出し、今後の国際的な動向とあわせて継続的に取り組んでいきたい」(永井浩一幹事=三井物産)としている。

 参加企業は以下の通り。

 ・日用・化粧品業界: エステー化学、花王、小林製薬、サンスター、中央物産、日本リーバ、P&G・ファー・イースト・インク、ユニ・チャーム、ライオン

 ・酒類・加工食品業界: アサヒビール、加藤産業、国分、菱食

 ・総合商社: 三井物産

 ・ネットワーク・ITベンダー: インテックコミュニケーションズ、日立製作所、富士通、マイクロソフト

 ・データプール事業者: プラネット、ファイネット、WWREアジアパシフィック、野村総合研究所

 このほかに、小売業界からも参加しているが、個別の社名は公表していない。



( 大河原 克行 )
2003/11/26 13:02

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