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コニカ情報システムズ紀太氏「合併までの4カ月で導入を行った」

~VON Japan 2003 Solution Keynote

 12月2、3日にメディアライブ・ジャパン株式会社の主催で新宿のヒルトン東京にて、VoIPにフォーカスしたイベント「VON Japan 2003」が開催され、「IPテレフォニー導入事例にみる経営革新の実現」をテーマに、コニカ情報システムズ株式会社 サービス事業本部 部長の紀太 章氏による講演が行われた。


コニカとミノルタの合併

コニカ情報システムズ株式会社 サービス事業本部 部長 紀太 章氏
 同氏はコニカとミノルタの統合について、CIOの言葉として「経営、生産販売、研究開発を中心に、あらゆる面での徹底した効率化を行い、事業拡大、競争力強化、収益向上を図る」との考えに基づいたものだと語った。

 新会社であるコニカミノルタは、持株会社と6事業会社に加え、IT関連担当と、社内業務担当の関連2社に分割されたグループ企業に生まれ変わった。統合においてはプロジェクトチームが作られ、なかでもIT統合担当チームは、経営トップの「IT統合の失敗は企業統合の失敗に繋がる」との声のもと、「経営戦略とIT戦略の一致を目指した」という。ただ「両社は異なる企業文化を持っているため、経営戦略の明確になるまでIT投資は最小限にする一方、統合に必要なITインフラに関しては、合併までの統合が必須となった」とのことだ。


ネットワーク統合の課題

 スピード優先で統合されたのはネットワーク、会計システム、人事システムの3つ。ちなみに会計システムは「両社ともSAP R/3を導入していた」とのことだ。現時点ではこのフェーズまでを完了しているという。ネットワーク統合においては、両社のイントラネット統合、konicaminolta.jpドメインへの移行、音声系通信網の統合が、8月までと期限を切って行われた。

 イントラネット統合では、両社の接続環境を結ぶ新たなバックボーンネットワークが構築された。合併に当たっては「新本社、新関西支社、事務機器販社の3拠点が新規に立ち上げられ、これらはバックボーンネットワークへ直結している」という。

 ネットワーク網については「すでにコニカで使っていた広域LANを利用している」という。同氏は「現在の選択肢は広域LANかVPNになるだろう」と語り、「エンドユーザーでの機器コスト要求も低く、スピード面での不安もない」と信頼性・広帯域化・低コスト化を考慮した選択だったとした。

 回線は「すでに採用実績のあったPowerdComと、当時唯一QoS機能をサポートしていた日本テレコム両社による二重化を行っている」とのこと。「QoSに音声系、もう一方にデータ系とトラフィックを分けているが、障害発生時のルーティングプロトコルにEIGRPが使えることも広域LANを選んだ理由の一つ」と語った。


IPテレフォニーへの移行

 音声系通信網の統合において、3拠点にはIPテレフォニーが新たに導入された。これは「それまでは別々だったネットワークと電話のインフラの通信管理主体を統合する」ことも目的だったとのことだ。また「当初の統合予定からの、組織が変更された場合に、IPテレフォニーであれば柔軟に対応できる」ことも採用の理由だという。もちろん「ホワイトカラーの生産性向上に加え、エンジニアがそこからヒントを得る期待もあった」とのことだ。

 シスコ製品の採用理由については、「従来のネットワークでも、主要部分がシスコ製品で構成されており、その延長で管理できることもあるが、あくまでネットワークに付加的に構築でき、海外拠点などグローバルで展開可能なシステム」である点が考慮された。また生産性の面で「ソフトフォンやUnityなどのアプリケーションが導入できる」こともメリットだという。

 システム構築はネットマークスが担当しているが、「合併が正式に役員承認されたのが4月半ば、そこから4カ月しか時間がなく、しかも東京/大阪の2拠点で動けるベンダーは他になかった」とのこと。

 最終的には「東京丸の内本社で500台、大阪西本町にある関西支社で700台、東京日本橋の事務機器販社の一部フロアで90台が導入され、運営は八王子と神戸のデータセンターで行われている」とのこと。また新規地方拠点でもIPテレフォニーが導入されているとのことだ。IP電話機は操作性が従来のPBXと変わらない点が重視され、鳥取三洋製の端末が利用されている。

 保守運用を含めたコストメリットは「5年で回収できる」とのことで、「それよりもネットワークインフラと同列で管理運用できることが最大のメリット」と同氏は述べた。今後はグループウェアやメールソフトとの連携のほか、IPテレフォニー独自の内線運用への移行も行うとのこと。最後にIPテレフォニーの導入を「最終的には生産性向上と新たな企業文化の創出につなげたい」と語り、講演を終えた。



URL
  コニカミノルタホールディングス株式会社
  http://konicaminolta.jp/
  コニカ情報システムズ株式会社
  http://konicaminolta.jp/about/group/kis/index.html
  VON Japan 2003
  http://www.von-japan.jp/


( 岩崎 宰守 )
2003/12/03 10:07

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