12月3~5日、日本電気株式会社(以下、NEC)の主催により、東京ビッグサイトで「C&Cユーザーフォーラム」が開催されている。3日にはNEC 代表取締役社長の金杉 明信氏が「ITとネットワークの統合が拓くユビキタス時代の経営革新」のテーマで基調講演を行った。
■ 日本経済と企業の向かうべき方向
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日本電気株式会社 代表取締役社長 金杉 明信氏
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同氏はまず日本経済の状況について「外需の拡大とデフレにより数字の上では回復基調に見えているが、消費は伸びておらず、まだまだ不透明感が払拭されていない」と語った。そして企業を取り巻く現状を「人件費など固定費の削減による収益構造改善は終息しつつあり、これからは再び成長を目指さねばならない段階だ」と語った。
新たな成長へ向けたキーファクターとしては「サプライチェンのグローバル化」を挙げた。「自動車業界では、関税格差を利用して国境を越えたバリューチェーンを形成しており、地域の最適化が重要になっている」と述べた。NECでも「海外の3G携帯電話事業の体制では中国を基地にする準備に着手した」ということだ。
日本市場でもグローバル化が進んでいるとした同氏は、PCのシェアについて「コスト・品質・スピード・サービスの競争がそのまま持ち込まれ、海外ベンダーの比率が上がっている」とし、NECでも中国・台湾を結んだバリューチェーンにより事業モデルを再構築、日本で設計を行い、現地工場へ品質、納期面の指導をしているという。
続いて同氏は購買行動意識調査を取り上げ、「電通では節約疲れといっているが、消費スタイルがポジティブな方向へ変わりつつある」と述べ、携帯電話市場の拡大を例に「顧客と新しい価値をいかにつくるか、今は双方向コミュニケーションの場が増えており、そうしたニーズを捕らえサービスを提供するのが大事」と語った。また「売り切りから顧客へ継続的にサービスを提供するビジネスモデルの転換も必要」とした。
■ Dynamic Collaborationを実現するITネットワーク基盤
ブロードバンドと携帯電話の普及により「日本は世界最先端のユビキタス社会になった」と同氏は語り、「モバイルやAV系デジタル家電での取り組みにより独特の社会を形成しており、今後もVoIPやITS、無線タグなどのITを活用したさまざまなサービスの新市場において、日本企業にチャンスがある」と述べた。
また同氏は「世界最先端のネットワーク環境の活用したコラボレーション型経営、企業間連携も重要」と述べ、「Better、Cheaper、Faster」を顧客へ提供するために、「コアコンピタンスへの集中と専業企業の活用によえうバリューチェーンを構築して全体プロセスをスピード化する経営スタイルを実現するべき」と語った。そして本イベントの開催コンセプトでもある「Dynamic Collaboration」に基づき、同社では「IT・ネットワーク基盤を再構築し、企業にコストダウンとコラボレーションを提供するソリューションを積極的に提案していく」と語った。
企業ではVPNや広域LANなどによるネットワークのブロードバンド化が進んでおり、VoIPも急速に普及している。NECでも「品川ビル群に入居した企業の8割、汐留の5割のVoIPネットワーク構築を担当した」とのことで、2004年1月21日には、品川に「NECブロードバンドソリューションセンター」を設立するとのことだ。
IT基盤に関しては、同社のVALUMOウェアにより、「拡張性や柔軟性が高く、堅牢でセキュアなシステムを提供する」とし、企業内の連携や統合をスムーズにするハブとして、サプライヤーとリアルタイムに情報を共有できるバリューチェーンのマネジメントを提供する」と語った。また将来的には「ITとネットワークを融合し、グリッドへ進化させようとしている」とのことだ。
■ URL
C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2003
http://www.uf-iexpo.com/
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2003/12/03 19:29
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