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内閣参事官・上田氏「ITで国民が便利さを実感できる社会を」

~C&Cユーザーフォーラム 特別講演

 12月3~5日、日本電気株式会社(以下、NEC)の主催により、東京ビッグサイトで「C&Cユーザーフォーラム」が開催されている。3日には内閣官房 内閣参事官の上田 隆之氏が「e-Japan戦略IIと電子政府」のテーマで特別講演を行った。


e-Japan戦略は第2フェーズに

内閣官房 内閣参事官 上田 隆之氏
 e-Japan戦略は、「日本は世界最先端のIT国家を目指す」との目標を掲げて始められた。e-Japan戦略Iは、主にインフラ環境整備を目指したものだったが、「ブロードバンドはすでに1000万人に普及し、FTTHの利用者は100万人に達する勢いだ」とし、「最近はコンテンツの面が盛んになり、この需要がインフラ拡大を引っ張る状況になりつつある」とし、「2005年までにブロードバンド全体で3000万、FTTH1000万の普及を目標にする」と語った。「通信速度あたりの料金を世界的にみても非常に安く、早い」とのことだが、同氏はこうした状況について「インフラへの再投資や、セキュリティ面で危惧もある」と述べた。

 行政のオンライン化も進んでおり、国への届出のうち97%で電子申請が可能になっているほか、「来年度には税金納付、確定申告も行えるようにする」とのこと。また株式取引に占めるネットの割合は20%に達し、携帯電話でのメール利用も当たり前になるなど、「日本はITの実利用面で世界の先頭に立っている」とした同氏は、「こうした日本のIT環境、その利用育成については世界で注目されており、今後のIT利用を切り開くだろう」と語った。

 同氏はe-Japan戦略IIについて、小泉首相の「ITで国民が便利さを実感できる社会を作っていきたい」との言葉を引用し、こうした環境の変化を受け、主にユーザーサイドの視点からITの利用面に着目したものと紹介。またIT分野についてアジアとの協調関係を展開することも盛り込まれ、これらを前提に「ITを活用した構造改革と新たな価値の創造を行うものにしたい」と語った。


7つの分野での先導的な取り組み

 具体的には医療、行政サービス、就労・労働、知、食、生活、中小企業金融の7分野で先導的な試みが行われ、それぞれ数値目標を設定されている。「国民生活に身近な分野を選び、政策資源を重点投入する」とのことだ。

 医療分野では、電子カルテを中心に医療のIT化を行う。「患者には、複数の医療機関で同じ検査を受けるなどがなくなり、病状によって専門病院をスムーズに紹介できるようになるなどのメリットがある。多くの患者データを分析し、医療レベルの向上にもつながる」とその効果を述べたが課題も多い。「カルテでの病名・症状・薬名の表記統一や遠隔医療の際の診療報酬の分配、将来的には処方箋も電子化したいが医薬分業の問題もある」とのことだ。

 生活分野では、「各家庭の中にサーバーをいれて、IT情報をコントロールする」ことを目標に、まず「2008年までに電気・ガス・水道の遠隔検針を希望すればすべての家庭で可能にする」と語った。「自動化により検針員コストを削減できるが、家庭内にLANを張りめぐらせるのは難しく、安定した無線LANが必要だろう」とした。

 中小企業金融分野では、手形を電子化して債権を電子的に譲渡できる社会システムを作る。「むしろセキュリティ面も高まるのではないか」との見解を示した。このほか遠隔教育による大学をまたいだ単位取得などの試みも行われる予定だ。

 電子政府の構築では、2年後までに24時間ノンストップで各種申請を受け付けるポータルサイトを整備する。「いままでのように省庁別でなく、例えば自動車登録を一括でできるようなワンストップのサービスを提供し、将来的に電気・ガス業者といった民間ポータルとも連携し、引越しにともなう一連の作業などが行えるようにしたい」と語った。

 行政サービスではこのほかに中央官庁の業務改革も行う。「現在は各省バラバラのバックオフィスを人事院などに統合して全体でひとつのシステムにする」としたほか、「各省にコンサルタントを入れ、現在31あるメインフレームなどのレガシーシステムを見直し、オープンシステムに代えていく」とのことだ。また全国3213市町村における地方自治体のシステムについても、「ほとんどの自治体で電算処理システムは導入済みだが、これまでは個別に開発が行われていた」とし、「特定システムをオープンに公開し、自治体に提供する」と語った。


国際戦略・規制改革・セキュリティ

 国際戦略については、北米・アジア・欧州それぞれの間で、「貿易流通金額はほぼ均衡しているが、情報流通は、北米・欧州間162に対し、アジア・北米間は42、アジア・欧州間にいたっては1となっている。この不均衡は、ラフにいえば競争力との関係に影響がある」と述べ、こうした状況を改善するとしている。また「アジア各国と包括的なFTA(自由貿易協定)を結び、ITによる先導で、貿易だけでなく情報と人の流通も活性化させたい」と述べた。

 規制改革について、「税務には、帳簿書類や領収書などを7年間、紙で保存する義務を定めた法律がある」ことや「銀行では財務書類を紙で一般の閲覧に供する」ことを取り上げ、「銀行法や税金関係など100以上の法律改正が必要になるが、電子化により、保管コストを削減できないか、偽造や改ざんの問題も検討とあわせ考えている」と語った。また著作権保護の見直しについて「日本のアニメやCGなどは世界でも注目されており、これもひとつの国力だ」とし、「デジタルコンテンツの流通促進とコンテンツ産業振興のため、ネット時代に対応した著作権処理の仕組みが必要」と語った。

 セキュリティ面では、「インターネットインフラはライフラインに近くなっているが、競争が激しく、セキュリティに対する投資が十分でない」と述べた。そして「テロ、自然災害といった抜本的な問題はいまだ起こっていないが、日本ではなにか起こらないと実感できないのではないか」とし、「これをどうするかはなかなか難しい問題で議論を進めている」と述べた。

 そしてこれらの政策評価について、「政策を進める上で車の両輪となる」評価専門調査会を年内にも立ち上げるとのことだ。



URL
  C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2003
  http://www.uf-iexpo.com/
  内閣官房
  http://www.cas.go.jp/


( 岩崎 宰守 )
2003/12/04 18:21

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