12月3日から5日まで東京ビッグサイトにて開催されたiEXPO 2003(主催:NEC)では企業向けの新製品やソリューション、導入事例などが多数展示された。ここではその中からNEC製を中心とした無線LAN製品をピックアップしレポートする。
■ 自動的に最適な環境に設定される無線LANソリューション
現在、市販されている無線LANは高速・高機能化が進んでおり、アクセスポイント(以下、AP)は複数の通信規格に対応したり、ルータやセキュリティなど多彩な機能を搭載している。個人や小規模オフィスで利用するには非常にありがたいが、APを複数設置するような規模のオフィスで利用する場合、管理者がそれぞれを管理するのは困難となる。例えばセキュリティ機能の設定変更を行う場合、それぞれのAPを個別に設定をしなければならず非常に手間がかかる。
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UNIVERGE WLシリーズの構成
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NECブースで展示されている企業向け無線LANソリューション「UNIVERGE WLシリーズ」は、各APを集中管理する「Thin AP」アーキテクチャを採用し、企業内無線LANに必要とされる高度な機能を搭載しながら各AP管理の容易化、あるいは自動化を実現している。このソリューションは各所に設置されるAPのほか、各APのコントロールや処理を行う「ワイヤレスコントローラ」、ワイヤレスコントローラを通して各APのリモート管理や電波状況などをモニタリングできる「管理ソフトウェア」の3点で構成される。
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自動無線制御のイメージ
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ワイヤレスコントローラは接続されているAPの状態を常にモニタリングしている。各APの設定変更は管理ソフトから一括して行うことが可能なのはもちろん、APの設置場所を変更したときなどでも混線が起きないようチャンネルを自動的に変更することもできる。それだけでなくAPの故障などにより電波を発せなくなった場合、その近隣のAPが電波を増幅してアクセスエリアをカバーするオートリカバリー機能や、APへの集中アクセスを近隣のAPへ負荷分散するロードバランシング機能など、ネットワークの切断を防止する機能が多数搭載されている。また、従業員などが勝手に設置する不正なAPを自動的に検知できるといったセキュリティ面の機能も豊富だ。
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ワイヤレスコントローラ「WL2000シリーズ」
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アクセスポイント「WL1200シリーズ」
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企業において無線LANが個人ユーザーに比べて普及が遅れている主な原因は、セキュリティの問題と管理の難しさであると言われている。しかし、IEEE 802.1Xなどの従来より強固なセキュリティ技術と、UNIVERGE WLシリーズのような管理の容易化・自動化が進んだ製品が揃えば、ネットワークを無線化するメリットが大きいだけに個人ユーザー並みに普及が進む可能性がある。
■ FOMAと無線IPのデュアル端末が2004年前半にも登場
無線LANを利用した機器で今後普及が予想される技術の一つに無線IP電話がある。NECブースでは2004年春頃にも発売が予定されている無線IP電話端末が参考展示されていた。Webブラウザ機能があるものとないものがあり、同社によると「Webブラウザ機能は社内ポータルや伝言板などの利用が考えられる」という。また、シスコブースでも無線IP端末「Cisco 7920」が展示されている。こちらはすでに発売されており、UFJ銀行などにてすでに導入・稼働している。
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NEC製の無線IP端末
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CISCO 7920
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無線IP電話の利用は社内の無線アクセスエリアに限られ、携帯電話のように外出先などからは利用できない。ところが来年には携帯電話に無線IP機能を内蔵したデュアル端末が登場するようだ。NECブースとドコモブースでは現在発売中の「FOMA N2051」をベースにした試作機が参考展示されていた。無線IP電話とFOMAの同時待ち受けに対応しており、Webブラウザ機能もiモードと社内ネットワークの両方を閲覧できるという。2004年前半の発売を目標としているが「ドコモショップなどで市販化されるか、法人向けソリューションのみの販売になるかは未定」とのことだ。
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FOMAと無線IPのデュアル端末
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デュアル端末の利用イメージ
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■ URL
C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2003
http://www.uf-iexpo.com/
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
( 朝夷 剛士 )
2003/12/05 20:29
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