日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)と日本BEAシステムズ株式会社(以下、日本BEA)は12月10日、企業内における業務システムの統合推進を支援するため、協業を行うと発表した。これを受け、日本BEAは同社のWebアプリケーションミドルウェア「BEA WebLogic Server 8.1J」のHP-UX(for Itanium)対応版を同日より販売する。また、日本HPも2004年1月より同ソフトのHP-UX、Windows、Linuxの各OS対応版を発売し、保守やサポートとあわせて提供していくという。
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サービス指向アーキテクチャの概念図
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日本BEAの代表取締役社長、ロバート・S・スチーブンソン氏によれば、現在Webアプリケーションはどこの企業でも当たり前に使用されているが、ばらばらに導入されたいくつもの業務アプリケーションが存在している状況だとする。こういった状態を改善するための統合手法が「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」で、今回の協業はこれを実現するためのものだという。「日本HPとの協業はまったく新しくはじめることなのではなく、すでにグローバルのアライアンスとして走っていることの強化。複雑極まりない日本のビジネスプロセスを整理し、TCO削減や経営のスピード化を支援する試みだ」(スチーブンソン氏)。
日本HPのサービス事業統括 コンサルティング・インテグレーション統括本部 執行役員・統括本部長、河原 正也氏も「1度つくりあげたアプリケーションをすべて作り直していては、変化するスピードについていけない。サービスをモジュール化することで、再構成が可能な、変化に対応できるアーキテクチャできっちりと提供する。そのために、日本BEAのWebLogic Platformを共通基盤として位置付けていく」と語った。
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日本BEA 代表取締役社長 ロバート・S・スチーブンソン氏
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日本HP サービス事業統括 CI統括本部 執行役員・統括本部長 河原 正也氏
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■ ItaniumとWebLogicで、企業のIT基盤統合を推進
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日本HP 代表取締役社長兼COO 樋口 泰行氏
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今回の協業は、3つの大きな柱からなる。まず1つ目が、64ビットのItaniumと、その上で動作する64ビットWebアプリケーションの推進だ。これに関して日本HPの代表取締役社長兼COO、樋口 泰行氏は「重要なのは、パフォーマンス、標準性、オープン性。これらを備えた、IPFという、HPが最も力を入れていくプラットフォームを、日本BEAの協力を得て推進する。Itanium 2を搭載した当社のIntergrityサーバーと日本BEAのWebLogicの組み合わせは、コストも含めて圧倒的なパフォーマンスを持ち、スケーラビリティや投資の保護という面でも優れている。迷わず選んでもらえる製品だと思う」と述べ、今回の協業によりベストソリューションの提供が可能になったと強調していた。
両社ではWebLogic Server 8.1Jの出荷を順次開始するほか、日本HPはIntergrityサーバーにCPUやメモリなどの主要コンポーネントをセットにしたHP Advantageシリーズのラインアップとして、WebLogic Server 8.11Jをバンドルするモデルを用意。2004年1月15日から4月15日までは、通常よりも3割ほど安いキャンペーン価格で提供する。また、日本BEAはほかのアプリケーションも順次HP-UXへの対応を進めていくばかりでなく、今後HP-UXを最優先のプラットフォームとし、製品の提供はまずHP-UX版から行うとのこと。
2つ目はJava/J2EE技術者の啓発と育成。現時点でも、日本HPは150名の日本BEA認定エンジニアを抱えているが、日本ではまだまだ不足しているという。今後も需要は高まると予測されているため、2004年中には倍増を計画しており、日本BEAもこれを支援する。
また一般技術者に向けては、日本BEAの開発者支援プログラム「dev2dev」へ日本HPが協力するほか、「Workshop on Workshop@HP」の開催などを両社で行っていく。加えて日本HPの持つ検証施設「HP-BEA コンピテンス・センター」をItanium環境で一新し、WebLogic製品の検証を実施する。
3つ目は、コンサルティングとインテグレーションサービスの提供。日本HPは日本BEAの協力を得て、個別に導入され複雑化してしまった業務システムを統合するソリューション「Enterprise Integrationサービス」や、日本HPが経験した合併時の経験をベストプラクティスとして、企業統合を推進するための社内組織を立案する「ICC(Integration Competency Center)コンサルティング」の提供などを行う。
両社ではこれらの施策を通じ、日本市場への展開をよりいっそう強化し、シェアの拡大を目指していくとのこと。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
日本BEAシステムズ株式会社
http://www.beasys.co.jp/
プレスリリース
http://www.beasys.co.jp/news/japan/2003/20031210.html
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・ 日本BEA、WebLogic開発者支援プログラムを発表(2003/10/23)
( 石井 一志 )
2003/12/10 15:53
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